千手 陽一郎 院長の独自取材記事
ファミリア透析クリニック北綾瀬駅前
(足立区/北綾瀬駅)
最終更新日:2024/08/09
東京メトロ千代田線北綾瀬駅の中央改札口からすぐの「ファミリア透析クリニック北綾瀬駅前」。複数の病院で研鑽を積み、現在も大学病院にて先進の医療に携わる千手(せんじゅ)陽一郎院長が、「誠実かつ専門的な医療」を提供するべく、スタッフとともに日々患者と向き合っている。同院は透析治療を軸に、透析に至る前の腎不全や生活習慣病の外来診療にも対応。腎臓に関する疾患すべてを早い段階から診ることで、患者の背景も踏まえた一人ひとりに合った治療の提供につなげている。「専門性の高い治療を提供するのはもちろん、その先にある患者さんとご家族の生活を守りたい」と真摯に語る千手院長に、理念の実現に向けて取り組んでいることについて聞いた。
(取材日:2024年7月25日)
人工透析を軸にすべてのステージで腎臓疾患をサポート
まず、どんなクリニックなのか教えてください。
人工透析をメインに、透析に至る前の腎臓の病気や関連する生活習慣病の治療にも対応しており、どのステージでも一貫して腎臓を診られるのが特徴です。軸となる透析治療においては先進の設備を備え、専門性の高い治療を提供できることが強みだと自負しています。その際、患者さんに最善の治療を選んでいただけるよう、できるだけ多くの選択肢を用意しているつもりです。いくら患者さんを治したいという想いがあっても、その治療に対応していなければ、要望に応えることはできませんから。当院では「誠実かつ専門的な医療であなたの腎臓と生活を支える」という診療理念を掲げていますが、こうした充実した診療体制を整えることも、患者さんに対する誠実な姿勢の一つだと思っております。
具体的にどんな選択肢を用意しているのでしょうか?
当院では従来の血液透析の他、在宅でも治療できる腹膜透析にも対応しております。血液透析の選択肢としては仕事と両立しやすい夕方から夜にかけて行う夜間透析、従来よりも治療時間を伸ばすことでさらに治療効果を高める長時間透析など、ライフスタイルや状況に応じた透析方法を用意しています。また当院ではすべての装置がオンラインHDFや間歇補液療法(I-HDF)と呼ばれる先進の治療に対応しております。これらの治療は多くの老廃物を除去し、体への負担軽減や合併症予防、生命予後の向上が見込めます。こうした治療には徹底した水質管理が必要となるのですが、当院では臨床工学技士の専門的な管理により規程の水質基準を満たしております。
専門性の高い治療を実現するには、スタッフの存在も大きいのですね。
専門性の高い治療が可能なのは、診療理念を理解し共感してくれるスタッフがいるからこそ。当院では医師もスタッフも積極的に勉強会やセミナーに参加し、新しい知識・技術の習得に余念がありません。透析治療や生活習慣病の管理においては、水質管理をはじめ、管理栄養士による栄養指導、看護師によるフットケアなど、多職種の力が欠かせないのですが、当院の強みは一人ひとりのスキルの高さはもちろんのこと、それをさらに生かすためのチーム体制が整っていることです。フットケアチーム、ブラッドアクセスチームなど分野ごとに多職種が集まってカンファレンスを行い、互いを尊重しながら理解を深めることで、より良いケアにつながっているのではないかと思います。
患者の生活を守るべく治療の負担軽減に努める
続いて、透析以外の診療についてお聞かせください。
当院では、生活習慣病に特化した専門の外来を設け、将来的に腎不全に陥る可能性のある高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などを診ています。これにより重症化防止を図るとともに、透析が必要になった場合もこれまでの経過や患者さんとの関係性を生かして、スムーズな治療につなげやすくなります。外来の相談で多いのは糖尿病で、GLP1製剤やスマートフォンを活用した24時間の血糖測定といった先進の治療も取り入れています。一方、腎不全に関しては健康診断で指摘されて受診する若い方が増えてきました。初期の腎不全は自覚症状がほぼないため、血液検査、尿検査、超音波検査などを駆使して多角的に診断を行い、症状を見極めることが重要です。自発的な受診につながりにくい疾患だけに、診断した際はすぐさま治療介入を行い、結果、患者さんの透析導入を防ぐことをめざしています。
透析を含め腎臓の病気を診る上で、先生が大事にしていることはありますか?
コミュニケーションを通じ、患者さんとの信頼関係を築くこと。それが最適な治療の提供につながると考えます。とはいえ、最初から信頼は得られませんから、まずは信頼していただけるような治療を提供することが大前提です。そうして通っていただく中で、高齢の方なら食事や付き添いのご家族の状況、仕事をしている方なら仕事との両立といった、一人ひとりの抱える課題に対し、対話を重ねながら解決の糸口を探っていきます。治療のゴールは、生命予後を良くしてその方の生活を守ること。言い換えれば、いくら生命予後が良くても患者さんが治療に縛られ、生活を楽しめなければゴールにはたどり着けません。だからこそ、適切な治療を進めるには、その方のバックグラウンドやご家族の状況なども踏まえて判断することが欠かせないと考えています。
「患者と家族の生活を守る」というゴールに向け、工夫していることを教えてください。
透析室での時間は患者さんにとっては日常の一部ですから、快適性を考え、透析室に無線LANやテレビを備えています。また、透析患者の最も大きいストレスは血管に針を刺す「穿刺」と考えています。当院ではエコーを用いたエコー下穿刺を推奨しています。これにより穿刺の際に血管の画像をリアルタイムで確認できるので、穿刺の成功率が高まることが期待できます。他には、本年からシャントPTAと呼ばれる血管内治療にも取り組み始めました。当院では造影剤を使わずエコー下で治療を行います。メリットとしては被ばくの心配がないこと、造影剤アレルギーの方にも対応可能なことが挙げられます。院内で対応できるようにすることで、シャント修復の際の患者さんやご家族の通院負担を大きく減らせるため、高齢の方やそのご家族の方に大変好評です。患者さんが安心して快適に通院できるようにするため、当院に何かできることはないかと常に考えております。
地域に暮らすすべての人たちの腎臓を守るために啓発を
少し前に施設の拡張を行い、さらに通いやすい環境が整ったとか。
内科・透析ともに待合室等や診療スペースを増やしております。内科外来の診察待ち時間や透析患者さんの送迎車の待ち時間を広いスペースで快適に過ごすことができます。透析室も40床まで増床しています。他には感染患者専用の個室透析室を設けました。コロナウイルスのパンデミック期に当院も苦労した時期があり、今回専用の個室透析室を設ける考えに至りました。最後に、院内に透析患者向けの相談室を設けました。当院での透析を考えている患者さんや、現在通院されている患者さんとそのご家族の透析に関する相談や不安を聞くスペースとして活用していく予定です。
地域のために尽力する先生ですが、今後力を入れたいことはありますか?
当院は透析治療だけでなく、透析予防に対しての活動も行い地域に貢献したいと考えています。というのも、腎臓の病気に対する認知度は他科の病気に比べるとまだ低いのが現状です。足立区においては数少ない日本腎臓学会腎臓専門医・日本透析学会透析専門医として、自覚症状のない方の受診につながるような、地域への情報発信にも取り組んでいけたらと思います。例えば当院では、健診で尿潜血または尿タンパクが陽性になった方、あるいは血清クレアチニン1.0mg/dl、eGFRが60ml/min/1.73m2未満の方には受診を勧めています。正しい知識が地域の皆さまに伝わるようメッセージを発信し続けていきたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
「誠実」かつ「専門性」という両輪がそろってこそ、患者さんに満足していただける治療を提供できると考えています。当院はそのどちらも実現できていると自負していますが、現状に満足することなくさらに精進していきます。どこを受診したらいいのかわからない方や、既存の施設に悩みを抱えている方など、腎臓の病気で困り事がある方は相談だけでも構いませんのでいらしてください。高い専門性を持った医師とスタッフが、「ファミリア」というクリニック名のとおり、家族を診るような気持ちで親身に対応させていただきます。