若年層に増えている
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患
あんどう消化器内科IBDクリニック
(明石市/西明石駅)
最終更新日:2022/11/28
- 保険診療
1990年代以降、急激に増加しているという潰瘍性大腸炎。これと似た自己免疫性の腸疾患には、クローン病や腸管型ベーチェット病などがあり、炎症性腸疾患(IBD)というくくりで特化した外来を設けている医療機関も多い。そんな中、地域のかかりつけ医としてこの炎症性腸疾患の治療に力を入れているのが「あんどう消化器内科IBDクリニック」だ。地域の基幹病院で炎症性腸疾患を専門に治療してきた安藤純哉院長は「炎症性腸疾患はクリニックレベルでも大規模病院と変わらない治療が可能です」と話す。炎症性腸疾患は長期治療が必要となるため、入院するほどの重症でなければ、大きな病院より地域のクリニックで治療を続けるほうが、通院の負担も少ないだろう。安藤院長に、同院の炎症性腸疾患の診療について詳しく聞いた。
(取材日2021年12月20日)
目次
慢性疾患である炎症性腸疾患の治療がクリニックでも受けられる。専門家による診断から通院治療まで
- Q「炎症性腸疾患」とはどんな病気なのでしょうか?
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A
英語表記の頭文字をとってIBDと呼び、その主な病気は潰瘍性大腸炎とクローン病です。炎症性腸疾患は、免疫の異常が原因の一つとされていますが、いまだ原因がはっきりしていない病気で、症状の寛解と悪化を繰り返します。完治はしないので、長期に継続した治療が必要となることも特徴です。とはいえ、有用な薬も出ていますので、現在は治癒に近い状態まで持っていくことも期待でき、症状が落ち着いていれば日常生活も送れます。症状としては、下痢、腹痛、下血、体重減少などがありますが、中にはまったく症状がない人もいます。特にクローン病は発熱や貧血、肛門の病変もあり、専門の医師でないと診断のしづらい病気でもあります。
- Q先生は特にこの分野に精通されているそうですね。
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A
炎症性腸疾患は、がんのように手術で治る病気ではなく、落ち着いたり悪化したりを繰り返す病気なので、長期にわたって薬で炎症をコントロールする必要があります。そのため、医師による投薬のタイミングや量などのさじ加減が重要になってきます。長年、炎症性腸疾患の患者さんを多く診てきたことは、このさじ加減を判断する上でとても役立っており、患者さんとはきちんと対話しながら病状に合った薬を出すようにしています。経験値から症状をきちんと見極めるようにしています。
- Q傾向としてどんな人がなりやすいのでしょうか?
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A
10代から20代に発症することが多く、潰瘍性大腸炎は高齢者にも見られます。特に傾向はなく、誰にでも起こり得る病気ですが、発症のきっかけとしては、ストレスや腸内環境の悪化がほとんど。まれに禁煙が発症の原因になることもあります。クローン病の場合は、痔ろうの治療をしたけど治らないということがきっかけでわかることもあります。
- Qどんなタイミングで受診をするべきですか?
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A
1ヵ月も続く下痢や下血があれば、一度受診したほうがいいでしょう。一時的な感染性の胃腸炎でも下痢や下血の症状がありますし、あまり早い段階で検査をしてしまうと、腸内の炎症が強すぎて診断がつかないかもしれません。ただ、過敏性腸症候群と診断され投薬での治療を受けたものの、長期間改善が得られない方を検査したところ、潰瘍性大腸炎だった、というケースもあります。ですから下痢や下血があるときは大腸内視鏡のあるクリニックできちんと検査をすることをお勧めします。
- Q治療の進め方について教えてください。
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A
通院もそうですが、きちんと薬を飲み続けることが必要なので、患者さん自身の自己管理は大事になります。ですから、最初にどういう病気かということを丁寧に説明して、患者さんに理解していただきます。内視鏡の検査結果をもとに、腸のどこにどれくらい炎症があるのかを患者さんの目で見ていただきながらご説明します。薬の種類も内服だけでなく、お尻から入れる薬や注射、点滴などいろいろありますので、一人ひとりに合った方法で治療を進めます。初回検査後は半年から1年の間に再度、内視鏡で確認をします。通院の頻度は症状の程度によりますが、最初は2週間に1度程度、落ち着いてきた方であれば1ヵ月~2か月に1度になります。