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橋本 希 院長の独自取材記事

はしもとレディースクリニック

(綾歌郡宇多津町/宇多津駅)

最終更新日:2021/10/12

橋本希院長 はしもとレディースクリニック main

宇多津駅から徒歩15分の場所に位置する「はしもとレディースクリニック」は、乳腺・肛門・一般内科・一般外科の診療を行う、女性による女性のためのクリニックだ。外科を専門とする院長の橋本希先生が「女性が恥ずかしいと思わず気兼ねなく受診できる環境をつくりたい」という思いを込め、2020年3月に開院した。表情は明るく、やわらかな印象の橋本院長だが、患者とのエピソードを語りながら「治せなかった方のことは忘れられません」と涙ぐむ場面もあった今回の取材。医師としてだけではなく、一人の人間として女性たちの健康をサポートしたいという強い熱意を感じさせる橋本院長に話を聞いた。

(取材日2021年6月21日)

すべて女性スタッフが対応する女性のためのクリニック

開院されるまでの経緯をお聞かせください。

橋本希院長 はしもとレディースクリニック1

香川大学や坂出市立病院に勤務時より、消化器外科と乳腺外科が専門でした。乳房やお尻に関して、男性医師から診察を受けることに抵抗がある女性の患者さんは受診を先延ばしにされていました。そして、女性の医師を探して私のところに来てくださった時には大変な状態になっていた、というケースが時々ありました。「女性の先生がいることを知っていたらもっと早く診察に来ていたのに」と皆さん口をそろえておっしゃるんですね。この頃より、もっと早く女性たちに受診してもらえる環境の必要性を強く感じていました。また、私自身も3年前に大病を経験し、早期発見と早期治療、そして予防の大切さを身をもって実感したのです。大規模病院に勤務し、外科医師として大きな手術をすることにやりがいも感じていましたが「早期発見と予防のための医院があっても良いんじゃないか」という気持ちが固まり、開院に至りました。

医師をめざされたきっかけはありますか?

実は私、小さな頃は学校もまともに行けないくらい病気ばかりする子だったんです。ですので、近所の開業医にも頻繁に通っていて、そこの先生が大好きで憧れていたんです。その先生は、子どもの私にも病気のことをとても丁寧に説明してくれる方で、お話を聞くうちに医療に興味を持つようになりました。最初は薬学部に進学したのですが、思い描いていた憧れの先生の姿とは相違を感じたので、医学部に入り直しました。そして、先生と同じ外科の道へと進みました。外科でお会いした時には先生はとてもびっくりされていましたね。学校もまともに行けていなかった子が外科医師になったって思われたんでしょうね。

こちらのクリニックの特徴や強みはなんでしょうか?

橋本希院長 はしもとレディースクリニック2

医師・受付・看護師・放射線技師までスタッフ全員が女性という点ですね。恥ずかしさや抵抗感が出やすい診療や検査も、すべて女性スタッフが対応しますので、気兼ねなく安心して受けられるように環境を整えています。痔、イボ、乳腺、巻き爪など、局所麻酔でできる手術は当院で施術します。また、院内はリラックスしていただけるように、お気に入りのカフェをイメージして設計してもらいました。このエリアを選んだのも、街並みの雰囲気が私が思い描く医院のイメージにピッタリだったこと、人口増加に対して医院が少ないので必要とされるのではないかとも考えたからです。

デリケートな悩みも気兼ねなく安心して受診してほしい

乳腺外科や肛門外科は、どのような症状の患者さんが対象ですか?

橋本希院長 はしもとレディースクリニック3

乳腺外科でまず多いのが、市町村や職場で行われる乳がん検診で引っかかり、精密検査が必要となった方ですね。他には、乳房の痛みや違和感を感じる、授乳中で乳腺に痛みがある、乳房にしこりを見つけた方などです。肛門外科は、出血する、お尻が痛い、かゆいなどの症状です。女性は出産をきっかけに痔を患うケースも頻繁にありますので、そういったご相談も多いです。来院されるのは40~50代と比較的若い方の受診が多い印象です。ただし、この辺りは若い世代が多いエリアですので、その影響もあるのかもしれませんね。

乳がん検診を受ける方は増えていますか?

検診を受ける方は徐々に増加傾向にありますが、香川県の乳がん検診の受診率は低い傾向にあるといわれています。しかし、乳がんの発見率はとても上がっているように個人的に感じています。私が医師になったばかりの18年くらい前に比べると、確実に乳がんと診断した患者数は増えています。食生活の欧米化による脂肪量の増加、更年期のホルモン治療の影響などが原因として考えられています。しかし、仮にがんが見つかったとしても早期であればあるほど、治癒につながる可能性が高くなると思います。ご自身のために、しっかりと検診は受けていただきたいですね。

乳がんと診断された方とは、どのように向き合っていらっしゃいますか?

橋本希院長 はしもとレディースクリニック4

検査結果はご本人が1人で聞きに来られることが多いので、結果をお伝えした時が告知なんです。皆さん頭の中が真っ白になると思います。がんは香川労災病院などへ紹介させていただいておりますが、すぐに診てもらえる場合は少なく、紹介先への受診日まで予約待ちの期間があります。そういった期間に、整理がつかないという方には何度も足を運んでいただき説明を受けることで、少しずつ頭の中を整理していってほしいと考えていますね。そうでないと治療を頑張れないと思うからです。外科医師としてさまざまな手術をしてきましたが、乳がんは乳房を失ってしまうので精神的なダメージの質が違うと感じています。手術を受ける紹介先の病院ではゆっくりと話をすることは業務量的に難しいかもしれません。ですので、地域のクリニックの当院でしっかりとお話をして納得され、不安を少しでも軽くしてから送り出したいと考えています。

早期発見・早期治療のためにできることを

早期発見のために自分自身でもできることはありますか?

橋本希院長 はしもとレディースクリニック5

そうですね、検査を受けられる場合はマンモグラフィと超音波検査の両方受けられることを推奨しています。なぜならマンモグラフィで感知しやすいがんと、超音波検査で感知しやすいがんがあるからです。そして、検査を受けて心配がないとわかったその日に、現状の健康なご自身の乳房をしっかりと触って覚えておいてください。それからは1ヵ月に1度くらいのペースでご自分で触ってチェックしてみてください。検査を受けた日と比べて違和感があれば、「悩まずにクリニックに来てください」と患者さんたちには日頃からお伝えしています。

特に印象深い患者さんはいらっしゃいますか?

研修医だった頃に出会った女性のことをよく覚えています。たまたま私と同い年で、赤ちゃんと小さなお子さんを連れて「なんかお乳が変なんです」と訴えて病院にいらっしゃいました。診察の結果は乳がんでした。すでに、かなり進行していたので、彼女は紹介先の大学病院で治療に臨まれました。その後、私も再び大学病院に戻ったことで彼女とのお付き合いは長く続いたのですが、闘病の末に一昨年亡くなりました。でも、それまではがんと闘いながらも、お子さんの野球の応援に参加されるなど、お母さんとしての仕事もしっかりとされていましたね。本当によく頑張って逝かれたと思います。このクリニックを開業すると決めた時も彼女に「患者さん第一号になってね」と約束していました。結局、開院前に亡くなったんですが、ここの第一号は彼女だと考えています。そして「彼女がもっと早く病院に来てくれていたら」という思いがずっと消えず心に残っています。

最後に、女性の皆さんへメッセージをお願いします。

橋本希院長 はしもとレディースクリニック6

気がかりなことがあれば、とにかく早く来てほしい、これに尽きます。乳房とお尻の検査を嫌がる方は多いと思いますが、検診で引っかかった場合は精密検査を受けてください。また、お尻の出血について、がんが潜んでいるかは大腸内視鏡検査をしなければわかりません。潰瘍性大腸炎など難病のケースもあります。「痔だろう」で済ませずに、出血したら診せていただきたいです。乳がんは罹患者も増加傾向にありますが、放置している方もおられます。がんが広がり乳房の皮膚に潰瘍ができるまで放置して「病院に行くのが怖かったから」と言われる方もいます。でも、がんは早期であれば対応できます。「もっと早い段階で来てほしい」というのが医師の本音ですね。女性が気兼ねなく安心して診療が受けられる環境をつくりたいと思い、このクリニックを開院しました。日々の気になる小さな症状や「何科を受診したら良いのか」といったご相談も気兼ねなくしてください。

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