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高橋 則尋 院長の独自取材記事

志度あきやまクリニック

(さぬき市/志度駅)

最終更新日:2021/10/12

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JR高徳線志度駅から徒歩約13分の場所にある「志度あきやまクリニック」。透析クリニックが少ないこの地域の患者に、もっと手軽に透析治療へ通ってもらいたいとの思いから開院された。院内はホテルのロビーのような落ち着いた雰囲気が特徴だ。高橋則尋院長は、腎臓内科を専門にしており、「沈黙の臓器」ともいわれる腎臓の病気を早期発見して早期治療につなげることで、重症化を防ぎたいと日々の診療に尽力している。2021年春には通所リハビリテーションも開始し、病気の治療だけでなく患者の生活を向上させることを目標に診療にあたっている。同院の特徴のほか、腎臓機能を悪化させないために気をつけてほしいことなど、高橋院長にさまざまな話を聞いた。

(取材日2021年7月9日)

患者の負担を減らす、身近なクリニックでの透析治療

先生が医師をめざされたきっかけを教えてください。

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中学2年の夏に「恩師にインタビューをしましょう」という課題が出たんです。小学校の時に出会った先生で、病児や障害児の教育にとても熱心な先生がいて、尊敬していました。その先生にインタビューに行ったとき、逆に先生からいろいろ質問されたんです。通っていた中高一貫校のモットーを聞かれ「皆に貢献できる、助けられる人材になろう」だと話したら、「弁護士や医師は直接人を助けられる職業だね」と。理数系が好きだった僕に、医師という職業を勧めてくださいました。思えば親も医学の道に進むことを望んでいたようですが、中学生の頃は親への反発もあってその言葉にはあまり聞く耳を持たなかったのですが、先生の言葉は胸にストンと落ちたんですよね。それが医師をめざしたきっかけです。

志度地区で開院されることになったのはどのような経緯からですか?

当院の院長になる以前は、香川町の本院に勤務していました。理事長の専門が泌尿器科で僕が腎臓内科ということで、腎臓疾患の診療を特色に出しているクリニックなんですね。その中でも特に人工透析に注力していました。昨今患者さんの高齢化に伴って、慢性腎不全の方が増え、透析をしなくてはいけない方が増加しています。ですが、この周辺では基幹病院で透析を導入した後に、治療を引き継げるクリニックが足りなかったんです。透析は基本的には週に3回通わなくてはいけないので、遠くまで通院するのは、患者さんにとって負担が大きいです。この場所で開院して、困っていた患者さんに自宅の近くで治療を受けていただくことで、地域に貢献できれば良いなと考えました。

患者さんの年齢層と主訴について教えてください。

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やはり高齢の方が多いです。現在透析患者さんの最高齢は90歳代ですし、70代・80代の患者さんも多いです。透析が必要となる腎不全を引き起こすとされる病気はさまざまありますが、僕が医師になった30年前は、30代や40代で罹る腎炎の患者さんが多く、透析患者さんも50代の方が多かったです。現在は糖尿病から透析が必要になる方が多いので、高齢の患者さんが多くなっています。透析以外の患者さんは、高血圧症・糖尿病・高脂血症など生活習慣病で通院されている方が多いですね。実は香川県は、道路の整備が進んでいて車移動が多いため歩くことが少ないといわれています。また、野菜の摂取量が少ないこともあり、生活習慣病の罹患率が高い傾向にあるので気をつけてほしいです。

腎臓病の早期発見、早期治療を

ところで、腎臓内科を専門に選ばれたのはどのような理由からですか?

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現在はいろいろな科で学んでから専門を決めますが、僕たちの頃はまず医局に入ることになっていて研修制度がなかったんです。僕はできれば「生死に関わる病気に関わることで患者さんを助けたい」と思っていたので、さまざま考えた結果、循環器系と言われる心臓、腎臓、脳血管を診る科に所属しました。この3つの中でどれを選ぶかは入ってからじっくり考えようと思っていたのですが、入局のあいさつに伺った時にお話をしてくださった先生が腎臓を専門とされていて、先生の一言でと言ったらなんですが、腎臓を選ぶことに決まってしまってたんですよね(笑)。そういったきっかけではありますが、腎臓を選んだことにまったく後悔はないですね。

腎臓について日頃意識することは少ないと思います。どのように病気に気づくのでしょうか?

世界の人口比を考えると、日本は透析を受けている患者さんの割合が高いです。それは日本の医療が進んでいることに加え、健康診断の制度が整っていて、誰でも気軽に血液検査や尿検査を受けられることが大きいと思います。腎臓は沈黙の臓器ともいわれており、病気を見つけるのは実は非常に難しいのです。しかし、日本は検査がすぐできることで早くに病気を見つけやすく、早期治療につながりやすい環境にあります。他には血圧の異常で気づくこともありますが、それも患者さんご自身で気づくケースは少ないですね。透析になってからではQOLを上げることは難しいので、透析に入る前の段階で専門家が介入し、血圧や食生活を管理していくことが大事なのです。

腎臓病にならないようにするために、私たちが気をつけたほうが良いことを教えてください。

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とにかく塩分に気をつけることです。和食は健康的な食事だと思いますが、どうしても塩分が多くなりがちです。塩分を多く摂取すると、体に水をためこみやすくなります。そこから血圧の上昇につながり、腎臓機能の悪化を引き起こす、だから塩分を控えましょうと以前はお話ししていました。しかし、最近の研究では、塩分そのものが腎臓を悪くする可能性を指摘するものもあり、血圧が低い人も気をつけなくてはいけないと考えています。野菜や海藻には塩分の排出を助ける働きがあるとされる、カリウムやマグネシウムが多く含まれているので、なるべくそういった食材も取り入れた食事を心がけてほしいです。

患者の心に寄り添う癒やしの医療をめざす

先生の医師としての信条についてお聞かせください。

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僕の座右の銘は、「時の流れに身を任せ」「捨てる神あれば拾う神あり」「随所に主たれ」の3つです。人生は流れを大切にしたいと考えていて、どちらかというと自分で開拓していくのではなく、声をかけていただいたご縁を大切にし、この方が拾う神なんだと考え身を預け、任せるタイプです。そして、預けたからにはそこで主となれるように頑張ろうと考えています。当院を開院するにあたり、秋山先生から「人工透析の空白地域である志度地区をなんとかしたい」という思いを伺い、僕もそのお手伝いができればと、重責ですが頑張っています。

心に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

1人は僕が駆け出しの頃の患者さんで、難病にかかり治療が難しい方でした。僕は1日2回は病室に診察に行くと決めていたのですが、その方はどんどん病状が悪くなりその姿を見るのがつらくて病室から足が遠のいてしまうことがあったんです。その時「患者は先生の顔を見るのが一番の薬なんですよ」と言われ、何よりも日々接することが大事だと改めて考えた出来事でした。もう1人は、2歳の時から若年性リウマチを患っていて、20代半ばで腎不全になってしまい透析が必要な状態でしたが拒否されていて。「こんなにつらい状態なのだから、透析をしないと駄目ですよ」と話したら、ポツリと「私はずっとつらい状態だから、何がつらいのかわからない」と言われたんです。それを聞いた時、もっと患者さんに寄り添うことが大事だと実感しました。この2つの経験が、僕の医師としての礎になっています。

最後に、今後の展望を教えてください。

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僕も60歳になり体力に任せてというのもだんだん難しくなってくると思いますが、逆に蓄えた知識や経験があるので、それを医療への恩返しと思い、還元したいと考えています。今年、クリニックとして新しく始めたことは、介護保険が使える通所リハビリです。加齢によって筋力が衰えたり家にこもりがちになったりしてしまう状態のことをフレイルといいますが、残りの寿命に大きく関わってくるといわれているので、そういう方たちが日常生活の動作練習や筋力強化をすることで、生活能力を上げられるようにと考えています。医療だけでなく患者さんの暮らし全体を見ていきたいというのが、理事長をはじめとするグループとしての思いです。

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