大久保 博世 院長の独自取材記事
相模原町田血管外科クリニック
(相模原市南区/相模大野駅)
最終更新日:2025/08/29
相模大野駅北口より徒歩2分という便利な場所にある「相模原町田血管外科クリニック」。北里大学病院などで長らく血管外科診療に携わってきた大久保博世院長が、透析患者へのシャント造設・シャントトラブル対応や、下肢静脈瘤の検査・治療という専門的な診療を提供したいと、出身地の相模原で開業した。「血管専門クリニックとして、地域の方はもちろん遠方からも多数の方に来院いただいています。基幹病院との連携もさらに深め、当院ならではの役割を地域で果たしていきたいと考えています」と大久保院長は抱負を語る。身近なクリニックという場で提供する専門的な医療の特徴や、地域にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2025年2月27日)
血管外科の専門性を生かし、愛着ある地域に貢献したい
クリニックの特徴を教えてください。

血管外科が専門分野なのですが、中でも足の血管の病気である下肢静脈瘤の検査・治療と、血液透析治療に必要なバスキュラーアクセスの代表的なものである透析シャントの造設手術、狭窄・閉塞といったシャントトラブルなどに対し、いずれも日帰り手術で対応することを特徴としています。下肢静脈瘤は日本人の10人に1人がかかるともいわれており、あまり自覚症状がないのですが、進行すると静脈炎や色素沈着、潰瘍を引き起こすため、早めの受診をお勧めしたい病気です。また、シャントトラブルは対応が遅れると透析のスケジュールにも影響を及ぼします。これらの対応を、遠方の基幹病院まで足を運ばずとも地域のクリニックで完結して行うことで、当時流行していた新型コロナウイルス感染症のリスクをできるだけ避けながら健康を守りたい、QOLを上げたいという方々の思いに応えられたらと開業に至りました。
好アクセスかつバリアフリー設計で、通いやすそうですね。
足の症状を持つ方でも通いやすいよう、相模大野駅から徒歩約2分というアクセスの良さを重視しました。ビル2階になるのですが、専用階段は十分な広さがあり、付き添いの方がおられる場合にも比較的使いやすいのではと思っています。階段下のベルで呼んでいただければ、エレベーターもご利用いただけます。院内は十分なスペースを確保し、車いすでも楽に動いていただける設計に。下肢静脈瘤の超音波検査も診察室内で行えるようにし、できるだけ移動が必要ないように考慮しました。
下肢静脈瘤について教えてください。

下肢静脈瘤は、軽症の場合には自覚症状があまりない病気なのですが、重症化すると色素沈着や潰瘍という傷ができ、そこから治療を始めると時間がかかってしまいます。また、再発防止のため、早期から専門性を持つ医師による適切な治療を受けることがたいへん重要です。むくみや皮膚表面に近い足の静脈がぼこぼこしているように感じることがあれば、ぜひ早めに受診していただきたいですね。超音波検査で血管の弁の状態を確認し、むくみの原因となるような弁不全があれば、まず、脚を圧迫するために医療用の弾性ストッキングを着用してもらうなどして、その症状が下肢静脈瘤に由来するものか否かを判断します。そこで、下肢静脈瘤であることが判明すれば、手術を検討することとなります。手術方法はいくつか選択肢があり、症例に合わせて適切な治療を選択することが大切です。当院では患者さんの負担が少ないレーザーによる血管内焼灼術を主に行っています。
下肢静脈瘤とシャント対応の日帰り手術を気軽に
下肢静脈瘤治療ではどのようなクリニックを選ぶべきでしょうか。

下肢静脈瘤には伏在(ふくざい)型、側枝(そくし)型、網目状、くもの巣状の4タイプがあり、伏在型ではレーザーでの血管内焼灼術などの外科治療が、それ以外では硬化療法や弾性ストッキングによる治療が適しているといったふうに、症例によって適切な治療が変わります。この判断には十分な知識と経験が求められ、初期治療を誤ると治療が困難になってしまうことも。血管外科を専門とする医師が診断・治療を手がけるクリニックを選ぶべきです。当院では下肢静脈瘤の患者さんはすべて院長である私が診療し、2台のレーザー機器を症例ごとに使い分けて治療しています。私は大学病院などで長年、命に関わる腹部大動脈や胸部大動脈、下肢動脈の難しい血管内治療を専門的に行ってきましたが、下肢静脈瘤の血管内焼灼術も同じ血管内治療です。患者さん一人ひとりに同じ思いを持って真摯に治療にあたっています。
血管内塞栓術と血管内焼灼術で悩む方も多いとか。
下肢静脈瘤では、数年前に国内で保険適用となったグルー治療という血管内塞栓術を勧められるケースも多いようです。血管内塞栓術と血管内焼灼術は、いずれも比較的低侵襲で、よく用いられています。しかし、血管内塞栓術と比較しても血管内焼灼術は合併症が少なく、血管外科を専門とする医師の多くはこちらを支持しています。当院では北里大学の後輩や慶應義塾大学出身など、私を含めて4人の医師が在勤していますが、いずれも血管外科を専門に、数多くの手術を手がけた経験の持ち主。血管外科分野で長く活躍してきた看護師もおり、安心して受診していただける体制です。
透析シャントの造設手術やトラブル対応についても教えてください。

こちらも基本的には、日帰り手術で対応いたします。透析シャントとは、血液透析を行う際に十分な血液量を確保するために、動脈と静脈を体内でつなぎ合わせた血管のことをいいます。自家静脈や人工血管で作製しますが、繰り返し使用するうちに再手術や血管拡張といったメンテナンスが必要になることがあります。当院で造設されたシャントに限らず、他院で造設されたシャントでもメンテナンスをお引き受けしていますが、これも、今の時代においては、なるべく地域の医療機関で対応させていただくのが良いという考えによるもので、当院のある相模原・町田エリアの透析患者さんの助けになればと思っております。また、これら以外の血管外科の病気や、一般外科、動脈硬化や高血圧など内科の診療も行っておりますので、地域のかかりつけ医として頼っていただければと思います。
病診連携も深め、地域医療に欠かせない存在をめざす
医師を志されたきっかけは何ですか。

もともと私自身、何か人の役に立てる仕事に就きたいと思っていたのですが、進路を考える際、弁護士である父が、私には医師が向いているだろうと勧めてくれたことがきっかけです。血管外科に進んだのは、血管の疾患で祖父が亡くなったことが頭にあったからですね。同じような病気の方を治したい、何とかお役に立ちたいと思ったのです。実際に、大学病院の心臓血管外科では、そのような患者さんの手術を来る日も来る日も行ってきましたので、祖父も天国から喜んでくれていたらと思います。
そこから、地域医療に貢献へと、軸足を移されたわけですね。
血管外科というのは狭い世界で、医師同士もよく知っている間柄だったりするのですが、かつて私を指導してくださった先輩2人が、やはり血管外科で開業をされているんです。地域は異なりますが、それぞれのご活躍ややりがいなども伺っていて、私自身もいつかは地域医療に転身したいと、10年ほど前から思うようになっていました。そこで、小学生くらいの頃からなじみのある相模大野で開業をすることにしたのです。また、北里大学病院でも、これまで手術をさせていただいた患者さんのフォローがありますので、引き続き非常勤で診療に携わっています。ですから、当院の患者さんでも、特別な手術や加療が必要な場合には、北里大学病院へ紹介させていただくことも可能です。開業以来、下肢静脈瘤も透析シャントも患者さんが多く、ニーズの高い分野であると実感しています。
地域でどのような存在でありたいですか。

下肢静脈瘤の治療であれば「相模原では当院」と思っていただけるくらい、頼りにしてもらえればありがたいです。また、透析シャントの造設・トラブルについては、この地域で対応できるクリニックはあまりありませんので、ぜひお役に立てたらと思います。北里大学病院からの要請を受け、春からは在宅で化学療法を受ける方に、中心静脈ルートを確保するためのポートの皮下埋め込み手術も日帰りで実践していく予定です。在宅でのがん治療に欠かせない手術ですが、当院が担うことで役割分担が図れ、大学病院にはより難しい手術に専念してもらうことができるでしょう。今後もこうした連携を深めながら、血管外科という専門性を生かし、スタッフと気持ちを一つにして、地域の皆さんに安心して頼りにしていただけるクリニックであり続けたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは弾性ストッキング/3200円(メーカーによって費用は異なります。あくまで目安ですので、詳しくは医院までお問い合わせください)

