伊勢川 健吾 院長の独自取材記事
博多いせがわ内科循環器内科
(福岡市博多区/呉服町駅)
最終更新日:2023/06/21
地下鉄呉服町駅の1番出口からすぐの場所に位置する「博多いせがわ内科循環器内科」。2019年に伊勢川健吾院長が継承開業した同院は、風邪や胃腸炎などの一般内科をはじめ、循環器の病気や糖尿病なども診てくれるクリニックだ。伊勢川院長が以前、同院の周辺にある基幹病院で勤務していたため、精密検査や専門的な医療を行うこれらの病院と連携し、必要があればスムーズに紹介してくれるのが同院の大きな特徴。問診で患者の話にしっかり耳を傾け、どの病院に行けばいいかわからない患者の医療の窓口的な役割を担っている。落ち着いた口調の中にも患者のためにという熱い思いがにじみ出る伊勢川院長に、診療への想いや今後の展望などを聞いた。
(取材日2023年4月14日)
医療の窓口として周囲の医療機関と素早く連携
こちらには、どんな世代、症状の患者さんが来院されるのでしょうか?
当院はオフィス街に位置していますので、約半数は会社勤めの方たちで、残りの半数は20〜80代と幅広い年齢層の近隣の方々にお越しいただいています。家族ぐるみで来られる患者さんも多いですね。以前は当院と同じ区にある基幹病院などで勤務していましたので、当時から診ていた方も引き続きこちらに通ってくださっています。主訴としては、風邪や胃腸炎など突発的な症状から、循環器系や心不全、高血圧など定期的に通院が必要な症状などもあります。医師は私が1人で、看護師が常時2~3人、生理検査技師が1人います。以前から一緒に働いていたスタッフが多く、うまく連携が取れていると思います。家族ぐるみで来られる方や高齢の患者さんなどに、うまくコミュニケーションを取ってくれていますね。
こちらのクリニックの特徴を教えてください。
CTやMRI、消化管内視鏡など詳しい検査の要望があった際、周囲の病院とすぐに連携が取れることが大きな強みです。クリニックだけで検査や治療が難しいケースでは、当院から直接、近隣の原三信病院や済生会福岡総合病院などを予約できます。日頃から病院と密にコミュニケーションを取ることで、私の専門外の検査などもすぐ対応してくださいますね。患者さんの中には「どの病院に行くべきかわからなくて、とりあえず来た」という方も多いんです。専門の先生がわからず迷われることもあると思いますが、この症状ならこの病院のあの先生が得意だ、ということもある程度把握できているので、まずはご相談ください。
診療で大切にしていることは何ですか?
患者さんが体調不良や健康への不安を感じた時、気軽に相談できる存在であることです。そのために無理のない治療計画を立て、患者さんとの信頼関係を築こうと心がけています。受診しても治療継続のための必要な通院をやめてしまうといった話もよく聞きますが、必要な通院を続けてもらうには何よりも信頼関係が必要でしょう。また、診療では医師に「この薬を飲みなさい」と言われただけでは、飲む意味や必要性を感じられないですよね。ですから当院では病気や治療に関して情報を整理した上で、きちんと説明し、納得してもらうことで治療のモチベーション向上に努めています。その時の症状は軽いとしても、小さな体調変化や病気をしっかり治さなければ後々大病につながる可能性も。「こんなこと聞いても良いのかな」と思わず、些細なことでも質問していただけるとうれしいです。
患者の話をじっくり聞いて状況を把握し具体的に説明
医師になられてこれまでどのような経験を積まれてこられたのでしょうか?
専門性の高い病院から、一人ですべての分野を診る病院まで、幅広く経験させてもらったことは力になっています。九州大学病院に勤務していたとき、そこから週1回のペースで4年間船で通って、長崎県壱岐市の病院で診察を担当しましたので、限られた医療資源の中で対応することも得意です。一方で、当院は都市部にあるため、周囲の病院と連携して先端の検査や治療を受けてもらう判断をすることも可能です。患者さんが来院された際、しばらく様子を見て良さそうなのか、それとも早めに病院に紹介したほうがいいのか、その判断が私の大事な役割だと思っています。一昔前の医療は精密な検査法が確立されていない部分も多く、経験と勘で診ることもありました。しかし現代では医療機器や医療技術が大きく進歩していますので、周囲の病院と連携し的確に診断して、適切な治療へとつなげていくことが当院の役割だと考えています。
クリニックでの診療では、どのようなことにやりがいを感じていますか?
病院勤務の時は症状が悪化した状態になってしまった患者さんを診る機会が多くありましたが、そもそも、いかに病気にならないようにしていくかがとても大事です。そのために、患者さんにとって医療の窓口になる当院のような地域のクリニックには、患者さんの状態を把握し、管理していくことが求められます。勤務医時代は1日にかなり多くの方を診ていたので、ゆっくり会話をすることもできませんでした。今は、一人ひとりの患者さんと向き合ってお話しすることができ、患者さんの現在の状況や治療方針など、じっくりご説明できているのが大きなメリットですね。患者さんとお話しして治療に対するご要望や生活スタイルを把握し、治療を継続していただけるよう意識しています。
患者さんと関わる際に意識していることを教えてください。
「患者さんが何を求めて受診しているのか」をしっかり確認することです。患者さんごとに考えがあり、同じ病気を抱えている方でも治療に求めることが違います。どこまで検査し、治療したいのか患者さんによって変わるんです。例えば、壱岐にお住まいの方が詳しい検査を受ける場合、福岡市内に受けに行っていただくことが多くありました。高齢者の方ですと福岡まで検査に行ったばかりに入院を余儀なくされ、ずっと暮らしてきた壱岐に戻れなくなってしまったこともありました。当時、先輩の先生から「その方にとって果たして何が幸せなのか判断してほしい」と言われ、考えさせられました。このケースに限らず、状況ごとにその人が何を求めているかを丁寧に判断していきたいです。
循環器の専門家として糖尿病の治療にも尽力
生活習慣病の治療にも力を入れていると聞きました。
生活習慣病は循環器疾患と関わりが深いので、当院では心疾患や高血圧をはじめ、特に心血管合併症発症への関与が高い糖尿病の治療に力を入れています。糖尿病は循環器診療を行うにあたり長く勉強してきたので、薬やインスリン注射の管理に運動療法や食事療法を組み合わせて適切に治療を進めます。糖尿病に限らず、生活習慣病治療の基本は生活習慣の改善ですから、クリニックとしてはすぐに薬に頼らない方針。まず患者さんの話を聞き、運動不足や栄養バランスの偏った食事など、是正ポイントがあればそこから取り組むよう伝えます。ただ、長年の習慣を変えるのは難しいものなので、患者さんには「70点や80点で良いですから、数年継続することをめざしましょう」とよく話します。細かすぎる指導は続かないだけでなく意欲を削ぐこともあるので、無理のない範囲のアドバイスが肝要です。
生活習慣病を予防するためにできることはありますか?
健康診断で血圧やコレステロール値、心電図に異常が見つかったら、早めに相談にいらしてください。患者さんを診ていると、異常が見つかっても受診まで時間がかかる方が多いと感じます。早ければ1~2ヵ月ほどで来院されますが、半年や1年近く空く方も珍しくありません。生活習慣病は初期なら生活習慣の改善だけでの治療も可能です。そして、目に見える症状がないからといって放置すると脳梗塞や狭心症、心筋梗塞など命に関わる病気に進行するリスクがあるんです。生活習慣病の予防、そして重大な病気のリスクを減らすためにも早めに受診してください。
最後に今後の展望と読者にメッセージをお願いします。
些細な症状や検診異常を契機にクリニックを受診し、当院もしくは紹介先の病院で検査をしたら大病が見つかった人を多く見てきました。体調に変化を感じたり、健康診断で異常が見つかったりした場合には、「自分は大丈夫」と考えずできるだけ早く相談してください。また、生活習慣病の治療や生活習慣の改善を必要とする方で、なかなか効果が実感できていない方もご相談ください。生活スタイルや人生において大切にしたいことを踏まえ、できるところから一緒に取り組みましょう。地域の方々にも、当院を通じて定期受診の重要性を伝え、健康意識向上に寄与したいと思っています。不安や困り事があればいつでもお待ちしています。