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細田 亮 院長、菅原 安章 先生、中村 安則 さんの独自取材記事

はもれびクリニック

(鎌ケ谷市/初富駅)

最終更新日:2022/08/05

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新京成線・初富駅徒歩3分の場所に、在宅医療を専門に行う「はもれびクリニック」の事務所がある。前身は、同じく在宅診療を行う「くぬぎ山ファミリークリニック」で、2021年11月に移転したのを機に医院名もリニューアルし、新たなスタートを切った。今回話を聞いたのは、優しく丁寧な語り口ながらも、話しているだけで元気がもらえそうな細田亮(ほそだ・とおる)院長と、院長の右腕としてクリニックの運営を支え、グループ内介護老人施設の施設長としても活躍する菅原安章先生、グローバルな視点から社会貢献を考える事務長の中村安則さんの3人。お互いに信頼し合い意欲高く仕事に取り組む仲良し3人組といった雰囲気は、実に頼もしくうらやましいほど。看取りに対する考えや将来の野望などさまざまな話を聞いた。

(取材日2022年7月1日)

患者と家族との信頼が安心を生む

新しい事務所はすてきな空間ですね。

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【細田院長】おかげさまで訪問するご家庭も増え、スタッフの数も増えましたので、以前の「くぬぎ山ファミリークリニック」では手狭になりまして、この場所に移転してきました。ご家族や地域の方々とふれあえる広いスペースが欲しかったので、イベントのできる広いフリースペースと事務所スペースの両方をしっかり確保した「はもれびクリニック」ができあがりました。フリースペースを活用して、予防医療の一環として体操をしたりさまざまなイベントを地域の方たちとともに開催しています。また私たちの訪問エリアである鎌ケ谷市の中心部にありますので、スムーズな訪問ができるようになりました。

在宅医療は気遣われる点も多いのでは?

【細田院長】ご家庭では、そのご家族や患者さんの素の部分が見られるとともに、理解するためのチャンスがたくさん詰まっていて、人となりがよくわかります。例えば、初回の訪問では看護師が血圧などのバイタルをチェックしている間に、ご家族とお話しさせていただくのですが、話をしながら、遠慮していないか、ご家族の関係性はどうなのか、本音を出していただいているのか、そういったことも見ています。医療スタッフの前では気遣って、本音は違うのに大丈夫とおっしゃる方は多いんです。私たちはできるだけ「敷居の低い関係性」をつくろうと日々工夫しているので、困っていること、不安に思っていること、できる限り話してほしいですね。ご家族の愚痴なんかも大歓迎です。患者さんやご家族に「こんなによく話せるお医者さんも看護師さんもなかなかいないよ」と思っていただけるとうれしいですね。安心して医療を受けていただくためにも、信頼関係は大切です。

どんな患者さんが多いのですか?

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【細田院長】ご高齢の方をご自宅で介護・看護される場合にお手伝いすることが多いですね。ほかにも当院では、自宅療養されているがん患者さんや難病の患者さんも積極的に受け入れています。間口が広く、さまざまな在宅医療に対応可能ですが、私たちのクリニックの方針としては、患者さんの「疾患」を診るというより、患者さん「その人」を丁寧に診させていただくことに注力しています。
【中村さん】当院ではスタッフが家族と寄り添い、どうしたら患者さんをより良いかたちでお看取りできるか、患者さんもご家族も悔いなく過ごせるか、クリニックとご家庭が一つの家族のような雰囲気で取り組んでいます。

より良い人生の幕引きのために

看取りはとても難しいと思いますが?

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【細田院長】人生の最期の時を迎えるにあたりご本人もご家族も、できるだけ悔いなく残された時間を過ごす、やり残すことが極力ないように、そういうマネジメントができたらいいと思っています。最期だからこそ我慢してほしくない、思ったことは伝えて、会いたい人には会ってほしい。「思い残すことなく」というのは正直難しいかもしれませんが、ご家族にとっても全力で看護をやりきった、十分尽くしたと思えるようサポートしたいと考えています。私自身は大切なご家族のお看取りに関わらせていただけることに深く感謝しています。
【菅原先生】一人の人間がこの世で一生懸命生きて、つらいときも、輝けるときもあったと思います。今は認知症を患っていたり問題のほうが多いのかもしれません。でもネガティブな部分だけ見るのではなく、長い人生の中の輝きの部分も意識して、実りある人生で良かったねと、そんな最期を迎えられるようにしたいですね。

事務スタッフとしての関わりから思うこともおありかと思います。

【中村さん】こちらで働くようになって最初に驚いたのがスタッフの意識の高さでした。人のために自分に何ができるかを真摯に考え、さまざまな立場のたくさんの人々の人生と向き合い接している姿を見て、感動すら覚えました。スタッフたちはよく「良い看取り」ということを話します。例えば最期の3ヵ月間を本当に幸せに生きるにはどうしたらいいか、と。私自身義理の父を介護して看取りました。その時に夫婦でたくさん話し合いましたが、夫婦だけだと怖いんですよね。いつどうなるかわからないし、相談する人もいない。ここでは医師や看護師に相談し、友人や親戚と会ってもらって、さまざまなプランを立ててそれぞれのハッピーエンドにもっていきます。ご家族にとっては多くが初めての看取り。家族のケアも重要なんですよね。

菅原先生はどうお考えでしょうか?

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【菅原先生】看取り自体の考え方が変わってきています。以前なら高齢の方で回復の見込みが望めなくても病院に入院して、気管挿管をはじめあらゆる手を尽くすことが良いとされていました。しかし今は考え方が随分と多様化してきて、患者さんご自身やご家族の意思も尊重され、「その人らしい最期」に対する世間一般のコンセンサスも得られてきているように思います。もっとその議論が成熟していくといいですよね。長く終末期医療に携わっていると、理論的に説明できないこともありますが、そんな部分も大切にしながら、丁寧に患者さんやご家族と向き合っていきたいと思っています。

3世代での介護・看取りを提唱

細田院長は病院勤務から在宅診療に入られたのですよね?

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【細田院長】私は病院で血液内科の医師をしていました。ある意味残念なことに血液内科の疾患の多くは完治するものではなく、再発を警戒する必要があったりして一生にわたるお付き合いをすることが多いんです。それだけ患者と医師の関わりも深い。そんな診療スタイルの延長が今の在宅診療なので、私自身は違和感がないというか、疾患や臓器だけを診るのではなく、患者さん自身を丸ごと診たい、心の不安も相談してほしいという人間なので、今のほうが私なりの理想の医療に近い感じがしています。まさに天職ですね。医師という職業も自分に向いていると思っていましたが、在宅医療はもっとしっくりきています。

クリニックの特徴の一つとして臨床宗教師の存在があります。

【細田院長】臨床宗教師はまだまだ未開拓の分野でもあるので、当院でも試行錯誤しているところです。患者さんが生きていく上でどうしようもないところにアプローチしてもらっているので、今後ももっと質を高めていきたいと考えています。例えば、認知症は進んでいないが足腰が弱くなってしまったので施設に入ったけれど、入居者は重度の認知症の方が多くコミュニケーションが取れない、今すぐ生命の危機に瀕しているわけではなく意識ははっきりしているが難病のせいで声を発したり動くことができない、そんな患者さん方は日々葛藤を抱えておられることが多いものです。そのような時に臨床宗教師が丁寧に伴走することが必要だと思います。

今後の展望をお聞かせください。

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【細田院長】現在の日本は超高齢社会にあって、在宅医療の需要が増えていますが、その分さまざまなノウハウが蓄積されています。今後、日本に続き超高齢社会を迎える国々がたくさん出てくると思います。そんな時、日本の在宅医療のマインドが役に立つはずです。当院の「あなたがいて私がいる」というキャッチコピーにあるように、感謝の思いや尊敬の念を持って介護や医療に取り組む姿勢を海外の人にも伝えていきたいですね。またもっと介護や看取りの現場に若い人が関わってほしいとも思います。祖父母世代を親世代とともに孫世代が看取る、その経験が孫世代が親世代を看取る時の貴重な経験になるでしょう。そんな経験のリレーがあると、もっとゆとりをもって取り組むことができると思うのです。

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