骨粗しょう症は早期発見早期治療
薬とリハビリで健康寿命の延伸を
みやざき整形外科リハビリテーションクリニック
(福岡市博多区/南福岡駅)
最終更新日:2023/01/30


- 保険診療
骨が弱くなり骨折リスクを高める骨粗しょう症。日本には1000万人を超える患者がいるとされ、高齢化に伴ってさらに増加しているという。高齢になってからの骨折は寝たきりや寿命を縮めることにもなりかねないため、QOLを維持し健康寿命を延ばすためにも骨粗しょう症の早期発見、早期治療開始が肝要だ。そんな骨粗しょう症の治療に注力する「みやざき整形外科リハビリテーションクリニック」では、薬物療法に加え骨を鍛えるリハビリテーションを推奨している。「治療はある種、老化という時間に抗うもの。だからこそできるだけ早く病気を発見してうまく付き合っていくことが重要。それが健康寿命を延ばすことにつながる」と話す宮崎義久院長に、骨粗しょう症の症状や治療方法、リハビリテーションの活用などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2022年12月21日)
目次
薬とリハビリを組み合わせた骨粗しょう症治療で、骨折や入院の防止と健康寿命の延伸をめざす
- Qよく耳にする骨粗しょう症の具体的な症状を教えてください。
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A
▲「50歳を過ぎたら検査を受けてほしい」と語る院長
読んで字のごとく、骨が細くスカスカになってしまった状態です。骨の強度が弱くなるため骨が折れやすく、手首や肩などの骨折が初発の症状となることが多いです。自覚症状は少なく身長が少し縮んだ、背中が丸くなってきたと感じたら要注意。検査をしなければ診断ができないので、機会を捉えて骨密度検査を受けたほうが良いでしょう。初発の症状が起きたとしても体は元気で日常生活に戻れるため、検査を受けたり、骨粗しょう症の治療を始めたりする人は多くありません。進行すると、背骨の骨折や大腿骨頸部骨折などにつながり、治療にも時間がかかってしまいます。骨折を予防し、健康を維持するため、初期の段階で治療に取り組むことが重要です。
- Q高齢者がかかりやすいイメージがあります。
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A
▲モニターや模型を用いて、わかりやすく説明
確かに高齢の女性に多い病気です。男女で見ても出産や閉経などホルモンバランスが変化する女性のほうが罹患しやすく、閉経が早かった方や家族に骨粗しょう症の方がいらっしゃる場合や、子宮頸がんをはじめ婦人科系の大病を患いホルモン療法を受けた場合などは、若くても無視することはできません。また、生活習慣も関係しており、例えばビタミンDやカルシウムが不足している、喫煙やコーヒーを飲む習慣、運動不足も影響するといわれています。一方男性でも骨粗しょう症になるケースがありますが、骨の質が悪い人がなりやすい印象。骨密度はしっかりしているのに骨が折れやすいという、検査だけでは診断できない場合もあるため、注意が必要です。
- Q具体的にはどのような治療を行うのでしょうか?
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A
▲骨密度検査やレントゲン検査で、骨の状態を確認する
まずは骨密度検査で骨の状態を確認した上で、レントゲン検査で骨の形状を確認したり、採血検査で骨の新陳代謝のサイクルやビタミンDの充足状態を調べて、治療薬を選ぶのですが、注意しないといけないのが、腎臓の機能です。腎臓に負担がかかる薬もあるため、選択に注意が必要です。また、薬には効き目や副作用が異なります。年齢や合併症など、一人ひとりの背景を見極めて治療する必要があります。その後は定期的に骨密度検査と採血検査で治療成績や合併症を確認します。薬を使用していくことで徐々に骨の強度を強くしていきますが、場合によっては固くてもろい骨になってしまう場合もあるので、骨密度の数値を見ながら休薬することもあります。
- Q骨粗しょう症にはリハビリテーションも必要だとか。
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A
▲自宅でできる運動を含めたリハビリを継続することが重要
運動で骨を鍛えることがかなり重要です。日の当たる時間に15分から30分くらい散歩を行うこともお勧めですが、室内であれば重力に逆らうような運動も有用です。例えば、つま先立ちからの踵落としや、椅子からの立ち上がり動作、階段を上るなどの運動も骨を刺激することができます。クリニックでリハビリを指導する場合、一人ひとりの年齢、健康状態、運動能力、骨の状態などを考慮して運動指導を行います。継続することがことが大切なので、負荷がかかりすぎないように配慮することも必要です。ただ、クリニックでのリハビリは時間が限られているため、メインはご自宅でできる運動を指導すること。それを長期間継続してもらうことが重要です。
- Q健康寿命を延ばすためにもリハビリテーションは重要ですね。
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A
▲医師と理学療法士が連携し、治療を進めていく
リハビリの目的は、健康を維持することです。関節の制限や痛み、筋力低下を改善することで、日常生活のレベル低下を防ぐこと。結果として健康寿命を延ばすお手伝いができればと考えています。運動だけではなく、クリニックに通うために家を出る、次に最初は車でしか来れなかったのが、自分で歩いて通院できるようになる、そしてつえも手放せたなど、どんどん行動範囲が広がっていくことで人生が楽しくなっていくといいですよね。始めは疲れたり、痛みが出たりすることもあるでしょうが、最終的には通院でのリハビリを卒業できるようにしたいですね。そういう意味からもリハビリは重要ですし、理学療法士らスタッフが担う役割も大きいと思います。