入院なしで症状の改善につなげる
前立腺肥大症の日帰り手術
こまい腎・泌尿器科クリニック
(大阪市天王寺区/谷町六丁目駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
50代・60代の男性に増加傾向にあるという前立腺肥大症。加齢による男性ホルモンの減少が原因だといわれているが、詳しいことはまだはっきりとわかっていない。症状としては、尿が出にくくなったり残尿感を感じたりする排尿障害が現れ、悪化すると尿がまったく出なくなる尿閉という状態に陥り、腎不全を引き起こしてしまう可能性も。「こまい腎・泌尿器科クリニック」では、薬物治療に加えて日帰り手術にも対応することで、入院を伴わずに症状の改善を図る。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医である駒井資弘院長に、前立腺肥大症の原因や治療方法について、詳しい話を聞いた。
(取材日2020年7月8日)
目次
気になる症状を改善して日常を楽しく過ごせるように、家庭や仕事の事情で入院できない人にも対応
- Q前立腺肥大症とはどのような病気ですか?
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A
前立腺とは、尿道の周りを囲む男性特有の臓器です。前立腺が肥大して尿道を圧迫し、排尿障害を引き起こす病気を前立腺肥大症といいます。詳しい原因はまだはっきりとわかっていませんが、50歳以上の男性に増えていることから、加齢による男性ホルモンの減少が主な原因だと考えられています。前立腺肥大症の症状は進行の度合いによって異なり、おなかに力を入れないと尿が出なかったり、尿の切れが悪くなったりと、日常生活にさまざまな支障を来します。放っておくと、尿がまったく出なくなる尿閉になって腎臓に負担がかかり、腎不全を引き起こす可能性もあるため、早い段階で適切な治療を始めることが大切です。
- Qどのような検査で発見できますか?
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A
まずは検尿を行い、尿がにごっていないかどうかを確認します。それから、腹部エコー検査で前立腺の大きさや残尿具合を確認し、尿が出る勢いを調べるための尿流量検査を実施します。必要であれば、尿道からカメラを挿入し、膀胱の様子を見るときもありますね。ほとんどの場合は、腹部エコー検査を通して、前立腺肥大症かどうかを判断することができます。また、前立腺肥大症になると、合併症として過活動膀胱を引き起こす可能性も高くなります。悪性の疾患ではありませんが、治療によって症状の改善が期待できますから、気になる症状があれば一度検査を受けていただくことをお勧めします。
- Q治療方法について教えてください。
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A
検査で前立腺肥大症だとわかった場合は、患者さんが選択できる治療方法をすべて提示します。治療方法としては、薬物治療か手術での治療が一般的です。もしも手術が適用できると判断しても、まずは患者さんにとって負担の少ない薬物治療から始めることがほとんどです。ただし、薬が効かなかった人や副作用が出てしまった人、費用と体への影響に懸念がある人、薬の併用によって起こる有害事象のリスクを避けたい高齢の方だと、手術での治療が望ましいかもしれません。また、当院では入院できない人のために、日帰り手術にも対応しています。それぞれのメリット・デメリットについて説明し、患者さんご本人と話し合った上で治療方針を決定します。
- Q日帰り手術のメリットについて教えてください。
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A
例えば、仕事や家庭の事情から入院できないとなると、治療を諦めてしまう人も少なくないと思います。あらゆる理由で入院できない人のニーズに応えられるのは、日帰り手術の最大のメリットだと考えています。また、前立腺肥大症の患者さんは高齢の方が多く、例えば認知症の場合だと、入院することで体を動かしたり人と話す機会が減ったりして、認知症が進行してしまうこともあるといわれています。日帰り手術はその日のうちに自宅に帰れるため、それらの懸念も払拭できるのではないでしょうか。従来は術後に尿漏れすることもありましたが、当院が実施している日帰り手術は排尿機能の改善が期待でき、術後の悩みが少ないのもメリットの一つです。
- Q予防の観点から、日常で気をつけるべきポイントはありますか?
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A
前立腺肥大症の原因はまだはっきりとわかっていないものの、加齢による男性ホルモンの低下も原因の一つとして考えられているため、筋肉量の維持は大切です。というのも、男性ホルモンと筋肉量は密接に関係しているので、日頃から適度な運動を心がけていただくことで、前立腺肥大症を予防できる可能性があるのです。また、日常生活において、お酒の飲み過ぎや辛い物の食べ過ぎにも注意が必要です。ほかにも、トイレを我慢するのは避けていただきたいですね。前立腺肥大症以外にも、排尿を我慢するといろいろな病気のリスクになってしまいますから、トイレに行きたいと思ったらすぐに行くようにしていただければと思います。