過活動膀胱に新たな選択肢
ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法
こまい腎・泌尿器科クリニック
(大阪市天王寺区/谷町六丁目駅)
最終更新日:2025/12/26
- 保険診療
「我慢できないような強い尿意が突然起きて漏らしてしまった」「夜何度もトイレに行き、睡眠不足でつらい……」。これらは過活動膀胱の代表的な症状。これまでは内服療法や、膀胱を広げるための体操などを行うのが一般的だった。しかし新たな一手として、2020年からボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法が保険適用となった。「こまい腎・泌尿器科クリニック」の駒井資弘院長は、「泌尿器科ならどこでもやっています、という治療ではないので積極的に発信し、困っている人を助けられたらうれしい」と自然体で語る。頻尿の悩みは生活の質に関わり、日々のストレスも大きい。注射での治療は痛みが心配されるが、痛みに配慮し局所麻酔下で行っているという。この新しい治療法は、長年の悩みからの脱却につながるチャンスではないだろうか。
(取材日2025年8月4日)
目次
薬が飲めない、合わなかった人の過活動膀胱に。 ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法で悩みからの脱却へ
- Q過活動膀胱とはどのような病気ですか?
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A
▲先進の機器も完備し、幅広い症状に対応している
神経が不安定になり、膀胱が敏感になることによって尿がためられなくなる状態をいいます。あまりにひどくなると、おしっこを我慢できなくなって漏らしてしまうこともあります。おしっこを漏らすというのは、誰にとっても大変なストレスです。お薬の服用などで、早めに治療を開始することをお勧めします。過活動膀胱でよく見られる症状としては、主に4つあります。まず、我慢できないような強い尿意が突然起こる「尿意切迫感」、我慢できずに尿が漏れてしまう「切迫性尿失禁」、日中に何回もトイレに行く「昼間頻尿」、尿意のために少なくとも1回は睡眠が中断される「夜間頻尿」。これらの症状に気づいたら、ぜひ泌尿器科へご相談ください。
- Qお薬を飲むだけで良いのですか? 他に治療法はありませんか?
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A
▲飲み薬以外にも、膀胱訓練など患者に合った方法を提案
お薬は、膀胱を広げるよう図り、やわらかくなるよう促して、尿をためやすくするために使います。しかし残念ながら、飲んでも改善しない方や、副作用でお薬が続けられないという方もいらっしゃいます。尿が出にくい、喉が渇く、などが副作用として考えられますね。そういう方の場合には、膀胱訓練という方法が一般的です。おしっこをしたくなってから少しの時間、我慢してもらうのです。5分でも10分でもけっこうです。そうすることで膀胱に少しずつアプローチしていく訓練なのですが、これにも限界もありますので、それでも改善しない方には、先ほどの飲み薬に、症状に応じて漢方薬を組み合わせて処方することもできますよ。
- Qこちらではボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法もしているとか。
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A
▲治療の痛みにも配慮し、さまざまな治療法で症状の改善に努める
尿道からカメラを挿入し、内側にセットされた細長い針で膀胱の内側の壁にボツリヌス毒素製剤を直接注射する、という治療方法です。筋肉が弛緩して膀胱がやわらかくなれば、過敏になっている尿意の神経伝達を抑えられます。飲み薬は全身に届くので、副作用がいろいろなところに出やすいですが、注射の場合は狙った場所に直接届けられるので、基本的には副作用が少ないのが特徴です。注射後は長くて数週間様子を見ていくことになります。日本では2020年から保険適用になっていますが、「内服薬で改善しなかった難治性過活動膀胱に対して」が条件ですので、まずは飲み薬を試していただく必要があります。
- Qボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の流れを教えてください。
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A
▲検査で全身を確認してから手術を行い、術後はそのまま帰宅できる
術前検査で全身をチェックし、手術日を相談します。手術当日は特に着替える必要もなく、下半身だけ脱いだ状態で、上からタオルを巻いて手術室へ移動していただきます。手術前に局所麻酔を行いますので、痛みの心配もほとんどありません。とても敏感な方が「何かに刺されているかなあ」と感じる程度だと思います。手術は準備の時間を含めて、30分ほどで終了します。終了後はリカバリー室で休んでいただく必要もなく、おしっこがちゃんと出るかを確認。針を挿した影響でおしっこに血が混じることもありますが、短時間で治まりますので、ほどなくご帰宅いただけます。術後の感染症予防のために、数日分の抗生剤をお渡ししています。
- Q治療後の経過や注意点、副作用についても教えてください。
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A
▲治療後も改善が見られない人や違和感がある場合にはすぐに来院を
副作用としてはおしっこが出にくくなることが考えられます。治療後1週間、遅い方でも数週間後たっても改善が見られない場合、少しでもおかしいと思ったら「すぐ来院」をお願いしています。ごくまれに「自己導尿」が必要になる方もいらっしゃいます。ご自身で尿管に細くやわらかい管を入れて、出づらいおしっこを出すための方法です。前立腺がある分、女性よりも男性にこの副作用は多く見られるようです。薬剤は、人によって4ヵ月から10ヵ月、平均すると半年程度たったら再治療することが一般的です。

