川本 真一郎 院長の独自取材記事
かわもと歯科
(鹿児島市/中郡駅)
最終更新日:2021/10/12
中郡電停近くにある「かわもと歯科」は、院長の川本真一郎先生が「地域の人の口の健康を維持したい」という思いから開業した歯科医院だ。鹿児島大学病院に在籍し、補綴の分野で知識と技術を培った川本先生。やがて、「幅広く人の口の健康に携わりたい」「患者の一から十までしっかり治療したい」という思いが沸き上がり、2015年12月14日にこの地での診療を開始した。二次歯科医院から、地域密着型の一次歯科医院へ。地域医療の前線に腰を据えた川本先生に、その思いを話してもらった。
(取材日2020年5月27日)
かかりつけ医として患者の歯と口の健康を守る歯科医院
この地で、どのような思いで開業しましたか?
私の歯科医師としてのキャリアは、鹿児島大学病院の歯科診療科からスタートしました。20年勤めましたが、大学病院はそれぞれ専門があり、いわゆる分業制のようなものです。そんな中である時から、患者さんの口をトータル的に見たいという思いが募ってきました。そこで、大学病院を出て一般歯科に勤務し、経験を積ませてもらい、現在の場所に空きテナントが出たので、独立を決意したというのが開院までのいきさつです。開業する際は、私が専門だった補綴の知識や技術も生かしつつ、来院してくれる地域の人たち一人ひとりをしっかりケアしていこうという思いでしたね。一次歯科医院として、患者さんに寄り添える「かかりつけの歯医者さん」でありたいと思っています。
「かかりつけの歯医者さん」の意義は、どのように考えていますか?
歯は治療しても、基本的には元に戻りません。歯を削ったり、抜いたりするわけですからね。だからこそ、患者さんにとっての最初の歯の治療は大切なんです。例えば、必要以上に歯を削りすぎてしまい、「最初にこうしておけば良かったのに」と思っても、削る前の状態へはもう戻せません。患者さんにとって、「かかりつけの歯医者さん」は、最初の治療の場です。その人の症状や悩みをどのような治療で進めていくかは、歯科医師の判断に委ねられます。これを肝に銘じ、適切と思われる医療を提供していくことが、私たちの意義だと思っています。
歯科医師として、どんな口が健康だと考えますか?
補綴が専門の私に限らず、多くの歯科医師が大切にするのが噛み合わせの機能です。噛み合わせが悪いと物がうまく噛めなくなるということは、容易に想像がつくと思います。実は、これが体全体の健康に大きく関わってくるのです。例えば、物が噛めなくなると、自然とやわらかい食べ物が多くなっていきます。食事がパンやうどんなどに偏ってしまうとタンパク質が不足し、体の筋肉量が減少していくわけです。やがて運動も減り、最終的には虚弱な体になってしまいます。他にも噛み合わせが悪いことで体に悪影響を及ぼすことは、少なくありません。だから、噛み合わせの機能が十分であることが、健康な口の条件だと考えます。私たちは健康な口へと導くために治療にあたっています。歯は削ったら元に戻りませんが、噛み合わせの機能を回復させる、あるいは向上させることは可能です。
患者の意識を高め、培った経験と技術で治療
子どもの歯のケアでは、何が大切ですか?
ごく一般的なことですが、小さい頃から定期的に歯科検診を受けてほしいですね。子どもの頃からしっかりケアしてあげることで、健康な歯を将来も長く維持できるからです。例えば、乳歯が虫歯になって歯が小さくなると、永久歯が生えてくるスペースがなくなり、歯並びが悪くなることにつながります。結果、噛み合わせが悪い環境になってしまうのです。また、生えたての歯は虫歯になりやすいことからも、定期的な歯科検診が大切だといえます。発育の段階にある子どもは、その時期ごとに気をつけなければいけないことがあります。しかし、専門的な見方は難しいものです。定期的に歯科医師の目で見て、問題があれば早期のうちに対処することで、口の健康を維持できます。そういった意味でも、「かかりつけの歯医者」を持つことは重要だと思います。
大人の歯周病はどのように予防し、どう治療しますか?
歯周病で怖いのは、症状がほとんどないことです。自覚がないまま歯周病が進行している人は少なくありません。歯周病は歯につくプラークが原因ですが、ひとことでいうと細菌の固まりです。まずプラークを除去することが、治療の第一歩になります。毎日行う歯磨きは、虫歯予防というイメージが強いかもしれませんが、歯周病の治療ともいえます。しかし、たとえ毎日ブラッシングをしていても、歯ブラシが当たらなくてプラークが常に残っている場所があると、そこが歯周病の原因となってしまいます。セルフケアには限界があるんです。そこで大切なのがプロケアです。自分でケアできない場所を歯科医師がケアする他に、歯石の除去も歯科医院の役目です。歯周病の一番の原因は「無関心」といえるかもしれません。口の健康に関心を持てば、症状がなくても「歯医者に行ってみよう」と思うのではないでしょうか。意識を変えることも予防策の一つといえるでしょう。
こちらで特に力を入れている治療はありますか?
最終的には患者さんの希望や判断次第ですが、かぶせ物や詰め物はセラミックのものをお勧めしています。自由診療なので、保険適用の金属、いわゆる銀歯と比べると確かに料金は高くなりますが、近年のセラミックは性能が良いんですよ。一般的にセラミックは、見た目が歯と同系色であるため、自然な仕上がりになることで需要が高い素材です。実はそれ以外に、機能面も優れています。プラークがつきにくいのが、セラミックの機能面における大きなメリットです。歯科医師として機能的な部分もしっかり説明し、患者さんに選んでもらっています。当院では、信頼の置ける歯科技工士に製作を依頼していますので、自然な仕上がりや、治療後の口の好環境維持のためと考えて、ぜひセラミックを選択肢の一つとしていただきたいです。
地域に必要とされる歯科医院をめざす
先生が得意としている補綴について教えてください。
補綴をひとことでいうと、形と機能を回復させることです。端的に表現すれば削ってかぶせる作業にはなるのですが、非常にデリケートな治療です。かぶせ方によっては噛み合わせが悪くなってしまい、結果的に体にも不調が起こる原因になります。歯の本数が少なくなると、入れ歯やインプラントを使わざるを得なくなりますが、これも設計次第で快適になるかどうかが左右されます。さらに細かく言えば、材質を変えることで噛み合わせの機能が向上することもあります。私は鹿児島大学病院勤務時代に、補綴分野で経験を積み、技術を培いました。この経験や技術は、患者さんの治療に大いに役立っていると感じています。補綴は最終手段ともいえますが、それだけに、患者さんの噛む機能を保持するための責任がある分野だと思っています。
先生が歯科医師をめざしたいきさつを伺いたいです。
私はもともと、長崎県西海市の出身なんです。私が住んでいた地域は田舎で、当時は近くに小さな歯医者さんが1軒あるだけでした。より良い治療を受けるため、親は遠出して私を歯医者に連れて行っていました。後々は長崎に戻って働こうと考えていて、地域に貢献できる仕事、と考えた時に、歯科医師だと思ったんです。しかし、鹿児島大学歯学部に入学し、鹿児島で暮らしているうちに土地柄に魅力を感じ、地域の人とのつながりもできたので、鹿児島で開業したというわけです。鹿児島大学病院に勤務していた頃に診ていた患者さんをこれからも診療していきたいと思ったのも、鹿児島に残った理由の一つです。当初の予定とは違ってしまいましたが、地域に貢献できる存在になりたいという思いは変わっていません。
最後に、地域の方に伝えたいことはありますか?
歯や口にちょっとでも違和感があったら、気兼ねなく来院・相談してほしいですね。しかし歯や口の疾患は、症状が現れないことも多いものです。たとえ痛みや違和感がなくても、長く歯医者に行けていない人は、ぜひ受診して自身の口の中の現状を知ってほしいと思います。歯医者に足を運ぶために必要なことは、歯や口の健康を意識することだといえます。疾患の怖さを知り、意識が高まれば、おのずと歯医者に足を運ぶと思います。一人でも多くの人に歯や口に対する健康を意識してもらうために情報発信していくことも、私たち歯科医師の大切な仕事かもしれませんね。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミック治療/詰め物2万4000円、かぶせ物2万9000円
インプラント/35万円〜