なんかだるい……倦怠感やイライラは栄養不足が関連
内科へ相談を
どんぐりクリニック
(川崎市宮前区/宮崎台駅)
最終更新日:2025/07/14


- 保険診療
肩凝りや頭痛、原因のわからぬ下痢や便秘、気候や生理周期に伴う気分の浮き沈みなど、「病気」とはいえないまでも慢性的な不調に悩んだ経験はないだろうか。「健康診断で引っかかったわけでもないのに、このくらいのことで相談していいのだろうか」と、市販薬を服用しながら様子見をしている人もいるかもしれない。「どんぐりクリニック」の橋詰直孝理事長によると、このような症状を総称して「不定愁訴」といい、原因に応じてクリニックで対応できることもあるそうだ。原因も症状も一人ひとり異なる不定愁訴だが、橋詰理事長はこれまでの経験と人脈を生かして、さまざまなアプローチを行っている。「ご相談いただければ、きっと良い改善方法を見つけられるかと思います」と優しい口調で話す橋詰理事長に、不定愁訴について詳しく聞いた。
(取材日2024年10月24日/情報更新日2025年4月30日)
目次
原因も症状も多様な不定愁訴。肩凝りや頭痛、気候や生理周期に伴う気分の浮き沈みなど、我慢せずに相談を
- Q肩凝りや頭痛など、病気でないのに受診しても良いのでしょうか?
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A
▲慢性的な肩凝りも医療機関へ相談を
もちろんです。肩凝りや頭痛など、原因のはっきりとしない慢性的な不調に悩む方は多いですね。消化器に異常がなくても下痢や便秘を繰り返したり、動悸や吐き気を感じて血液検査を受けても何も引っかからなかったり、生理前や悪天候のときなどにメンタルの不調を感じる方もいらっしゃるでしょう。また、すぐに眠気を感じてしまったり、逆によく眠れずに早朝に起きてしまったりと、睡眠について悩む方もいらっしゃいます。このように、特定の病気に由来するものでもないのに体や心にさまざまな不調が現れる状態を総称して「不定愁訴」といい、原因に応じてクリニックで対応できることもあります。我慢せずに早めにいらしてください。
- Q不定愁訴はなぜ起こるのですか?
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A
▲自律神経の乱れやホルモンの影響が隠れていることも
自律神経の乱れやホルモンの異常、特に女性の方ですと生理周期や更年期が影響するケースも多々あります。温度や気圧の変化から自律神経が乱れる「気象病」という症状もあるんですよ。そのほか、何かしらの病気やストレスが原因であったり、またビタミンやミネラルといった栄養素の不足も大きな要因となり得ます。例えば江戸時代から昭和初期までは、ビタミンB1が不足することで手足のむくみや神経障害、倦怠感などを引き起こす、「脚気」という病気が多く見られました。現代では脚気の患者さんはほとんどいなくなりましたが、栄養素の不足から不定愁訴を生じている方はとても多いのです。
- Q先生は不定愁訴に対して専門的に研究してこられたそうですね。
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A
▲不定愁訴を専門に研究を続けてきた橋詰理事長
はい。私は東邦大学を卒業後、当時の東邦大学医学部第二内科講座で不定愁訴症候群の名称を提唱された、故・阿部達夫教授のもとで研鑽を積みました。阿部先生はもともと脚気の研究をされていた方で、私も不定愁訴症候群や自律神経失調症と栄養素との関係性について追究し、糖尿病やホルモン分泌異常がもたらす症状の研究、また厚生労働省がまとめている日本人の食事摂取基準の策定にも携わってきました。ビタミンやミネラルが欠乏するとさまざまな症状が生じますが、「どの栄養素が不足しているのか」を判断するための資料として27項目から成る専用の問診票も作成し、これは現在当院でも活用しています。
- Qこちらでは、どのように検査や診療をしていくのでしょうか?
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A
▲生活習慣のヒアリングが、症状改善の糸口になることも
まずは問診票に回答いただき、その内容と患者さんの話をもとに、不足している栄養素を特定します。併せて必要に応じ、超音波診断装置、骨密度検査装置、エックス線撮影装置などで体の状態を確認。不足している栄養素については食事指導を行ったり、サプリメントのアドバイスを行ったりします。妊娠している方は一般よりも葉酸が必要だったり、ご高齢の方はビタミンDを補って骨折やフレイル予防につなげたりと、患者さんの年齢や状況によって考えていく必要がありますね。またリハビリテーション室では理学療法士が対応し、気象病に対する耳のマッサージや運動指導を実施。低周波治療器なども備え、整形外科の医師による診療にも対応しています。
- Qさまざまなアプローチで改善をめざしていくのですね。
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A
▲専門の医療機関と連携しながら、患者を支える
そうですね。「不定愁訴」は特定の病気を指すのではなく、その原因も症状も人それぞれです。今挙げたような方法だけでなく、例えば「婦人科の疾患は専門の医師が、それに伴う全身管理はかかりつけ医である私が」など、他科との連携が必要となることも多いんですよ。当院には整形外科や消化器の疾患、脂質異常症の治療を専門とする医師も在籍しており、私の専門分野は糖尿病や内分泌疾患です。また大学病院時代の仲間たちは、産婦人科や精神科、不眠、自律神経失調症などそれぞれの分野で活躍しており、このネットワークは現在の診療にも生かされています。このような連携体制も当院の強みです。