富田 誠司 院長の独自取材記事
とみた整形外科クリニック
(高槻市/高槻駅)
最終更新日:2025/09/29

高槻駅から歩いて約2分。近隣に商業施設や多くのマンションが立ち並んでいる場所にある「とみた整形外科クリニック」は2020年2月に開業したクリニックだ。富田誠司院長は基幹病院の整形外科に長年勤務し、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、脊椎圧迫骨折などの手術を多く経験してきた脊椎脊髄疾患のスペシャリスト。現在も提携病院で脊椎手術を執刀している。同院は富田院長の専門である脊椎脊髄疾患から骨粗しょう症、外傷、膝痛や五十肩などの慢性痛、リハビリテーションなど、整形外科全般の診療に対応。豊富な経験と人脈を生かして適切な診断と治療に努め、信頼できる専門家に迅速に紹介できるよう体制も整えている。「地域に根差した医療を提供したい」という想いを持つ富田院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2025年9月8日)
ステップアップの原動力となったハングリー精神
開業までの経緯をお聞かせください。

親戚に医師が多かった影響もあって自然と医師を志すようになりました。整形外科を選んだのは大学在学中にバスケットボールの大会で腕を骨折した経験や、先輩の多くが整形外科に進んでいたことなどが理由です。卒業後は大学病院などに勤務し、米国のジョンズ・ホプキンズ大学に留学しました。帰国後は関連病院の整形外科部長などを務め、多くの手術を担当してきました。ただ、自分が本当にやりたい手術はハード面が整っている病院でしか実施できない状況で、これまでの経験と技術を生かして患者さまにより近い距離で役に立ちたいと、開業を考えるようになりました。高校から大学までを高槻で過ごしていて愛着ある地域だったこともあり、この場所での開業を決めました。
米国ではどんなことを学んだのですか?
米国では骨粗しょう症による圧迫骨折について主に研究しました。当時、先進の治療をテーマとした抄読会を毎週実施していたのですが、そこで自分が研究したい内容の論文に出合ったんです。著者に「そちらで研究させてください」というメールを何度も送り続けたところ、面接をしてくれるという返信が届きました。英会話教室でプレゼンの練習を重ねた成果もあって面接は合格、研究をさせてもらえることになりました。論文を書いた先生だけでなく多くの先生方からも多様に学び、人生観が変わりましたね。自身の経験から、「井の中の蛙にならないように」と、後輩たちにも留学を勧めるようになりました。外科の医師が己の技術に満足してしまうとそれ以上の成長はありません。私は開業する直前まで多くの先生方の手術を見学し、自分自身のステップアップにつなげていました。ハングリー精神は常に持ち続けたいと思っています。
こちらではどんな治療が受けられますか?

一般整形外科からスポーツ整形外科、リウマチ、骨粗しょう症など多岐にわたる診療を行っています。勤務医の頃は脊椎手術をメインにしていましたので、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などのご相談が多いですね。また骨粗しょう症の治療と圧迫骨折の予防に力を入れています。そのため採血や骨密度測定を行い、骨折のリスクを早い段階で発見することをめざしています。また、近隣のMRIを設置しているクリニックとも連携しているので、さらに精密な検査が必要だと判断した場合は迅速に受診していただけます。
患者の声に向き合い、昨日よりも良いクリニックに
開院から5年がたちました。この間、変わったところや患者からの声について教えてください。

手術が必要な方には、提携する病院で私が執刀を担当します。以前は枚方の病院だったので1時間ほどの距離がありましたが、最近は近隣の第一東和会病院で手術をさせていただいています。当院からは車で10分ほど。患者さまが通いやすいことはもちろんですが、手術・入院となると家族にも影響があります。見舞いに行ったり洗濯を持って帰ったりと家族の支えが必要なので、当院と程近い場所で手術ができるようになったことは大きなメリットだと思います。
他にも、患者からの声で変わった部分があるとお聞きしました。
当院に来院したご高齢の方から「ワクチンを受けられたらいいのに」「ここで健康診断はやっていないの」と聞かれることがよくありました。当院でリハビリを受けている方は高齢者が多いということもあり、特定健診やワクチン接種をスタート。ワクチンはインフルエンザや新型コロナウイルス、帯状疱疹、肺炎球菌などに対応し、リハビリのついでに受けて帰っていただくことができます。何軒も医療機関を回るのは大変ですから、整形外科以外の領域も、できる範囲でニーズに応えていければと考えています。
患者との関わりやクリニック運営で大切にしていることはありますか?

整形外科医、とりわけ脊椎脊髄外科の医師という専門性やこれまでの経験は大切にしながら、地域のためのクリニックとしての役割を常に考えています。特定健診やワクチン接種もそうですが、患者さまからの要望にはできるだけ応えていきたいですし、そのための体制づくりに注力しています。毎日の朝礼で「昨日よりも良いクリニックにしていこう」と話しているので、スタッフにも意識が浸透してきているのではないでしょうか。整形外科以外のことで専門外だと判断した場合は、信頼できる医師に紹介しますので、気軽に相談していただきたいですね。
チーム力を生かしたリハビリや診療体制でサポート
リハビリの特徴や強みを教えてください。

当院のリハビリは、理学療法士や作業療法士によるマンツーマンの個別プログラムが特徴です。中でも、自宅でできるセルフケアの指導に力を入れています。クリニックに来ている時間以外をどう過ごすか、ご自身でしっかりと取り組むことが早期の回復につながるので、運動する習慣づけが大切だと考えています。また、クリニックが駅前にあり近隣にはマンションが立ち並ぶ環境のため、学校帰りに来院する学生も多いです。主な症状はスポーツによるケガや骨折の治療、膝や肩の痛み、靱帯損傷など。早くチームに戻りたい、再発しないようにしたいなど、強い思いを持っていると思うので、フォームの変更や体に負担をかけないための方法などのアドバイスも重点的に行っています。
リハビリ室を拡張されたと聞きました。
はい、2024年にリハビリ室を拡張しました。高齢者のリハビリは保険適用で受けられる期間に制限があり、それ以降は介護認定を受けて継続する通所リハビリになります。より多くの方を受け入れたいと考え、デイケアのための専用スペースを拡張。機器の充実も図りました。また、通所リハビリを受けていても、だんだんとADL(日常生活動作)が下がってしまい通いづらくなった方のために、訪問リハビリも開始しました。当院を選んでいただいた地域の方一人ひとりのお悩みに幅広く対応できるよう、スタッフとともに今後もより良いサービスを検討していきたいですね。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

今後は大学病院や地域の医療機関の先生との連携をさらに強固にできればと考えています。病院は基本的に午前のみしか外来がないので、当院に大学病院や地域の医療機関の先生に来ていただき、午後にしか時間が取れない方や術後のケアを当院で診ていただけるようになればより多くの患者さまのニーズに応えられるので良いですね。クリニックの開院当時から、整形外科全般の疾患や外傷でお困りの方の役に立ちたいという気持ちを変わらず持ち続けています。私自身は常にモチベーションを保ちながら高い専門性を保つ努力を怠らず、何でも相談していただける地域のかかりつけクリニックとしての役割も果たしていきたいと思っています。困っておられることがあれば、どうぞお気軽にお越しください。