自律神経失調症とうつの違いや
めまい、疲れやすい、の原因とは
RICメンタルクリニック三軒茶屋
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2023/03/31
- 保険診療
ストレスやホルモンバランスの変化などが原因で自律神経が乱れ、腹痛・下痢・頭痛・動悸・吐き気・イライラ・不安など、心身ともにさまざまな症状が現れる自律神経失調症。ストレスや心的要因が原因となることも多く精神科・心療内科で診断・治療を早期に開始することが望ましいが、精神科や心療内科を受診することへの抵抗感や薬への間違った知識などから受診をためらう人も少なくないという。「うつ病などへ進展するのを防ぐためにも早期に治療を開始すべき。周囲の人が異変に気づいたら、受診を促してあげてほしい」と話すのは、「RICメンタルクリニック三軒茶屋」の西脇さくらこ副院長。患者の背景を考慮した丁寧な診療を行う西脇先生に、自律神経失調症の概要や症状、正しい知識を持つことの重要性などを聞いた。
(取材日2020年11月22日/情報更新日2023年3月31日)
目次
腹痛やめまいなどの症状が現れる自律神経失調症は早めに治療を。うつとの違いを含め、正しい知識を持って
- Q自律神経失調症の症状や特徴を教えてください。
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A
自律神経には仕事や勉強など、活動をする際に優位となる交感神経と、睡眠・細胞の修復などリフレッシュする際に優位となる副交感神経があります。自律神経は自分の意思で働かせることができませんが、心臓・肺・胃腸・末梢血管など全身の器官の働きと関わるため、自律神経失調症になると心身ともにさまざまな症状が現れます。腹痛・下痢・めまいや立ちくらみ・頭痛・動悸・吐き気・疲れやすさ・不安・情緒不安定など、複数の症状がみられることや人の体質によって目立ってくる症状が変わってくることも特徴的です。内科を受診し、検査をしても原因がわからない、薬の効果が不十分であることも多いです。
- Q自律神経失調症の原因は何でしょうか?
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A
ストレスや生活リズムの乱れなどが原因としてあげられます。本来は交感神経が優位な状態と副交感神経が優位な状態、つまりオンとオフをうまく切り替えながら生活するのが理想的ですが、仕事や家事・育児が忙しく、セルフケアの時間が確保できないなど、理想的な生活とはかけ離れている方が多いのが現状です。そんな中、ストレスや生活リズムの乱れから、自律神経症状が現れることがあります。特に女性は月経や妊娠・出産などの女性特有のライフイベントでホルモンバランスが乱れやすく自律神経症状を呈する方が多いです。同じ女性として共感できることも多く、困っていることがあれば、お気兼ねなくご相談いただければと思います。
- Q自律神経失調症とうつ病との違いは何なのでしょうか?
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A
生活する中で、自分らしく振る舞えずエネルギーが枯渇してしまう状態が続くのがうつ病です。気分の塞ぎ込みが続く、自分が好きだったことが楽しめない、疲れやすく体が思うように動かない、仕事のパフォーマンスが落ちた、眠れない日が続く、食事がおいしくないなどの症状が現れ、「消えてしまいたい」などネガティブなことを考えてしまい、日常生活や学業、仕事にも影響がみられます。そんな中、自律神経の乱れから腹痛・下痢・頭痛・動悸・吐き気・めまいなどの自律神経症状を伴う人もいます。自律神経症状に加え、心の不調サインが出てくる方は多いです。うつ病と診断された場合は、しっかりとうつ病の治療を行う必要があります。
- Qこちらではどのような診断・治療方法を実施していますか?
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A
問診を中心とした診察の中で、患者さんが発信してくれる内容に基づいて診断・鑑別を行うのが診療の基本です。当院では薬物治療・精神療法に加え、心理士による心理検査やカウンセリング、精神保健福祉士による社会資源の導入など、多職種スタッフと連携したアプローチを実践しています。患者さんが納得した上で治療を進めることが重要なので、病気の概要や治療内容・薬について説明し、「どういった自分を取り戻したいか」という治療の方針も共有します。患者さんの背景、生活スタイルを含めどういった困り事があるのかを理解するのに努め、必要な治療を継続的に行っていただくために、医師と患者間で関係性を築くことは重要だと考えています。
- Q先生が患者さんに伝えたいことはありますか?
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A
どういった病気であれ、告知されると否認の気持ちがあらわれることは自然なことです。心療内科・精神科の分野でも同様で、うつ病や自律神経失調症ということを認めたくないという方も多いです。血液検査や画像検査ではわからない分野であるからこそ、家族や同僚が異変に気づいたら受診を促してほしいですし、本人も周囲の声に耳を傾け、病気を受容することも大切なことだと思います。精神科や心療内科を受診することへの抵抗感や間違った知識が、早期解決を阻む原因になることも多く、正しい疾患知識を持っていただくためにも、お困り事があれば一度受診を検討していただきたいと思っています。