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保野 明子 院長の独自取材記事

やすの内科・糖尿病クリニック

(京都市左京区/神宮丸太町駅)

最終更新日:2022/05/23

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「やすの内科・糖尿病クリニック」へは、京阪鴨東線の神宮丸太町駅5番出口から東へ徒歩約7分。市バスの熊野神社前停留所からは徒歩約1分でアクセスできる。院長の保野明子先生は、京都・大阪の病院で診療経験を積んだ後、住み慣れた聖護院エリアで開業した。日本内科学会の総合内科専門医の資格を持ち、さまざまな疾患に対応している。中でも力を注いでいるのが、専門でもある糖尿病と骨粗しょう症の診療。生活習慣病の予防・改善のためには病気について知り、食事に気を配ることが最も大切として、キッチンを併設したクリニックの待合室で、勉強会、クッキング教室を定期的に開催している。保野先生に、地域医療にかける思いや糖尿病、骨粗しょう症に対する取り組みなどについて聞いた。

(取材日2020年1月24日)

糖尿病の「教育入院システム」立ち上げに携わる

医師をめざしたきっかけを教えてください。

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小学校の高学年くらいには、医者になりたいと考えていました。母が看護師だったこと、父が幼少時に大きな病気をして体が弱かったこと、心臓に問題を抱えた幼なじみがいて毎月通院していたことなどが、影響しているのでしょうね。もしかすると、母にレールを敷かれたのかもしれません(笑)。もともと、父や幼なじみのことが医師をめざすきっかけになっているので、医学部を卒業したら循環器内科を選ぼうと考えていました。

糖尿病に興味を持たれたのはなぜですか。

当時、研修を受けた大学病院は4ヵ月ごとに循環器内科、消化器内科などを回って、内科のすべてのセクションを経験するシステムになっていました。私の場合は、最初に経験したのが糖尿病・内分泌内科でした。さまざまなことを手取り足取り教えてもらい、信頼できる上司に恵まれてとても充実した経験ができ、循環器内科ではなく糖尿病・内分泌内科を志そうと思うようになりました。実は、それまで糖尿病に特に興味を持っていたわけではありませんでした。ところが、循環器内科の患者さんの多くが、糖尿病を抱えておられることに気づいたのです。糖尿病が悪化して、合併症として循環器疾患を発症されていたんですね。それなら、大本の糖尿病に対処することで、循環器疾患の予防や改善につなげようと考えました。

開院までのキャリアで特に印象に残っていることを教えてください。

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京都の東山にあった病院で、「教育入院システム」の立ち上げに携わったことは、当院の考え方にもつながっています。医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、さらに合併症対策として循環器内科、腎臓内科、眼科の医師がチームで患者さんをサポートし、病気についての知識を身につけてもらうための入院システムです。教育入院を経験した患者さんは、未経験の患者さんに比べて、うまく病気のコントロールにつなげられる方が多く、糖尿病と診断された時点で教育入院することの大切さを今も実感しています。私自身も患者さんやチームのメンバーと関わりながら、日本糖尿病学会の糖尿病専門医として、糖尿病についてのより深い知識を身につけることができました。

糖尿病患者向けの調理・試食会を毎月開催

現在の場所を開業地に選ばれたのはなぜですか。

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地元の聖護院の方々に恩返しができる場所で開業したいと以前から考えていました。当院のキャッチフレーズは「地域の皆さまに愛されるクリニック」。大学院時代からこのエリアに住み始めて、もう25年になります。この街で4人の子どもを育て、区民運動会やお餅つきなどの行事にも参加させていただき、地域の方々には本当にお世話になりました。また、同じビル内に眼科のクリニックがあり、信頼できる先生がいらしたこともこの場所に決めた理由の一つです。開院してからの半年間でいらっしゃった患者さんの6割が糖尿病をはじめとする慢性疾患の患者さんでした。残りの4割は感染症などの急性疾患の患者さんです。急性疾患の患者さんには若い方も多いですよ。地域の方々のほか、糖尿病を専門的に診ているので京都の他のエリアからも受診されています。

糖尿病の診療について先生のポリシーを聞かせてください。

生活習慣の改善、中でも食事は一番大切ですね。患者さんには普段の食事をご自身で把握していただくために、食事記録をつけてもらいます。そして、患者さんと記録を見直し改善するポイントを一つだけお伝えします。中には、記録をつけるだけでデータの改善につながる方もおられます。糖尿病は生涯コントロールが必要な疾患ですが、生活が改善できれば、通院頻度を減らすことも望めます。定期通院の際は、前回の受診以降の体調について聞き、血液検査、尿検査を行い、身長、体重を必ず測定します。糖尿病患者さんは骨粗しょう症のリスクが高く、進行すると身長が縮むことがあるので、身長測定は外せません。生活改善に向けた患者さんの頑張りは、検査結果に反映されるので、病気と付き合っていく上での励みになります。一方、結果が芳しくない場合も、まずはできることから取り組んでもらいます。食事でも運動でも、一度に多くのことを行うのは難しいですからね。

待合室の壁にはキッチンが収納されているそうですね。

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建築家の方にお願いして造ってもらいました。当院では月に一度、病気についてのさまざまな内容をレクチャーする健康教室を開き、キッチンを使って参加者の皆さんと一緒に糖尿病などテーマに沿った料理を作ります。糖尿病食については書籍なども多数発刊されていますが、普段使わない食材や調味料が必要になる、調理に時間がかかるなど、簡単に作れるものが少ないのが現状です。当院では、料理に慣れていない男性や忙しくて料理に時間が割けない方でも、身近な食材で手軽に作れるメニューを中心に紹介しています。

先進の測定機で骨密度だけではなく骨の質までチェック

先進的な骨密度測定器を導入されているそうですね。

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DEXA(デキサ)法と呼ばれる方式の測定器で、当院では骨密度だけでなく骨の質も解析できます。ベッドに横になった状態で腰と足のつけ根の部分で測定するので、骨粗しょう症で問題となる脊椎の圧迫骨折、転倒に伴う大腿骨の骨折について調べられるのが大きなメリットです。これらは従来の簡易的な測定器では検査するのが困難でした。また、全身の筋肉や脂肪の状態のチェックにも役立つので、老化に伴う筋力や身体能力の低下について知るための重要な手がかりにもなります。

骨粗しょう症の患者さんはどんなきっかけで受診されるのですか。

「腰痛に悩まされている」「背が低くなってきた」という方のほか、「親が骨粗しょう症で寝たきりだったので心配で……」という方もおられます。別の訴えで受診され、身長などを確認したことで骨粗しょう症が見つかるケースもあります。骨は毎日古い組織が壊され、新しい組織が作られています。こうした働きは血液検査で確認することができ、古いものを破壊する機能か、新しいものを作る機能のどちらに問題があるかを調べた上で、治療では病気のタイプに適した薬を処方することになります。近年は薬が格段に進化してきており、骨密度を一定の水準まで上昇させることを促す目的の薬を使用後、その状態をキープすることを目的とした別の薬を使用するといった薬物療法も可能になっています。

今後の目標を聞かせてください。

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現在、骨粗しょう症の診断は骨密度が基準となっていますが、糖尿病患者さんには骨密度が高いのに骨が弱くなっているというケースが結構見られます。当院には骨の質を測定するための機器があるので、今後は骨質にさらに興味を持って、骨質と薬の作用の関係などについても診ていきたいと考えています。糖尿病については、多くの患者さんが高血圧、脂質異常などを合併しているので、合併症に対する取り組みにも一層力を注いでいくつもりです。

読者にメッセージをお願いします。

骨は20歳頃までにできあがります。骨粗しょう症を予防するためには、骨が形成される若い時期に強い骨を作る生活を送ることが必要だといわれます。糖尿病についても、病気になる前に予防することを考えるべきです。今後は、例えば子育て中のお母さんに、お子さんの骨のための献立を紹介したり、役立つ情報を提供することが、お世話になった地域に対して、私ができる恩返しになるのではと思っています。人生100年といわれる時代になり、生涯健康で自分でごはんを作って、おいしく食べられる人生を歩むためには、食事や運動が大切です。生活改善について疑問や不安がある時は、どうぞ気軽にご相談ください。

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