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加齢や変性による
動脈硬化を予防していくために

小泉クリニック

(渋谷区/幡ヶ谷駅)

最終更新日:2021/10/12

小泉クリニック 加齢や変性による 動脈硬化を予防していくために 小泉クリニック 加齢や変性による 動脈硬化を予防していくために
  • 保険診療

動脈硬化という言葉は知っていても、実際にどのような状態で、どういったリスクにつながるのかというと、よくわからないという人も多いだろう。「小泉クリニック」の小泉信達院長は、「動脈硬化の原因の一つは動脈の経年劣化で、自覚症状がないまま進行し、時には命に関わることもあります」と話す。院長は長年大学病院の心臓血管外科の医師として、動脈硬化が引き起こすさまざまな疾患に向きあってきたスペシャリストで、動脈硬化の怖さをよく知っている。実は20代から始まっているともいわれる動脈硬化が、どのような病気につながるのか。どのように予防したらいいのか。日常生活ではどのようなことに気をつければいいのか。さまざまな話を聞いた。

(取材日2020年10月6日)

劣化してしなやかさを失った動脈が、さまざまな病気を引き起こしていく。体のサインを見逃さずに受診を

Q動脈硬化とはどのような状態を指すのでしょうか?
A
小泉クリニック 20歳を過ぎた頃から徐々に動脈硬化は始まっているという

▲20歳を過ぎた頃から徐々に動脈硬化は始まっているという

読んで字のごとく、動脈が硬くなった状態をいいます。動脈は心臓から送られる心拍によって常に圧を受けています。人間の心拍数は1日10万回以上もあるとされ、それが毎日何十年も続くわけですから、その圧で動脈自体が傷つき、しなやかさを失っていきます。さらに高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満などさまざまなリスク因子が加わると、動脈の壁に脂肪がたまるなどストレスが高まり、経年劣化が起きます。これが動脈硬化です。高齢者に見られる症状と思われがちですが、20歳を過ぎた頃から徐々に動脈硬化は始まっています。ただ外からはわかりにくく、自覚症状がないので、何か問題が起きるまで放置されることが多いのが怖いところです。

Q放置していると、どのようなことになりますか。
A
小泉クリニック 症状をそのままにしていると、重大な病気を引き起こす場合も

▲症状をそのままにしていると、重大な病気を引き起こす場合も

動脈硬化が起きると、血液の通り道である血管が狭くなり、その先の組織に血液が流れにくくなってきます。時には血栓ができて詰まってしまうことも。心臓の冠動脈が動脈硬化を起こし、心臓の筋肉に血が流れにくくなれば心筋梗塞、脳に血液を送る頚動脈や脳動脈が動脈硬化で詰まってしまうと脳梗塞と、重大な病気を引き起こす場合もあります。また足の動脈が狭くなれば少し歩くとふくらはぎが痛くなる間欠性跛行という症状を起こし、さらに進行すると、足の筋力の低下を引き起こすこともあります。何らかの症状が出ていたのに、そのまま放置してしまうことで、そういった病気につながっていく可能性があることを知っていただきたいですね。

Q何歳ぐらいから気をつければいいのでしょうか。
A
小泉クリニック 定期的な健康診断が大切

▲定期的な健康診断が大切

男性と女性を比べると、男性のほうが早くから動脈硬化が起きてきます。動脈硬化を起こしやすいリスク因子をどれだけ持っているかによって、進行具合が変わってきますが、50~60代は特に進行してくる年代です。それ以前の40代から注意をしていただくといいでしょう。女性は生理がある間は動脈硬化が起きにくく、閉経後の50歳前後から少しずつ症状が進むとされています。動脈硬化そのものには数値で示されるような基準はないので、健康診断を定期的に受けていただき、その中で関連のある項目、中性脂肪、コレステロール、HbA1c、尿酸に注意をはらっていくことです。そして異常が見つかったら、放置せずに医療機関を受診してください。

Q健康診断ではどのような項目に注意すればいいのですか?
A
小泉クリニック エコー検査や血圧差の測定などは20分程度で終わる

▲エコー検査や血圧差の測定などは20分程度で終わる

まずレントゲン撮影で心臓の拡大がないかどうかわかりますし、心電図でも心肥大や過去に心筋梗塞などの病歴があると変化が表れます。またリスク因子である血圧、コレステロール値、中性脂肪、血糖値、ヘモグロビンA1c、尿酸値などに異常があれば、より詳しい検査を行い、異常がどの程度なのか、治療する必要があるのかを診断していきます。頚動脈のエコー検査、上腕部と足の血圧差の測定などは20分程度で済みます。さらに詳しい検査が必要な場合は、血管造影検査などを行います。治療はまずリスク因子となっている血圧やコレステロール値などをお薬で調整していきます。さらに進んだ場合、血管を広げるカテーテル治療を行うことになります。

Q日常生活ではどのようなことに気をつければいいでしょうか。
A
小泉クリニック できる範囲から、少しずつ気をつけた生活を送りたい

▲できる範囲から、少しずつ気をつけた生活を送りたい

まずお食事ですね。糖尿病の方、コレステロール値の高い方はそれを改善するよう、脂っこいものを控え、肉よりも魚中心の食事にし、野菜を多く取るように、また血圧の高い方には塩分を控えるようお話しています。もう1つ大事なのは運動です。肥満の方の体重、血糖値やコレステロール値、中性脂肪などの値を下げていくことで、血液の流れをよくしていきます。といってもいきなりスポーツジムに通う必要はなく、散歩やジョギング程度でいいのです。ウォーキングや水泳もいいですね。週に2回、1時間程度の運動を行うことで、随分状態が変わってくると思います。最初からあまり高い目標を設けず、できる範囲で少しずつ続けることが何より大事です。

ドクターからのメッセージ

小泉 信達院長

年をとることで引き起こされる病気で今問題になっているのは心房細動という不整脈です。心房細動になると心不全が起きたり、心臓に血栓ができたりします。心臓の血栓は比較的大きいので、脳まで飛ぶと脳梗塞を引き起こし、後遺症が残ったり、場合によっては突然命を落としたりします。またここでは主に血管が狭くなる病気についてお話しましたが、同じ動脈硬化から逆に血管が太くなる動脈瘤という病気もあります。胸やおなかの動脈は狭くなるより太くなるケースが多くなっています。どちらも年齢を重ねると起きてくることですから、健康診断などで定期的にチェックして予防することが大事です。おかしいなと思ったら、早めの受診をお勧めします。

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