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松本 延介 院長の独自取材記事

しゅろのき内科クリニック

(久喜市/久喜駅)

最終更新日:2021/10/12

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心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化に起因する重大な病気は、ある日突然起こるように見える。しかし実はそうではなく、その裏には糖尿病、高血圧、脂質異常症などのいわゆる「生活習慣病」が危険因子として潜んでいるのだそう。久喜市のけやき通り沿いに立つ「しゅろのき内科クリニック」は、この生活習慣病の予防や早期治療に力を入れるクリニックだ。院長は、大学病院や地域の基幹病院で循環器内科の医師として研鑽を積んできた松本延介先生。将来の大きな病気を予防するために、同院では自覚症状がない時からの生活習慣病の管理が大切であると考え、日々の診療を行っているのだそう。松本先生に、生活習慣病の予防への想いや同院での取り組みなど、さまざまに話を聞いた。

(取材日2019年10月21日)

気軽に相談できる地域の「かかりつけ医」をめざして

「しゅろのき」というクリニック名には、何か由来があるのでしょうか?

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父方の家系が代々栃木県で営んでいた薬局の屋号「しゅろノ木薬局」からとったものです。「しゅろノ木薬局」は、父の代で大きく発展し、1980年代には県内に多数の店舗を持つ株式会社になりました。しかし、お客さまと社員を何より大切にする父の経営スタイルは20世紀末にのれんを下ろすまで始終一貫して変わらず、そんな父の姿は、私の仕事に対する考え方にも大きな影響を与えました。開業を決意した時、まず思ったのは「しゅろノ木薬局」のように、地域の人が気軽にいろいろなことを相談できる「かかりつけ医」になりたいということです。そこから、自然に「しゅろのき内科クリニック」という名前が浮びました。私は医師になって以来、誠実で確実な医療の提供を第一に研鑽を積んできました。開業後はなおのこと、自分で自分を見直しながら、自らの医療が適切かどうか毎日考えながら診療させていただいています。

久喜に開業されたきっかけを教えてください。

もともと京都に10年いたのですが、栃木育ちなので、関東に戻って開業したいと思っていたんです。そんな中、ある病院の理事長先生の弟さんと父が知り合いだったところから、久喜の地にご縁ができました。クリニックの建物は、旅先で出会いとても印象深かった南欧風のホテルをイメージして作ってもらいました。暗く冷たい所にならないように明るい色を使い、廊下に天窓を設けたり、できるだけ自然光を取り入れるような設計になっています。天気のいい日は、電気をつけなくてもいいほど明るいんですよ。

生活習慣病の管理に力を入れていると伺いました。

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はい、そのとおりです。私は医師免許を頂戴してから開業までずっと、循環器内科の中でも特にカテーテル治療を専門にしており、この30年間で心筋梗塞の方をたくさん診させていただきました。その中で感じていたのは、心筋梗塞の患者さんは、複数の生活習慣病などの危険因子を持っていながら、発症前に十分な治療がなされていなかったり、その危険性を理解していない方が多いようだということです。その経験から当クリニックでは、動脈硬化性疾患の引き金となる脂質異常症、高血圧、糖尿病といったいわゆる生活習慣病の管理を最新の知見に基づいて、きめ細やかにさせていただいています。生活習慣病への取り組みを早い段階から行うことで、当クリニックに通ってくださっている患者さんからは狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を発症する方をできる限り出さないことをめざしています。

治療へのモチベーション維持を助ける、きめ細かな検査

生活習慣病を管理するため、どのようなことをしているのですか?

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患者さんとご相談の上で、他院よりもまめできめ細やかな検査を行うよう心がけています。検査結果も全体を総括して一言で済ますのではなく、肝臓、腎臓、血糖値、コレステロール値など、一つ一つの項目について、前回の結果を踏まえながら「ここは良くなっているので、続けていきましょう」「ここは悪くなったので、こうしてみましょう」とお話ししています。生活習慣病の予防や治療は、食事、運動、薬が3本柱ですが、脳梗塞や心筋梗塞に結びつくまではほぼ自覚症状がありません。そのため、薬で一時的に数値が良くなった直後に治療を中断する方が少なくありません。細かく、繰り返し説明することで内服の効果と必要性を実感してもらい、継続につなげたいですね。「症状がないのに、なぜここまで検査や服薬をしないといけないのか」という方もいらっしゃるのですが、できるだけ時間をかけて必要性を説明し、ご理解いただけるように努めています。

必要性をわかりやすく伝えるために、工夫されていることはあるのでしょうか。

簡単な図版を使ったり、実際に心臓のCT写真を見てもらったりですね。しかし一番は言葉を尽くして丁寧に説明することと、患者さんのお話をしっかり聞き、患者さんを理解することだと思っています。例えば、医学的な見地からは状態が安定するまで一定の頻度で診療をしたほうがいいと思われる患者さんでも、頻回には来院できない方や費用面などからあまり診察や検査は受けたくない方もいらっしゃいます。事情はお一人お一人違うので、患者さんとお話する中でその方のご希望やご意見を聞き、一方で予防の必要性や大切さについてもお話しして、納得いただいた上でできる限りの治療を行っています。また、採血検査の結果はできるだけ早くご説明し、治療に反映したいと思いますので、可能なかぎり2週間後には結果をお話しさせてもらう、さらに、速やかな対応が必要な場合には直接お電話させてもらうようにしています。

診療の際に心がけていること、大事にしていることは何ですか?

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今日もたくさんの方がおいでになり、待ち時間が延びてしまって申し訳なかったのですが、そのような時でもできる限り一人の患者さんの診療時間を確保し、お話をきちんと聞くことです。病院に来るからにはお困りのこと、お話しされたいことがあるはずなので、患者さんが納得されるまで十分聞くことは心がけています。もう一つ、インターネットで情報を仕入れてくる患者さんは多いのですが、その中には間違った知識や現在では古くなった情報がありますので、私自身が勉強を怠らず、常に新しい知見をもとに治療していけるようにすることも大事にしています。

生活習慣病を予防していくことは将来の健康を守ること

検査体制や病院との連携についても教えてください。

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レントゲン、心電図、採血・採尿、心エコー、ABI(動脈硬化)の検査は一通りそろっていますので、初診で来られた方について、一定レベルまでの生活習慣病・心臓病の診断は当クリニックで行っています。より詳細な検査や専門治療が必要な場合は、近隣の総合病院にお願いしています。例えば、済生会栗橋病院副院長の太田吉実先生は私が研修医の頃から東京女子医大でお世話になっている先輩です。また、新久喜総合病院循環器内科部長の戸頃康男先生は、開業前の半年間、一緒に循環器診療をさせていただいた方です。いずれの病院の先生方も、医療技術のみならず人間性にも優れておいでなので、安心して患者さんをご紹介しております。

忙しい日々の中、ご自身はどんなふうにリフレッシュされているのですか?

休みの日に妻と娘と話をしたり、遊びに行ったりですね。それが一番リラックスできて、今はそのために生きているのかなとすら感じています。開業以来、さまざまなストレスがある中で妻には年中相談に乗ってもらっており、本当に感謝しかありません。何度も同じ悩みを繰り返し嫌がることなく聞いてくれ、アドバイスをくれる妻がいなかったら、現時点でクリニックも私自体も成り立っていないと思います。

最後に、今後の展望と地域の方へのメッセージをお願いします。

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今後の取り組みとしては、生活習慣病の予防の必要性をわかってもらいやすくするために、患者さんにお渡しできる当クリニックオリジナルの資料を作りたいと思っています。管理栄養士による栄養指導やもう少し詳しい運動療法のアドバイスもできるよう、体制を整えていきたいですね。また、睡眠時無呼吸症候群の診療や、禁煙の診療も始めました。メッセージとしては、やはり生活習慣病治療の必要性を知ってほしいというのが一番です。近年、心筋梗塞や脳梗塞など動脈硬化に起因する重大な疾患の低年齢化も進んでいます。自覚症状がない状態から生活習慣病の治療をしていくことは、将来の大きな病気を予防するための、健康の貯金であると患者さんには説明させていただいております。

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