全国のドクター9,103人の想いを取材
クリニック・病院 158,819件の情報を掲載(2024年3月29日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 新宿区
  4. 新宿駅
  5. たまきクリニック
  6. 玉置 元 院長

玉置 元 院長の独自取材記事

たまきクリニック

(新宿区/新宿駅)

最終更新日:2021/10/12

玉置元院長 たまきクリニック  main

新宿駅西口から徒歩約3分にある「たまきクリニック」。院長の玉置元(はじむ)先生は、開院から30年以上、心の病を抱える人に寄り添ってきた。ベテランスタッフがそろった院内は、まるで自宅にいるかのようにゆっくり過ごせる雰囲気づくりがなされている。玉置院長は「病から立ち直る力は患者さんの側にある」という考えのもと、患者自身の自然治癒力を引き出すことをめざした診療を行っている。認知行動療法や、患者の見る夢を診療に活用するなど、同院の取り組み方は特徴的だ。精神科を専門とする医師でありながら漢方にも精通し、西洋・東洋、双方の利点を生かした診療や薬物処方を行うという玉置院長に、さまざまな話を聞いた。

(取材日2020年12月25日)

現在の症状だけでなく患者の「人生」を診る

新宿に開院されたのはなぜですか?

玉置元院長 たまきクリニック 1

前職でこの沿線の病院に勤務していたのがきっかけです。それまで診察させていただいていた患者さんが通いやすい場所、というのが大きかったですね。以前はもっと駅から離れた場所で診療していましたが、遠方から飛行機や新幹線、高速バスを使って来院される方も多数いらっしゃったので、患者さんになるべく負担をかけないようにと駅にもバスターミナルにも近い現在のビルへ移りました。移転当初、この辺りは銀行や証券会社、大きな書店などが立ち並ぶ非常に静かな場所だったのですが、30年の間に当時の面影はほとんどなくなってしまいました。

来院される患者さんにはどんな主訴が多いのでしょうか?

ご自身がうつ病ではないかと思って来院される方が多くなりました。しかし本当の意味でのうつ病の方は、そう多くはありません。例えば、勉強を強要されたり過保護にされたり虐待されたりなど、成長過程における環境が不自然な場合は、お子さんの心に必ず何かしらの影響を与えます。そうした傷や空洞を抱えながらも一生懸命生きていくプロセスの中で「体験された無力感」というものが、ある時期に何かのきっかけで吹き出してくると、一見うつ病のように見えるのです。人の一生が関係する問題ですから、現在の症状だけを診て「うつ病」と診断をするのは違うのではないか、と私は思っています。もっと慎重に行うべきです。うつ病と思い込んでいたがそうではなかったり、他院で統合失調症と診断されたがそうではなかったという患者さんが来院されることは実に多いですよ。

診療方針を教えてください。

玉置元院長 たまきクリニック 2

診るべきは患者さんが主に訴える症状だけではなく、「人生」そのものである、ということです。初診でこれまでの歩みをじっくりと伺うと、患者さんの人生の土台と、現在の状況や環境、症状が何かのきっかけで結びつくことがあります。そのポイントを察知して、こちらが共感的に解釈して、説明をすることで泣き出してしまう方もいらっしゃいます。何十年も心の傷に悩まされていた方で、1回話を当院でしただけで心を軽くされるような方もいらっしゃいますよ。また患者さんによっては、診察室に入ってきた際の目の動きや表情、しぐさ、醸し出す雰囲気などで問題の背景が見えてくる場合もあります。

従来の精神療法にこだわらないアプローチが特徴

こちらで特に力を入れている診療について教えてください。

玉置元院長 たまきクリニック 3

当院では、幼い頃に両親や重要他者から虐待を受け、心に深い傷を負ってしまった患者さんに対して、認知行動療法から発展して生まれたスキーマ療法を行っています。まずは問診票に書き込んでいただいた項目から、患者さん自身の根底にある想い、考え方を見つけ、そこから詳しいお話を伺っていきます。まずはイメージ療法から入り、徐々に心の深い傷へと迫っていき、その傷と患者さん自身を離していくという流れで進めていきます。手法としてはすべて対話ですが、ロールプレイをすることもあれば、やわらかなスカーフを持ちあってお話をするなど、患者さんの根底にある考え方などの種類によって方法はさまざまです。

診療の際に、夢も参考にするのだとか。

はい。といってもユングやフロイトのように、夢を何かの比喩と考える夢分析をするわけではありません。心の問題の核になっている背景を、夢の傾向からつかめる可能性があるため、聞き出すわけです。夢を活用するようになったのは、発達障害の一種であるアスペルガー症候群の患者さんがきっかけでした。当院で行う心理療法や精神療法では、患者さんと信頼関係を築くことが重要ですが、コミュニケーションが苦手なアスペルガー症候群の方は、それがなかなかうまくいきません。そこで、患者さんの見る夢から、患者さんが心の奥で問題と捉えていることを探っていくなどして、ある程度、関係ができてきたタイミングで「以前、こういうことがあったのでは?」と、お話しするんです。そこから患者さんは、自分を理解してくれたと感じて信頼関係を築いていく。そういう信頼関係構築と患者さんの心の奥の問題点を探るために、夢を活用しています。

漢方を取り入れた診察や治療もされていると伺いました。

玉置元院長 たまきクリニック 4

西洋医学とともに東洋医学、つまり漢方を併用しています。西洋医学だけ、東洋医学だけとこだわる先生は多いと思いますが、患者さんの症状が改善するなら東か西かなど関係ないですよね。両方をわかっていれば治療の選択肢も増えますし、患者さん一人ひとりに適した薬を選ぶことも可能になっていきます。西洋医学では病名をつけて患部を治療する薬を出しますが、漢方ではその人の体質や体力の特徴である「証」というものを診て処方薬を決めるという点で大きく異なります。特に当院では、自律神経失調症や抑うつ状態などに対して漢方薬を処方することが多いですね。一方で、心の深い傷などの問題には西洋医学の薬が適していると考えています。そうした微細な組み合わせによる処方は、当院独自のものと言えるでしょう。

「心の中心軸」を保つための診療をめざして

精神科の医師を務める中で悩まれたこともあったそうですね。

玉置元院長 たまきクリニック 5

精神科の医師になってから、約40年になりますが、大学に勤めていた当初は、自分ほど精神科の医師にふさわしくない人間はいないと思って悩んでいたんです。心のことなどまったくわかっていないのに肩書だけで患者さんと話すのが非常に苦痛でした。ですから、大学を離れて開院する時は別の道を模索していて、興味を惹かれた漢方専門のクリニックを始めようかと考えていたんです。それで一時は漢方の勉強に没頭していましたが、何年かして世の中が「これからは漢方だ」と言い始めた頃、ある先生から「漢方をやる人はこれから増えていくかもしれない。だけど玉置さん、あなたが本来やるべきは精神科の医療じゃないの?」と言われ、このままじゃいけないと思い直して精神科の道へと戻ったんです。

往診もされているのですか?

往診という名の「家族のケア」ですね。もちろん、お子さんと親御さんが一緒に来院されれば、院内でも受けつけていますが、登校拒否や引きこもりのお子さんなど来院が難しい場合もありますから、そうした場合は往診という形を取っています。この場合、ちょっとしたしぐさや動きなどで家族間の関係性をまず診ます。例えば父親の隣からすっとお姉さんのそばに移動する子なら「お父さんと何かあるのかな」と推測したり、質問に答える度に母親の顔をちらちら見ていたら「支配されるような関係なのかな」と感じ取ったりしていきます。その関係性を踏まえて、親御さんとお子さんの「間(あいだ)」が良い方向に向かうよう、気づきを促すわけです。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

玉置元院長 たまきクリニック 6

最近ではコロナ禍においてストレスを抱える方も多くなっていると思います。それでも一人ひとり異なる人生を生きていらっしゃるので、そのストレスや問題を一括りにすることはできませんが、例えばよく言われている「コロナうつ」に対しては漢方をお勧めしています。これからは何が起こるかわからない時代ですが、あまり心配ばかりしていると自然治癒力が低下してしまいます。皆さんが本来持っている自然治癒力を低下させないためには「心の中心軸」をブレないようにしっかり保っていくことが必要です。どんな方でも助けたいというのが私の信念ですから、お力になれることがあると思います。

自由診療費用の目安

自由診療とは

時間外カウンセリング(自費診療)/5500円~

Access