大野 伸晃 院長の独自取材記事
おおの耳鼻咽喉科クリニック
(瀬戸市/三郷駅)
最終更新日:2025/01/17

国道363号沿い、瀬戸市、長久手市、尾張旭市の真ん中に位置する「おおの耳鼻咽喉科クリニック」。鮮やかで深いブルーを基調とした外観がひときわ目を引く建物のコンセプトは「水族館のような耳鼻咽喉科」。魚や釣りが大好きな大野伸晃院長が、小さな子どもから高齢者まで「地域の人たちに親しんでもらいたい」という思いを込めて設計した。鼻の日帰り手術から感染症や鼻詰まりなど、専門的な治療から些細な不調まで幅広く対応する同院。「不調や不安を聞く、最初の窓口になりたい」と、穏やかな笑顔を浮かべながら話す大野院長は、大学病院をはじめ地域の基幹病院などで20年のキャリアを積んだ鼻疾患のエキスパートだ。自らが悩まされてきた鼻の疾患や、その治療について、地域医療にかける思いなど、じっくりと聞いた。
(取材日2024年9月10日)
不安を安心に変える、地域の窓口になりたい
クリニックのコンセプトをお聞かせください。

地域の皆さんの不安や不調の窓口になりたいと考えております。2019年に開業した当初は、大学病院や基幹病院などの診療経験を生かし、鼻の手術なども取り入れた専門的かつ質の高い医療を提供することをコンセプトとしていました。開業から5年たった今、当初のコンセプトに加えて、地域の皆さんに何でも気軽に相談いただける存在となることが、地域貢献につながるのではないかと感じています。迅速な診断で、当院で治療を完結できるものと、難しいものを適切に仕分けること。そして、詳しい検査や当院ではリスクが高い手術が必要な場合は、愛知医科大学病院や陶生病院など提携の医療機関へつなげること。これら地域のクリニックとしての役割を今まで以上に意識して日々の診療を行っています。
開業して5年とのことですが、どのような患者さんが来院されますか?
地域の特性としてご高齢の方が多いです。その一方で、もともと耳鼻咽喉科が少ないエリアでしたので、ご高齢の方はもちろんですが、小さなお子さんまで幅広い方にご来院いただいています。ご近所の方からも「すぐに行けるところがあると安心だわ」「知り合いに紹介されて来た」など、うれしいお声もいただいているので、自分が思っている以上に地域に根づけているのではないかと自負しています。診療内容としては、副鼻腔炎や中耳炎、喉の痛みなど一般的な耳鼻咽喉科に関することはもちろんですが、風邪症状や新型コロナウイルス感染症といった感染症まで、本当に幅広く診させていただいています。
風邪などの感染症も、耳鼻咽喉科で診てもらえるのですね。

もちろんです。当院では、感染症専用の隔離室を設置するなど、感染症対策にも力を入れていますので安心してご来院ください。感染症の診察については、私たち耳鼻咽喉科は「直接患部を診る」ことを得意としています。例えば、痰の絡む咳が止まらないとか、鼻水が詰まって眠れないだとか、喉が痛くて熱が出るなどがあれば、一度耳鼻咽喉科を受診されるのも良いかもしれませんね。また、耳鼻咽喉科では「処置」が大事だと思っています。特に小さなお子さんの場合は、お薬ももちろん大事なのですが、機械で鼻水を吸って掃除をするといった処置も可能です。鼻詰まりから副鼻腔炎、こじらせると中耳炎を引き起こすこともありますので、「いつもと違うな」と思われたら、早めにご相談ください。また、深刻な疾患の予防にもつながりますので、鼻水を吸うことやネブライザー、耳掃除だけでもぜひ耳鼻咽喉科を使っていただけたらと思います。
さまざまな選択肢でアレルギー性鼻炎の改善をめざす
鼻の疾患がご専門だとお聞きしました。

そうですね、開業前は20年間、大学病院や基幹病院で主に鼻の疾患を専門としてきたので、当院でも鼻に違和感やトラブルがある方の診療に注力しています。中でもアレルギー性鼻炎は、多くの方が悩まされている症状ではないでしょうか。いろいろなアレルギーがありますが、花粉症はもう国民病といってもいいくらいですよね。服薬や注射、舌下免疫療法などさまざまな方法がありますが、眠くなってしまうからと薬が飲めなかったり、体質的にそうした治療を選べなかったりする方には、手術という方法もあるんです。これは粘膜の一部を焼き切る目的の手術で、過剰に反応してしまう部分を抑えることにつなげ、症状の抑制をめざします。この方法は、そのほかの治療法よりメリットが見込める場合、選択肢としてお伝えしています。
アレルギー性鼻炎を放置するとどうなりますか?
季節や環境によって引き起こされる鼻炎は慢性的なものなので、程度が軽いと病院に足が向かない方も少なくないでしょう。でも鼻炎や風邪の鼻詰まりを放置し過ぎると、副鼻腔炎を引き起こす可能性もあります。副鼻腔と呼ばれる部分が炎症を起こし、ポリープができてしまうんです。こうなってしまうと薬や手術で治療していくことになりますので、やはり早期診断、早期治療は大切なんですね。ただ、そもそも鼻の構造的に詰まりやすい方もいらっしゃるので、そうした場合には手術をお勧めしています。先ほどの花粉症の手術と同様に、当院では日帰り手術が可能ですので、ご相談いただければと思います。
診療のモットーを教えてください。

まず診察室にいらっしゃった瞬間から、患者さんの様子をしっかり観察します。挙動や表情、顔色、声色など、何げない行動に多くのことが表れます。体調や疾患を示すサインはもちろんですが、患者さんの気持ちにも目配りをするつもりでしっかりと向かい合っています。それから診察をして、診断をつけて、治療へと進んでいくのですが、ここで気を配っているのはわかりやすく説明するということです。なるべく専門用語を使わずに、患者さんが理解しているか表情も確認しながら話します。そして、そこから治療を決めるときにも、どの選択肢がいいか一緒に考えることを心がけています。自分の体のことですから、自分で決めたという満足が、快方に向かう後押しをしてくれると思うんです。そうやって一つ一つないがしろにせずに患者さんと向き合うことで、不安も取り除けるのではないかと思っています。
気軽に相談できる環境を整え、地域に安心を届けたい
先生はなぜ耳鼻咽喉科の医師を志したのですか?

自分自身が子どもの頃からアレルギー性鼻炎があって、定期的に耳鼻咽喉科に通院していました。病院で見る先生の姿は立派で憧れましたし、子どもである私にも上から目線でなく、気さくに話してくれるのがうれしかったことを覚えています。比較的頻繁に病院へ行ったので、医師という職業に親しみを持ったのかもしれません。そんなこともあって、自然に医療の道へ進みました。大学に入ってから、扁桃腺の手術をすることになり、そこでも耳鼻咽喉科の先生のお世話になりました。だから専門を選ぶ時にも、耳鼻咽喉科を念頭に置いていましたね。素晴らしい先生や医療との出会いが、私を耳鼻咽喉科の医師にしたと言っても過言ではありません。
印象に残る患者さんとのエピソードをお聞かせください。
ちょうど先日、若い男性がご両親と一緒にアポイントを取って来院されたんです。お会いすると、その方は以前勤務していた病院で、8年くらい前に私が手術をした患者さんでした。当時は彼は中学生だったんですが、少し難しい病気にかかっておられて、その病気が原因でなかなか学校にも行けなくて……。 それでも手術を受けて、頑張って病気に立ち向かわれました。そのご経験から「僕も医者になりたい」と思われたそうで、医学部を受験されて見事合格されたということで、その報告にわざわざ当院を探して来てくださったんですよ。それをお聞きしたときに、医者冥利に尽きるといいますか、やはり私たちの仕事は意味があるんじゃないかなと感じたエピソードですね。
今後の展望とともに地域の方へメッセージをお願いします。

開業から5年たった今、一番感じているのは「地域の皆さんが、不調を気軽に相談できるクリニックでありたい」ということです。中には、経過観察でいいものもあれば、急を要する病気もありますので、 しっかりとお話を伺い診察して、それを振り分けさせていただく、 そういう窓口になっていけたらいいなと思っています。そのためにも、地域の皆さんがもっと気軽に通院いただけるよう工夫を重ねていきたいと考えています。現状では、自動精算機の導入や院内動線の改善などで待ち時間の短縮に努めるほか、隔離室の設置など感染症対策の強化にも取り組んでいます。そして、スタッフ一同笑顔でお迎えし、安心して帰っていただけるクリニックをめざし、今後も尽力してまいります。