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野村 公志 院長の独自取材記事

のむら・笠原クリニック

(多治見市/多治見駅)

最終更新日:2024/10/10

野村公志院長 のむら・笠原クリニック main

多治見市南部・笠原町の中心部に立つ「のむら・笠原クリニック」。先祖代々、笠原町で商売を営んでいたという野村公志(のむら・こうじ)院長が、「野村のクリニックというより笠原のクリニックでありたい」と2019年に開業した。基幹病院の外科、消化器外科、救急科で研鑽を積んだ野村院長と、消化器内科を専門に、緩和ケアや小児科の経験を積んだ妻の野村翔子副院長の2人医師体制。それぞれの専門領域を発揮しながら、救急医療から終末期医療までを対応しているクリニックだ。「何でも診る」という目標を掲げた開業以来、日曜診療も続けながらクリニック全体のアップデートにも努める野村院長。小さな町のクリニックが最大限できることに邁進する野村院長の熱い思いを紹介する。

(取材日2024年9月18日)

「何でも診る」ために外科、消化器外科、救急科で研鑽

クリニックの名前にもなっている笠原町のご出身だそうですね。

野村公志院長 のむら・笠原クリニック1

先祖代々、雑貨・文具店、陶料会社、そして母が歯科医師と、笠原に根づいており、この地への思いがとても強いです。院名に「笠原」と入れたのも、この地域の方々への恩返しの気持ちがあり、笠原のためのクリニックにしたいと思ったから。また、70代の母に「人生これで一安心」ではなく「もう1度青春!」と思ってもらいたかったことも開業した理由の一つです。「命ある限り、一緒に地元のために頑張ろう!」と切磋琢磨し、医科歯科連携しています。実はこの場所を選んだのにも理由があって、誰もが来やすい町の中心部であること、そして近くの山にある先祖のお墓から当院が見えることが決め手でした。モチベーションが上がるとともに、日々先祖への感謝の気持ちを再確認します。

そもそも先生はどうして医師をめざし、救急科を選んだのですか?

子どもの頃、近所にあった藤井医院がきっかけです。私は、具合が悪くなると、すぐに藤井医院に駆け込んでいました。「何でも診てくれるお医者さんってすごいな」と、子ども心に尊敬を抱いていたんです。時を経て私が医師になった今の時代は、専門性を追求する傾向にあります。時代と逆向しているようですが、私がリスペクトしていたあの藤井医院のような「何でも診る医療」を貫くには、救急科しかないと考えたのです。内科、外科に分かれている今の医療現場で何でも診ることができるのは、救急科。しかし「専門性もあったほうがいい」という先輩方のアドバイスも受け入れ、基幹病院で外科と消化器外科の研鑽も積み、初志貫徹で多治見市民病院では救急部を立ち上げ、責任者を務めました。クリニックを開業したのも、笠原町という地域には何でも診る医師が必要だと思ったからです。

「何でも診る」というのが、クリニックの方針なのですね。

野村公志院長 のむら・笠原クリニック2

はい。「何でも診る」という医療は、救急科での経験の上に成り立っています。また、翔子副院長は消化器内科が専門で、勤務医時代は私と同じく基幹病院で内科診療や胃・大腸の内視鏡検査を行ってきました。がんなどで苦しむ患者さんに最期まで寄り添う緩和ケア病棟にも勤務し、開業前には小児科で研鑽も積みました。2人の医師それぞれの専門性を生かし、どんな症例にも対応できるよう研鑽を積んできたことが当院の強み。「何でも診る」というのは、救急も含め病気の「入り口」から内科・外科の一般診療、そして訪問診療や看取りといった「出口」まで、それぞれ専門的な経験を積んだからこそ、できることだと思っています。

スタッフを増員し、人の手で医療を行う

日曜も診療されていますが、どんな患者さんが多いですか?

野村公志院長 のむら・笠原クリニック3

土曜、日曜は救急の患者さんが多いです。例を上げると、骨折や脱臼、やけど、薬物中毒、マムシに噛まれた、喉に魚の骨が刺さった等、救急車を呼ぶほどではないけれど、緊急に処置しなければいけないケースですね。全身麻酔も可能ですから、外傷の手術や内視鏡手術も行えます。救急ニーズの高まりもあって駐車場も50台に拡大しました。当院は救急指定病院ではありませんが、東濃地区の休日救急相談窓口でも紹介先クリニックとなっています。何でも診ると意気込んで開業しましたが、リハビリテーションの患者さんが多いのは予想外でした。そのため、診療放射線技師やリハビリテーションスタッフを増員して、対応しています。時代は効率化の方向へ進んでいますが、私は高齢者の多い当院には機器導入よりも人の手が必要だと判断しました。

患者さんに合わせてリハビリテーションスタッフを充実されたのですね。

肩、膝、腰を中心に、脳血管障害による手足のまひなどにも対応しており、多職種が連携できることが特徴。皆、自主性とやりがいを持って患者さんと接している、頼もしいスタッフですね。日常生活がどうしたら楽になるかを考えた指導で、「この人にリハビリテーションをしてもらってよかった」と思ってもらえるようなリハビリテーションが、彼らのめざすところ。内科的な持病についても意識しながら、患者さんの変化を見逃さないように気をつけているようです。医師よりも患者さんと接する時間は長いので、どうしたら心を開いてもらえるかを考えながら接しているようですね。土日もあって大変ですが、スタッフには感謝しかありません。

スタッフにはどんなことを意識してもらっているのですか?

野村公志院長 のむら・笠原クリニック4

スタッフに常々、伝えているのは、医療においては100%ミスがあってはならないということ。安心安全の意識がおろそかになった時は、私はクリニックを辞める覚悟で医療に臨んでいます。もちろん、その時は残った患者さんが困らないよう紹介状を書いて最後まで責任は持ちますよ。スタッフに守ってほしいのは、医療に対する責任感。それはたとえ、事務職でも同じです。「自分は医療従事者であると意識し、責任感を忘れないでほしい」とスタッフ全員に伝えていますが、それは言葉だけではなく、私がスタッフをリスペクトをした上での人材育成です。

東濃地区全体の医療を考え、一次救急を担う

壁に飾られたクリニックのロゴマークも地元のタイルなのですね。院内のこだわりを教えてください。

野村公志院長 のむら・笠原クリニック5

近くのカフェや総合病院などで天井の高さをメジャーで測り、待合室の居心地の良さやリハビリテーション室に必要な開放感などの参考にしました。天井の高さだけでなく、内装から看板、駐車場の配列までほとんど私が決め、2つある入り口は、救急車のストレッチャーが入れる動線にしています。また周りの目が気になる親御さんの負担を考えて、キッズスペースは待合室ではなく広いリハビリテーション室に設けました。リハビリテーション室には野球選手のサイン入りユニフォームを飾っているのですが、患者さんには選手の不屈の精神を感じてもらい「諦めずにリハビリテーションを頑張ろう」と思ってもらえればうれしいです。

救急やリハビリテーション以外の診療についても教えてください。

内視鏡検査は、私も副院長も行い、検査時の大腸ポリープ切除も可能です。胃がんや大腸がんは早期発見が重要ですので健診で引っかかった方はもちろん、胸やけや腹痛、また便通異常がある方には受けていただきたいですね。他には、おなかのヘルニアや肛門の外来も設けています。鼠径ヘルニアは、連携病院で私が手術することもできますので安心してご相談いただきたいです。また笠原でも高齢化が進み、訪問診療が増えている状況です。緩和ケアや看取りにおいては、専門家である副院長の存在が大きいですね。自宅での看取りはご家族にとっても感慨深い経験になると思います。温かい雰囲気の中で最期まで寄り添えることは、医療者にとっても意義深いものです。

東濃地区全体の医療の発展にも意欲的に取り組んでいらっしゃるそうですね。

野村公志院長 のむら・笠原クリニック6

私は、東濃地区の病院のそれぞれ得意な分野、力を入れている診療を把握していますので、患者さんを適切な病院に紹介することができます。また当院では、土岐市にある健康診断施設で人間ドックを受けた方の再検査を全例受け入れていますので、地域の方々の疾患の早期発見に寄与できればと思います。さらに、2026年開業予定の、新病院の救急科の医師の育成や多治見市の災害時医療についてのアドバイザーとしても関わっています。東濃地区全体における救急医療体制の構築のためには、三次救急病院を命に関わる急性の患者さんの受け入れに特化し、二次救急病院との役割分担をすることが非常に大切です。当院としては入院の必要のない患者さんをどなたでも受け入れ、一次救急としての役割を担っていきたいと思います。

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