放置して悪化させる前に
肩の病気と治療の実態を知ろう
大井クリニック
(西宮市/苦楽園口駅)
最終更新日:2026/04/09
中年期になると、多くの人が肩の違和感や痛みを経験する。「これが四十肩か」「五十肩か」と感じつつも、誰でもなるものだと諦め、自然に治ることを期待して放置してしまう人も少なくないだろう。「自己判断は症状の悪化や長期化を招きます。つらいと感じたら、早めに受診することが大切です」と語るのは、「大井クリニック」の大井雄紀院長。長年にわたり肩関節を専門に診療してきた豊富な経験を生かし、一般の患者からスポーツをする人まで、一人ひとりに応じた治療を提供する肩関節治療の専門家の一人だ。肩の病気にはどのようなものがあり、どのような治療が可能なのか。専門クリニックの診療の流れを追ってみた。
(取材日2025年10月30日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q肩の病気や障害には、どのようなものがありますか?
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A
肩凝りを除けば、一番多いのは肩の周囲に強い炎症が起こる肩関節周囲炎です。また板状の腱が切れてしまう腱板断裂や、それによって変形が進んで軟骨がすり減ってくる変形性肩関節症、関節が緩い肩関節不安定症、肩関節の脱臼を繰り返す反復性肩関節脱臼が肩の代表的な疾患です。肩関節周囲炎は40〜50代によく発生するため、四十肩、五十肩と呼ばれていますが、必ずしも加齢が原因とはいえません。また、腱板断裂と変形性肩関節症はスポーツや仕事による肩の酷使のほか、外傷性肩関節脱臼と同様に、1回の外傷で発生する場合もあります。こうした原因をしっかり調べた上で、どう治療していけばいいかを考えていくことが重要なプロセスです。
- Q日々の生活では、どのようなことに注意すればいいですか?
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A
日常生活においては、毎日のラジオ体操など、適度な運動を欠かさないことが予防につながります。よく「四十肩、五十肩は放っておけば治る」といわれますが、肩に違和感や強い痛みがある場合は、なるべく早めに整形外科を受診してください。その際は、できるだけ肩を専門にしているクリニックや病院で診てもらうのがベターです。肩関節周囲炎には、炎症期と拘縮(こうしゅく)期、寛解期があります。痛みがあるからと動かさないでいると関節自体が固まり、可動域が狭くなるなどますます悪化していきます。そうなってから治療をスタートすると時間がかかりますから、炎症期のうちに関節が固まることを予防することがポイントですね。
- Qこちらのクリニックで肩の治療を受けるメリットは何でしょうか?
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A
当院では一般整形外科からスポーツ整形外科、リハビリテーションまで、症状やニーズに合わせ、さまざまな選択肢を用意しています。肩関節造影検査にも対応しており、腱板断裂を調べる検査を行っています。なお、その際、肩甲骨下滑液包のバイトブレヒト孔の開通により関節内圧が下がることで、痛みの軽減につながる場合があります。クリニックでは珍しい検査ですが、有用な検査の一つです。治療も多様なアプローチが可能です。症状によっては手術が必要な場合もありますが、保存治療を希望されることも多いので、肩に特化した理学療法士によるマンツーマンのリハビリテーションにも力を入れています。お困りの方はぜひご相談ください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1まずは痛みが発症した経緯を問診で確認
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問診では、「いつ頃にどのような痛みが出たのか」「急に痛くなったのか徐々に悪くなったのか」「どれくらいの期間をかけて現在の状態になったのか」といった詳しい経緯を伝える。痛みのある部分が、自分では肩だと思っていたら実は頸椎由来の症状であったという場合もあるので、思い込みをせず、まずは困っている状況を素直に話し、専門家である医師の診断につなげていくことが大切だ。
- 2エックス線撮影やMRI検査と診断
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的確な診断のために肩のエックス線検査を行うが、一つの検査だけではなく、患者の希望や必要に応じてMRI検査や肩関節造影検査をセットで行うケースもある。同院ではオープン型MRIを採用。圧迫感や閉塞感が少ないため、閉所恐怖症の人や小児、高齢者でも比較的安心して受診することができるだろう。
- 3必要に応じて、肩関節造影検査を行う
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肩関節造影検査は、関節の中に痛み止めと造影剤を注入して内側から膨らませ、腱板が切れていないかエックス線によって透視すると同時に、肩の疼痛緩和や、可動域の改善を図る治療的側面も持つ検査方法。肩関節造影を行っている医療機関は肩関節専門でも珍しいそうだ。検査の適応については医師が判断しアドバイスをくれるので、適応となれば選択肢の一つに加えたい。
- 4理学療法士によるリハビリテーション
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リハビリテーションは、造影検査や手術の術後だけでなく、保存的な治療の一環としてもさまざまな場面で実施されている。同院では、1人の理学療法士がマンツーマンで患者の状態を丁寧に評価し、必要なアプローチをオーダーメイドで行うのが特徴。リハビリテーションは1日1回20分が基本で、週に1回程度の利用が多いという。
- 5必要があれば、手術などの治療方法も
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腱板断裂や変形性肩関節症の場合、リハビリテーションをしても痛みが取れない人や日常生活動作が困難な人には、腱板修復術や人工関節置換術などの手術が必要になることも。同院では連携病院に院長自らが出向いて手術を行うことが可能で、入院中も何かあればすぐに連絡が入る体制が整っている。また、どうしても手術を希望しない患者には、さまざまな保存的治療を組み合わせて丁寧に寄り添い、最適な提案に努めている。

