精密根管治療と歯根端切除術で
根管治療の問題解決をめざす
目白マリア歯科
(新宿区/目白駅)
最終更新日:2024/05/08
歯の神経が細菌感染を起こして痛みが出た場合、その状態によって抜歯あるいは根管治療を行うのが一般的だ。歯を残したいと望む人にとって、根管治療は希望となり得る治療だが、治療期間が長くて負担になる、治療を終えてからも再発を繰り返すといった悩みを抱える人も多い。そんな根管治療に対するさまざまな悩みに対応しているのが「目白マリア歯科」の宮澤仁院長だ。宮澤院長は根管治療の難症例にも外科的処置でアプローチを行うことができる歯内療法のスペシャリストだ。再発の可能性を抑えることをめざして行う精密根管治療、歯根端切除術を含む歯内療法について宮澤院長に話を聞いた。
(取材日2021年1月19日)
目次
細菌の流入防止に配慮した環境下で感染物の除去を図る精密根管治療。難症例には外科的なアプローチも
- Qこちらで行っている精密根管治療について教えてください。
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A
根の治療で大切なことはいかなる細菌も根管内に流入させないことです。当院の精密根管治療では、それを厳密に守るため非常にセンシティブな環境下で治療を行っています。例えば根管の中の細菌を除去していく際、唾液が入らないようにラバーダムを用いますが、ラバーダムだけでは防げない可能性があります。そのため、水で膨張するパテを使い唾液が入ってこないような環境をつくります。さらに、治療を始める前に過酸化水素水で歯牙を洗浄、次にラバーダム全体をヨード液で消毒します。つまり、開腹手術と同じくらいのレベルの環境下で根管の感染物を取り除いていきます。
- Q精密根管治療ではマイクロスコープを活用されると聞きました。
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A
根管の感染物を除去する助けになるのがマイクロスコープです。しかしながら、マイクロスコープで根管内を直視することはできず、ミラーを使うことで根管の内部を確認していきます。そのため、すべての手技は左右が逆に見えることから特殊な技術が必要とされます。感覚的に例えると、車をバックミラーのみで運転しているような感じです。また、そういったテクニカルな難しい技術を習得したからといって治療がうまくいくわけではありません。先ほどお話しした無菌的な処置などがあって初めてマイクロスコープが生かされるのだと考えます。マイクロスコープを使うことで、見逃し根管や感染物を見ながら除去することが可能になります。
- Q精密根管治療でも、アプローチできない部分があるのですか?
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A
側枝といわれる毛細血管のほとんどは、根の先3ミリの部分に集中しています。人間の手の届かないところに潜んでいる細菌は取り除くことが困難で、根管治療を行っても再発を繰り返す原因となり得ます。これを「根管治療の限界」と言います。上からのアプローチでは細菌をすべて除去できるわけではありません。また、強い殺菌剤を多く使えば患者さまの体に影響を及ぼす可能性があります。当院では、精密根管治療後、治癒に至らないような難症例の場合、歯内療法外科の外科的処置を選択肢としてご提案しています。
- Q外科的歯内療法にはどのような手術があるのですか?
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A
予後不良の原因になり得る根っこの先を切断しMTAという歯科用セメントで埋める歯根端切除術があります。これによって細菌が外に出ることを防ぎ、再発の可能性を低減していきます。歯根端切除術は歯茎を開いて行いますが、一度歯を抜いて、外で根の先端を切断し、再び元の歯の位置に戻す意図的再植術という方法もあります。歯根端切除術は口の中で行う手術なので技術的には難易度が高くなります。また、意図的再植では抜歯の際に歯が割れてしまう可能性があるため、通常の抜歯よりも丁寧に行う必要があります。根管治療で予後不良の場合も、こうした外科的なアプローチで根尖性歯周炎を治癒に導きます。
- Q精密根管治療の後、大事なことは何でしょう?
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A
医療に100%はありません。精密根管治療によってある程度細菌がいなくなれば、いったん症状は和らぐことが望めますが、再発の可能性は多少残ります。そこで大切なのが経過観察です。当院では精密根管治療の後、最低でも2年間の経過観察を行っています。一度病気が良くなっても再発する可能性はゼロではありません。病気の治癒形態や症状を確認して再発の危険性があるかを判断することは非常に重要です。治療後の治癒形態や症状を長期的に経過観察することで歯内療法外科の必要性を判断します。予後不良の場合は歯根端切除術を行うことで、しっかりと根の病気を治癒に導く体制を整えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは根管治療/12万1000円~、歯内療法外科(歯根端切除術・意図的再植術)/22万円~ ※ただし、当院で精密根管治療を受けてから2年以内の場合は5万5000円~ ※すべて税込み