平澤 侑來 院長の独自取材記事
マイシティクリニック
(新宿区/新宿駅)
最終更新日:2025/03/19

新宿東口エリアで30年以上診療を行ってきた「マイシティクリニック」。診療科目は一般内科から泌尿器科、男性更年期障害や熟年期障害まで幅広い。性感染症や頻尿に悩んで訪れる患者も多いが、個人情報が漏れることがないようナンバー制度を採用し、デリケートな症状でも通いやすいよう配慮している。2024年より院長を務める平澤侑來先生は、大学病院や総合病院で研鑽を積み、現在も東京医科大学病院泌尿器科での外来診療に携わっている。その強みを生かし、大学病院との強固な連携体制で、泌尿器がんの経過観察も含めた幅広い診療を行えるのが同院の特徴の一つだ。クリニックならではの気軽な雰囲気で患者と向き合い、高度な医療の提供をめざす同院の診療について、平澤院長に話を聞いた。
(取材日2024年12月26日)
大学病院と連携し、幅広くかつ専門的な医療を提供
30年以上にわたり、新宿東口エリアで診療されていると伺いました。

はい。私の父が、1992年に新宿東口の駅ビル内で開業したのが当院の始まりです。まだ私が子どもだった時に、当院へ行ったことがありました。その時の父は「お医者さん」の顔をしていて、それに憧れて私も医師になりました。その後、当院は2012年に現在の場所に移転して現在に至ります。私は東京医科大学病院、新百合ヶ丘総合病院、東京医科大学八王子医療センターなどで泌尿器科や内科を中心に研鑽を積み、2016年より当院の診療にも携わってきました。2024年に父から当院を引き継ぎ、東京医科大学病院では今も外来診療を継続しています。
こちらにはどのような方が通っているのでしょうか?
新宿という土地柄、年齢層も職業も幅広いですね。泌尿器科をはじめ、内科、性感染症内科、性感染症外科などにも対応していますので、例えば腹痛から性同一性障害まで症状も多様です。また以前より力を入れている更年期障害や熟年期障害の患者さんは、年々増えています。その他、頻尿のお悩みは年齢を問わず多く、もはや国民病だといえるでしょう。ご高齢になると夜間頻尿に悩む方が増えてきますが、夜中にトイレに2回以上起きる人は、死亡率が2倍になるというデータがあります。夜間の排尿時に転倒するリスクもありますし、夜間頻尿の裏に大きな病気が潜んでいる可能性もあるのです。夜間頻尿に関する父の著書を読み、当院を受診される方もいらっしゃるんですよ。尿失禁や頻尿など泌尿器科のトラブルは、その方の尊厳にも生活の質にも大きく関わるもの。泌尿器科を専門とする医師として、できる限りのサポートをしたいと思っています。
代替わりにより強化された分野はありますか?

基本的にはこれまでと変わらぬ診療を行っていますが、大学病院との連携とがんの治療に関しては幅が広がりました。血尿や頻尿の症状の中には、前立腺がんを疑うケースもあります。精密検査や手術が必要な場合、東京医科大学病院でも引き続き私が担当したり、その後の薬物治療はまた当院で行ったりと、一貫して対応できる体制となりました。またCTやMRIについては近隣の専門医療機関と連携して検査を行っています。「大学病院に行くのは気が引ける」という方でも、当院のようなクリニックならば相談しやすいかと思います。経験を生かしてしっかりと症状を見極め、必要に応じてより専門的な医療につなげますので、気軽にいらしていただきたいですね。また、父は今でも当院で診療を行っているため、日によっては二診体制となりました。これにより、コンジローマなどのイボの切除手術も数多く対応できるようになりました。
栄養素不足や対人関係の変化も男性更年期障害の一因に
こちらで力を入れている「男性更年期障害」では、どのような症状が現れるのでしょうか?

男性更年期障害では、意欲や気力の低下、倦怠感、不眠、ほてりなど、女性更年期障害でもみられる症状が出ますが、男性の場合、性欲の低下やED症状も加わってきます。男性更年期障害がメディアで取り上げられることも増え、これらの症状を自覚した方や、家族に勧められて来院される方が増えてきました。「男性にも更年期障害がある」ということが、少しずつ世の中に浸透してきたように感じています。診断は、問診で男性更年期障害の症状の有無やうつ病の可能性を、血液検査で男性ホルモン・下垂体ホルモン・副腎ホルモン・甲状腺ホルモン・亜鉛値などを調べて行います。男性ホルモン値が基準値未満の場合、LOH(加齢男性性腺ホルモン低下)症候群と呼び、男性ホルモン補充療法の適応となります。
更年期障害やLOH症候群は、何が原因で起こるのでしょうか?
男性更年期障害は、LOH症候群やうつ病、その他亜鉛欠乏症や生活習慣病など、さまざまな原因で起こります。亜鉛は全身に広く分布しており、不足すると、味覚や嗅覚の異常、皮膚や毛髪のトラブル、免疫力の低下、糖代謝の悪化、性機能不全、精神障害などの原因となり、心身の健康状態に影響すると考えられています。LOH症候群の原因はテストステロンの低下です。テストステロンは脳・筋肉・腎臓・骨・肝・男性器に分布しており、低下するとさまざまな症状が出ます。テストステロンは社会性のホルモンとも呼ばれており、新型コロナウイルスの流行で人とのコミュニケーションが減ったことも男性更年期障害の増加の一因だと考えられます。
治療についても教えてください。

男性更年期障害は原因を特定することが大切です。まずは問診とホルモン検査からLOH症候群の有無がわかります。LOH症候群の治療はホルモン補充治療を行い、保険内で受けられるものの他、保険適用外の塗り薬を使うことも可能です。また、鑑別すべきものとしてうつ病がありますが、うつ病であるかどうかは問診票から判断し、疑わしい場合は精神科や心療内科の治療につなげます。当院での治療はLOH症候群がメインとなりますが、精神科や心療内科の先生とも連携し、メンタルの不調の改善にも取り組んでいます。
全人的医療を提供できるクリニックとして、健康へ導く
熟年期でも同様の症状が起こり得ると聞きました。

そうですね。更年期はあくまでも40~50代という定義ですが、60代以降の熟年期でも更年期障害と同じことが起こり得ます。さらに、その年代になると生活習慣病などの他の疾患も加わって、より病態が複雑化することもあるのです。例えば生活習慣病の関係でコレステロール値を下げるためのお薬を服用している方もいるでしょう。しかし、コレステロールはテストステロンの材料でもあるのです。つまりコレステロールを下げればテストステロンも減ってしまい、それによって体調不良や熟年期障害が起こることも。私はこれまで生活習慣病を含む内科全般についても専門的に診てきました。患者さんのご希望に応じて、熟年期障害と全身疾患への総合的なアプローチを行っています。
漢方処方にも取り組まれているそうですね。
健康診断ではまったく問題がないのに、「なんだか体調がおかしい」と感じられる方もいるのですが、東洋医学ではこういった状態を健康と病気の中間、「未病」といいます。このような状態のときに漢方は有用なのです。西洋医学というのは非常に優れた学問ですが、臓器別に特化した診断に留まることもあるのです。西洋医学と東洋医学をミックスさせ、全人的医療をめざすことにより、一層、患者さんの健康に寄与できるのではないかと考えています。また、当院では不足しがちな栄養素を考慮し、一人ひとりに合わせてサプリメントのアドバイスも対応しています。
読者へメッセージをお願いします。

これまで父が掲げていた「地域医療に貢献していきたい」という思いは、私の代になっても変わりません。高齢化で人生はどんどん長くなっていますが、大切なのは健康寿命。フットワークの軽さと患者さんとのコミュニケーションを大切に、一人ひとりに丁寧に向き合うクリニックであり続けたいと思います。大学病院との密な連携体制を生かしながら、病気の予備軍である更年期障害の改善に注力しながら、熟年期の患者さんの健康を総合的にサポートしていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはLOH症候群治療(塗り薬)/1%テストステロンクリーム:4536円