深町 和宏 院長の独自取材記事
新座きりん歯科クリニック
(新座市/新座駅)
最終更新日:2021/10/12

「虫歯の治療」といえば、治せば元通りになると思いがちだ。しかし実際は、「歯科医師は歯を元に戻すことはできないし、治療を繰り返すと歯は失われてしまうので、削らないければいけない状態にならないことが重要」というのが正解なのだそう。2019年6月に新座に開業した「新座きりん歯科クリニック」は、そんな意外に知られていない事実をしっかり伝え、地域の人の歯を守り、ひいては健康を守ることを第一とするクリニックだ。院長は、10年以上の診療経験を持つ深町和宏先生。一般歯科から小児歯科、審美歯科、口腔外科と幅広くニーズに応え、歯列矯正にも力を入れている。「正しい情報を知って、賢く歯科医院を利用できるようになってほしい」と話す深町院長に、予防の重要性や診療方針について聞いた。
(取材日2019年10月7日)
歯を守るための方法を伝えたい
開院のきっかけから教えてください。

年齢的なものもあり、「独立して自分の思うような診療がしたいな」とは勤務医の時から考えていたんです。東所沢の出身なので近くがいいなと思っていたところ、ちょうどテナントに空きがあると聞いたことが、ここで開業するきっかけになりました。やさしい雰囲気の院にしたいと思ったので、内装に緑や木目を取り入れて木のイメージにして。小さな子ども連れでも来院してもらいやすいようにキッズスペースを設け、ユニットは、治療の際は主に個室診療室で、歯周病治療やクリーニングの時は半個室ブースでというふうにしています。開業して思うのは、「悪くなったから治療するだけではなく、普段から歯科医院をうまく利用することで虫歯・歯周病を予防するのが大切」との考えは、まだまだ十分広まっていないなということです。これから診療を通じて、予防の大切さを伝えていければと思っています。
「悪くなったら治療する」では、どんな問題があるのでしょう?
治療は「痛くなった、トラブルが起きたところを治す」ものです。歯科の病気は、虫歯にしろ歯周病にしろ初期の頃はほぼ痛みがないものなので、痛みが出ているなら、それは既にかなり進行している状態。治療には、歯を削るなどの大がかりな処置が必要になり、治療を繰り返せば歯を失うリスクも高くなります。歯を守るためには、虫歯や歯周病にならないように予防することが一番重要なんですね。予防のために大切になるのが、普段の歯磨きをしっかり行うことと定期的に歯科医院に通ってメンテナンスを受けることです。初めていらっしゃる患者さんの中には、メンテナンスと歯周病治療を混同している人がいらっしゃいますが、歯周病治療は「治療」のため、メンテナンスは「予防」のために行うもの。後者は「健康な状態を保つ」のが目的なので、一度受ければいいというものではありません。初めての方にはその違いからお話しして、わかってもらえるようにしています。
虫歯ができてから対処するのではなく、普段から歯を守ることが大事なわけですね。

その通りです。もちろんすでに治療が必要な状態なら先に治療を行いますが、治療が終わったら終わりではなく、健康な状態を守っていくことが大切です。そのために必要なのが、日々の歯ブラシと定期メンテナンスなわけですね。虫歯や歯周病は細菌による感染症なので、理論上は口の中に細菌がいなければ起こりません。実際には細菌がゼロになることはありませんが、歯磨きが不十分で汚れがたまっている、歯茎がずっと腫れているという状態では細菌は減りませんし、そんな状態で治療したとしても、当然いい詰め物やかぶせ物はできません。かぶせ物の中に細菌が入って再度虫歯になるリスクも高く、将来歯を失うことにつながってしまいます。精度の高い、いい治療を受けるためにも、日々の歯ブラシや定期メンテナンスで口腔内の状態をよくしておくことは大切なことなんです。
しっかり話すこと、伝えることを何より重視
実際の診療はどんなふうに進むのでしょう?

まず患者さんのお話を聞いて、痛みがあるなら痛みを取るなどの主訴治療を行うのが第一。その上で、歯周病の治療を行って歯茎の状態の改善に取り組んでから、虫歯治療に進んでいきます。「虫歯だけ早く治してほしい」という患者さんもいらっしゃるのですが、歯周病で歯茎が腫れているような状態では精密な型採りもできませんし、詰め物の中に汚れや菌が入ってしまうかもしれません。そのままでは十分な治療ができず、結果として歯の寿命を縮めてしまうので、「痛い所だけ治して、終わり」というわけにはいかないんです。「早く治してほしい」という気持ちはわかるのですが、どうしても必要なステップなので、そうしたほうがいい治療になることをしっかり説明しています。
患者さんにわかりやすく伝えるために、工夫していることなどはありますか?
なにより、しっかり話すことが大事だと思っています。今どんな状態で、治療の流れはどんなふうになる予定なのか。どういう処置を行うのか、それは何のためなのか。わかってもらうことが一番大切なので、そこについては、僕は歯科衛生士もきちんと話せるようにしていますね。後は、視覚的に訴えるのがいいと思うので、実際の口腔内写真やレントゲン写真を見てもらいながら話したり、説明用ソフトを使ったりしていることでしょうか。開業からまだ間もないので、試行錯誤しているところです。
矯正歯科にも力を入れていると聞きました。

はい、子ども、大人ともに行っています。歯列矯正を行うと、見た目の印象が変わるというだけでなく、歯並びが整ってくれば清掃性が良くなり、虫歯や歯周病になるリスクの軽減につながるという面もあるので、見方によってはこれも予防の一環と言えますね。歯並びは見た目ばかりが重視されがちですが、管理のしやすさという点もとても重要だと思います。治療は大人でも子どもでも可能ですが、大人になってからの矯正は顎の骨の位置を変えられないので、僕は骨格レベルの話でやれることは成長が完了する前にやっておいたほうがいいという考えです。矯正の必要性の有無や適当な開始時期はそれぞれなので、経過を見たほうがいい場合は見ますし、必要に合わせて行っていきます。
賢く歯科医院を利用できるようになってほしい
忙しい日々の中、どんなふうに気分転換をしていらっしゃいますか?

趣味と仕事がほぼ同じになってしまっているので、これをする、というのはないですね。学会で著名な先生の話を聞いたり、症例を知ったりすると「聞いてよかった!」と思いますし、充実感を感じるといった具合です。だから気分転換のためにやっていることといえば、家に帰ってご飯を食べて、しばらくボーっとリラックスしていることぐらいでしょうか。日中働いているうちは緊張感を持っているので、それを切り替える時間が必要なんだと思います。ずっと緊張したままでは健康によくないと思うので、緊張を緩めるために気を抜く時間を持つようには気をつけています。
今後の抱負について一言お願いします。
勤務医として働いていた時からの抱負ですが、患者さんに予防の大切さや自身の健康を守る方法をしっかり伝え、賢く歯科医院を使えるようになってもらう。そんな教育型の歯科医院でありたいと思っています。年齢に対する歯の残存数を表した指標があるのですが、それを少なくとも、全国平均より上げていきたいですね。なぜ歯が大切なのか、どうすれば歯を守ることができるのか、知らないのと知っているのでは全然違います。僕自身、歯科医師になる前は歯にはまったく興味がなく、中学1年で1本神経を抜いてしまっているんですが、大学で学んでからはほとんど虫歯はできていません。もちろん他の考えの人もいるので押しつけることはしませんが、当院に来てくれる方にはいろいろアドバイスしてあげて、その人の生活がよりよいものになり、健康になることにつながればという思いです。
最後に、地域の方々に向けてメッセージをお願いします。

「神経を取った歯は、適切な咬合管理が行われていないと割れてダメになってしまうことが多い」「歯周病で溶けた骨は基本的に元通りには戻らない。できるのは、進行を食い止めていくことだけ」といったことは歯科界では当たり前なのですが、一般には意外と知られていません。けれども、歯や健康を守っていく上では知っておいてほしいと思いますし、知っておいたほうが絶対に最終的に自身のためになると思います。きちんとした情報や知識を伝えていくことを大事にしていますので、歯について、歯科について知りたい方はぜひ一度いらしてみてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはホワイトニング/3万円~、インプラント治療/25万円~、小児矯正/26万円~、成人矯正/60万円~ ※すべて税別
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供を行っております。
カスタムメイド矯正装置(マウスピース矯正)については、効果・効能に関して個人差があるため、 カスタムメイド矯正装置(マウスピース矯正)を用いた治療を行う場合は、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。