深町 和宏 院長の独自取材記事
新座きりん歯科クリニック
(新座市/新座駅)
最終更新日:2026/03/18
虫歯は治療すれば元どおりになると思いがちだ。しかし実際は「歯科医師は歯を元に戻すことはできないし、治療を繰り返すと歯は失われてしまうので、削らなければいけない状態にならないことが重要」なのだという。「新座きりん歯科クリニック」はそんな事実をしっかり伝え、地域の人の歯を守ること、ひいては健康を守ることを第一とする歯科クリニックだ。院長を務めるのは、10年以上の診療経験を持つ深町和宏先生。2022年5月には新座駅南口を出てすぐの場所にクリニックを移転しユニットも増やして新たなスタートを切った。一般歯科、小児歯科、審美歯科、口腔外科、矯正歯科、インプラントなど総合的な歯科診療を手がける深町院長に予防の重要性や診療方針について聞いた。
(取材日2019年10月7日/再取材日2025年12月23日)
歯を守るための方法を伝えたい
開業のきっかけから教えてください。

年齢的なこともあり、独立して自分が考えるような診療がしたいとは勤務医の時から考えていました。出身である東所沢の近くがいいなと思っていたところ、ちょうどこの地域のテナントに空きがあると聞いたことが開業するきっかけになりました。優しい雰囲気のクリニックにしたいと思ったので内装に緑や木目を取り入れて木のイメージにして小さな子ども連れでも来院しやすいようにキッズスペースを設けました。ユニットは主に個室診療室で、歯周病治療やクリーニングのときは半個室ブースと用途に合わせた使い方をしています。開業して思うのは「悪くなったから治療するだけではなく、普段から歯科クリニックをうまく利用することで虫歯・歯周病の予防につなげる」という考えが、まだまだ十分に広まっていないということです。診療を通じて予防の大切さを伝えていければと思っています。
「悪くなったら治療する」では、どんな問題があるのでしょう?
歯科の病気は虫歯にせよ歯周病にせよ、初期の頃はほぼ痛みがないため、痛みが出ているなら、それはすでにかなり進行している場合があります。治療には、歯を削るなどの大がかりな処置が必要になり、治療を繰り返せば歯を失うリスクも高くなります。歯を守るためには、虫歯や歯周病にならないように予防することが一番重要です。大切になのは普段の歯磨きをしっかり行うことと、定期的に歯科クリニックに通ってメンテナンスを受けることです。初めて来院される患者さんの中には、メンテナンスと歯周病治療を混同している方もおられますが、歯周病治療は「治療」のためメンテナンスは「予防」のために行うもの。後者は「健康な状態を保つ」ことが目的なので、一度受ければいいというものではありません。初めての方にはその違いからお話しし、わかってもらえるようにしています。
歯周病治療の大切さについてお聞かせください。

歯周病が進行すると、歯茎や歯を支える骨が溶けていき、最終的には歯が抜けてしまいます。歯周病は本人が自覚しないうちに進行してしまい、そうなってからでは歯科医院にできることは少なくなります。歯を抜く治療がベースになり、歯の保存を図るとしても外科治療や自由診療の治療方法が必要になるなど、コストがかかることが多くなります。そうなってから後悔してほしくないという思いが強くあるため、患者さんには日頃からの歯周病治療の重要性について、できるだけお伝えするようにしています。
普段から歯を守る意識を持つことが大事なのですね。
そのとおりです。もちろんすでに治療が必要な状態なら先に治療を行いますが、その治療ですべてが完了するのではなく、治療後の状態を守っていくことが大切です。虫歯や歯周病は細菌による感染症なので、理論上は口の中に細菌がいなければ起こりません。実際には細菌がゼロになることはありませんが、歯磨きが不十分で汚れがたまっている、歯茎がずっと腫れているという状態では細菌は減りませんし、そのような状態で治療したとしても、適合の良い詰め物やかぶせ物はできません。かぶせ物の中に細菌が入って再度虫歯になるリスクも高く、将来歯を失うことにつながってしまいます。治療の精度を追求するためにも、日々の歯ブラシや定期メンテナンスで口腔内の状態を整えておくことは大切なのです。
歯の寿命を考えて適切な治療を
実際の診療はどのように進むのでしょう?

まず患者さんのお話を聞いて、痛みがあるなら痛みを取ることをめざすなどの主訴治療を行うのが第一。その上で、歯周病の治療を行って歯茎の状態の改善のための治療に取り組んでから、虫歯治療に進んでいきます。「虫歯だけ早く治療してほしい」という患者さんもいらっしゃるのですが、歯周病で歯茎が腫れているような状態では精密な型採りもできませんし、詰め物の中に汚れや菌が入ってしまうかもしれません。そのままでは十分な治療ができず、結果として歯の寿命を縮めてしまうので、「痛いところだけ治療して終わり」というわけにはいかないのです。早く終わらせたい気持ちはわかるのですが、どうしても必要なステップなのでそうしたほうが適切な治療につながることをしっかり説明しています。
治療にあたっては、歯の神経をできる限り残すことを重視していると伺いました。
神経を取ってしまった歯は、神経がある歯に比べて失われるリスクが高くなります。ですから、可能な限り長く歯を維持していくための方針として神経を保存することは重要です。神経を残す方針で治療することで切削量も少なくなり歯の寿命も伸ばすことが望めます。適応であれば積極的にVPT(歯髄温存療法)を行い、歯髄の保存を行っています。もちろん、すべての歯が虫歯や歯周病にならないようコントロールできるわけではないですが、現実的に歯を失うペースをどれだけ遅くできるかが大切だと考えます。
矯正歯科にも力を入れておられるそうですね。

歯列矯正を行うと、見た目の印象が変わることが望める他、清掃性が良くなることが見込め、虫歯や歯周病のリスク低減が期待できる面もあるので、見方によってはこれも予防の一環といえますね。当院では表側矯正、舌側矯正、マウスピース型装置を用いた矯正のいずれにも対応しています。主にマウスピース型装置を用いた矯正のために口腔内3Dスキャナーも導入し、患者さんにとって負担の少ない型採り、治療の精度向上、3Dモデルのデータ保存など、矯正以外の診療にも幅広く役立てています。矯正の必要性の有無や適切な開始時期は人それぞれなので、経過を見たほうがいい場合もありますし、必要に応じて行っていきます。
賢く歯科クリニックを利用してほしい
患者さんにわかりやすく伝えるために工夫していることなどはありますか?

何より、しっかり話すことが大事だと思っています。今どのような状態で、治療の流れはどうなる予定なのか。どのような処置を行うのか。それは何のためなのか。これらをわかってもらうことが一番大切なので、僕だけでなく歯科衛生士もきちんと説明できるようにしています。また、視覚的に訴えて理解しやすくするため、実際の口腔内写真やエックス線写真を見てもらいながら話したり、説明用ソフトを使ったりするなどの工夫をしています。
今後の抱負をお願いします。
勤務医として働いていた時からの抱負ですが、患者さんに予防の大切さや自身の健康を守るための方法をしっかり伝え、賢く歯科クリニックを使えるようになってもらいたい。そんな教育型の歯科クリニックでありたいと思っています。なぜ歯が大切なのか、どうすれば歯を守ることができるのか、知らないのと知っているのとでは全然違います。僕自身、歯科医師になる前は歯にはまったく興味がなく、中学1年で1本、歯の神経を抜いてしまっているんですが、大学で学んでからはほとんど虫歯はできていません。もちろん考え方はそれぞれですから押しつけることはしませんが、当院に来てくれる方にはいろいろアドバイスしてその人の生活がより良いものになり健康になることにつながればという思いです。
最後に、地域の方々に向けてメッセージをお願いします。

「神経を取った歯は、適切な咬合管理が行われていないと割れて駄目になってしまうことが多い」「歯周病で溶けた骨は基本的に元には戻らない。できるとしたら進行を食い止めることだけ」といったことは歯科界では当たり前なのですが、一般には意外と知られていません。けれども、歯や健康を守っていく上では知っておいてほしいと思いますし、知っておいたほうが絶対に最終的に自身のためになると思います。きちんとした情報や知識を伝えていくことを大切にしていますので、歯や歯科について知りたい方はぜひ一度いらしてみてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた補綴治療/6万円6000円~、インプラント治療/44万円~※診断費+手術費+かぶせ物費用、表側矯正/73万7000円~、舌側矯正/90万2000円~、マウスピース型装置を用いた矯正/90万2000円~※すべて検査費込みの金額です
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

