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深水 康吉 院長の独自取材記事

ふかみ乳腺クリニック

(福岡市中央区/薬院駅)

最終更新日:2024/02/27

深水康吉院長 ふかみ乳腺クリニック main

西鉄天神大牟田線と福岡市営地下鉄七隈線の薬院駅から歩いて約1分。医療ビルの4階にある「ふかみ乳腺クリニック」は、2016年に深水康吉院長が開業した、乳腺を専門とするクリニックだ。同院がある薬院エリアは、朝夕は会社員や学生で混雑する福岡都心を代表する交通主要駅の一つで、天神や博多までのアクセスも良い。深水院長はこれまで、福岡市内の医療機関や、乳がん治療の症例数が多いがん研究会有明病院に勤務し、多くの研鑽を積んできた。症状だけでなく患者の不安を取り除くために全力で向き合い、医療に対し熱い想いを持つ深水院長。開業までの経緯や「患者に一貫して関わる」という治療方針など、たっぷりと話を聞いた。

(取材日2020年6月4日)

乳腺疾患の治療経験を地域医療に貢献するため開業へ

医師をめざしたきっかけは何ですか?

深水康吉院長 ふかみ乳腺クリニック1

高校生の時に、切断された指を元どおりに戻すことができた医療ドキュメンタリー番組を見たことがきっかけです。「世の中にはこんなにすごい技術があるのか」と衝撃を受けました。また番組の最後に、患者さんが医師に感謝の気持ちを伝えている場面がとても印象的で、自分が関わることで困り事が解決し、なおかつ感謝される仕事に就きたいと考えるようになったのです。医師になった今、乳がんの早期発見を通して、患者さんの不安を解消できたり、体だけでなく患者さんの心の命を救えたりしていることは、うれしい限りです。

乳腺外科の道を選ばれたのはなぜですか?

医師をめざすきっかけとなった整形外科や形成外科を専門にすることも考えましたが、まずは消化器外科に入局し、膵臓がんを専門に学び始めました。また、「乳腺検査の読影をしてみないか」と、乳腺を専門とする先生から声をかけていただいたのも大きかったです。見落としがないよう検査画像を読み解き、診断をつけていく読影の魅力に気づいたことで、乳腺の道に進みたいと強く思うように。当時は読影に取り組んでいる医師が少なく、読影の経験を重ねるにつれて、どこの病院でも重宝されるようになりました。2005年に大学病院に戻り、専門分野を決める際に、自分がより興味があって貢献できると感じた乳腺を選択しました。

開業までの経緯をお聞かせください。

深水康吉院長 ふかみ乳腺クリニック2

大学病院に戻った後は、乳腺専門病院で勤務していましたが、多くの症例を経験したい、先進医療を学びたいと、がん研究会有明病院へ移り研鑽を積みました。その後、福岡に戻り、乳腺部長を務めることとなりましたが、しばらくして、乳腺外科の閉科が決まり、先生から引き継いだ患者さんの行き場がなくなってしまうという強い危機感を覚えました。それまでは開業の考えを持ち合わせておらず、別病院で勤務医として働く選択肢を考えていたのですが、それだと「これからどこで診てもらえばいいのでしょうか」と不安を感じている患者さんに失礼だと思ったんです。「私が勤務する病院に来てくださいね」と伝えられない自分にももどかしさを感じ、開業を決意しました。

開業を決意して半年後には新規オープンされたそうですね。

大学の同期が「開業の地にぴったりだよ」と教えてくれたのがこの場所です。開業準備に時間がかかることは知人により聞いていましたが、前病院の閉科のことを考えると半年しか時間がありませんでした。場所が決まると、不思議と人との縁がつながりにつながってトントン拍子に半年で開業することができました。この地域に住む皆さまにとって、乳腺にまつわる内容を気軽に相談できる場所にしたいという想いを形にできて、非常にうれしい気持ちと同時に、身が引き締まる想いを抱いたことを鮮明に覚えています。

現場を女性スタッフに託す。きめ細かな対応を実現

手厚いフォローをするために、スタッフも多くいらっしゃるのですね。

深水康吉院長 ふかみ乳腺クリニック3

当院は乳腺を専門としていることもあり、患者さんのほとんどは女性の方なので、気配りができる女性スタッフたちとともに日々の診療にあたっています。受付は患者さんの不安げな表情なども瞬時にキャッチして、その様子を各スタッフへ情報共有してくれますし、問診を担当する看護師も同様にこまやかな配慮を心がけてくれています。私だと緊張される患者さんもいるだろうと思い、マンモグラフィや超音波検査に関しては、女性技師が担当。検査結果に基づいて治療方針などを決めたり、患者さんにお伝えしたりするのは責任を持って私が行います。女性医師を希望される場合は、当院に在籍する3人の女性医師が担当します。

ほかにも、女性スタッフならではの心がけはありますか?

同じ女性だからこそ話せる悩みはたくさんあると思います。例えば、毎月の生理が遅れている、生理痛がひどいなど、女性特有の症状に関してはスタッフがお話を伺い、丁寧なアドバイスを行っています。当院のスタッフは検査を任せられるだけでなく、患者さんの不安な気持ちに寄り添ったコミュニケーションも重視していますから、何でも相談していただければと思います。また、勉強熱心なスタッフが多く、自ら勉強会を開催するなど、スタッフ間で自発的に動いてくれることがほとんど。当院の診療は医師の私だけでは成り立たず、間違いなく彼女たちが大きな役割を果たしてくれているのです。

働き方に関して配慮していることは何ですか?

深水康吉院長 ふかみ乳腺クリニック4

女性が多いクリニックだからこそ、結婚を控えている、結婚・出産した、子育てをしているなど、スタッフそれぞれの背景を大事にして、気持ち良く長く、仕事を続けてもらいたいと思っています。当院の自慢は、今でも開業当時からスタッフの入れ替わりがないこと。それもあって、スタッフと知り合いの患者さんが来院される機会も増えました。今後もチームの一員として誰一人欠けることなく連携し、チーム医療を強みに、患者さんの要望に柔軟に対応するクリニックであり続けたいと考えています。

スタッフ全員で「患者に一貫して関わる」医療を実現

先生の診療スタンスは何ですか?

深水康吉院長 ふかみ乳腺クリニック5

患者さんに一貫して関わることです。尊敬している教授が、診断から手術、病理診断、術後のフォロー、再発治療など、一貫して一人の患者さんを長く診るスタンスを大切にしていて、その考えに共感したのです。私は、診療科を問わず何でも診ることがいわゆる「町医者」だと思っているので、一つの症状だけでなく全身を考えた上で治療したいと考えています。消化器外科の医師としてスタートしたため、胃や大腸疾患に対応する技術も持っています。例えばがん治療と言葉で一括できても、患者さん一人ひとりの状況次第ではアプローチ方法も異なります。当院のスタッフたちもこの考えに共感してくれているため、患者さん一人ひとりを一貫して診ることで、柔軟な対応を実現していきたいですね。

印象に残っている出来事を教えてください。

開業してから、20代・30代の患者さんを診る機会が増えたことは、私にとって印象的です。乳がんなどの女性特有の疾患は、日本でも増加傾向にありますので、自覚症状がないとしても、安心感を得るために一度検査を受けていただければと思います。実際に、当院の検査を通して20代の患者さんの罹患を発見できたこともあるのですよ。若い世代が通院しやすい場所を提供できているのであれば、開業して良かったと思います。あとは、開業後も手術や急患に関われるご縁をいただけたこと。当院に通院されている患者さんが救急搬送されると聞いて現場に急行し、私が執刀させていただいたこともあります。この地で開業できたからこその出来事ですね。

読者へのメッセージをお願いします。

深水康吉院長 ふかみ乳腺クリニック6

顔のしわが一つ増えると気になってしまいますよね。同じように、ご自身の胸にも今以上に興味を持っていただきたいと思っています。というのも、胸のしこりを訴えて来院されても、「いつからあるのかわかりません」とおっしゃる患者さんは少なくないように感じるからです。脳梗塞や心筋梗塞などは、生活習慣から予防することが可能ですが、乳がんなどは予防が難しい現状があります。ですから、早期発見が治療の鍵になりますし、われわれ医師も早期治療につなげたい一心で診療をしています。ご自身やご家族の命を守るために、適切なタイミングで検査を受けていただければと思います。

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