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三上 直宣 院長の独自取材記事

みかみ血管外科・静脈瘤クリニック

(松山市/本町三丁目駅)

最終更新日:2021/10/12

三上直宣院長 みかみ血管外科・静脈瘤クリニック main

松山市内中心部から北条方面に向かう国道196号線、西堀端通りに面し、伊予鉄道市内電車の本町三丁目電停から徒歩1分の場所にある「みかみ血管外科・静脈瘤クリニック」。広島県福山市出身の三上直宣(なおふさ)院長は2005年に金沢医科大学医学部を卒業後、同大学病院で臨床研修医を経て、胸部心臓血管外科へ入局。同科で研鑽を積みながら、2012年には医学博士号を取得。2014年から、心臓血管センター金沢循環器病院の心臓血管外科に勤務した後、2019年2月に「みかみ血管外科・静脈瘤クリニック」を開院した。今回、開業までの経緯や、下肢静脈瘤の治療方法などについて詳しく話を聞いた。

(取材日2019年7月16日)

下肢静脈瘤の専門クリニックを松山に開院

まず、先生が医師をめざしたきっかけについて教えてください。

三上直宣院長 みかみ血管外科・静脈瘤クリニック1

父親が消化器外科の医師だったんです。その姿を見て育ってきたためか、幼稚園の頃から「お医者さんになる」と言ってたらしいんです(笑)。学校の卒業文集などで「将来の夢」とか書くじゃないですか。それにもずっと「お医者さん」と書いていたみたいで、自分の中でも当たり前のように思っていたみたいですね。仕事を終え、家に帰ってきた父親から抱っこされたときの、手術した後のゴム手袋の匂いが幼い頃の記憶に残っています。手を洗ってもその匂いって残るんですよ。なぜだか、その匂いの記憶が今でもしっかりと鮮明に残っています。医師になろうと具体的に意識したのは中学生、高校生になって受験に備えるようになってからです。

心臓血管外科の中で、下肢静脈瘤を専門にされたのはなぜでしょう?

大学病院の心臓血管外科の医局では、多くの経験をさせてもらいました。3年ほど前からでしょうか、特に静脈瘤に興味を持つようになったんです。開業を意識し始めたら、さらにその思いは強くなりました。心臓の手術などももちろんしましたが、静脈瘤って命に関わる病気ではないけれど、一回の手術ですぐ症状の改善が見込め、患者さんが笑顔になるんです。最後に勤務医として働いていた心臓血管センター金沢循環器病院では、足の血管の手術を多く任せてもらい、さまざまな症状の方の治療に携わることもできました。

なぜ松山の本町で開業されたのでしょう。

三上直宣院長 みかみ血管外科・静脈瘤クリニック2

昨年、父親が少し体調を崩したこともあって地元に戻ろうと思ったのですが、地元は静脈瘤の専門クリニックがたくさんあったんです。いろいろ調べていたら、近県で専門クリニックが必要とされていたのが愛媛県でした。それで思い切って、松山で開業しようと思いました。いくつか候補として上がってきた中で、城山公園にも近く開放感があることと、すぐ目の前がバス停、また松山駅や松山市駅からも近く、郊外電車の古町駅からも徒歩5分ほどという立地にあるので、公共交通機関の利便性もあったのでこの場所に決めました。

この地域に来てみて、どのような印象を持たれましたか?

とにかく、人がみんな優しい。だから、自分も優しい気持ちになれるんです。例えば、車を運転していて道を譲ってくれたり、飲食店など接客される人の対応もすごくいいと思います。町もいろんなものがぎゅっと集まっていてコンパクトにまとまっているから、とても住みやすい。休みの日は城山に登ったり、南予のほうに出かけたり、買い物に行ったり。温泉にはまだあまり行けていないので、今後は道後温泉などにも行ってみたいし、せっかく瀬戸内海の穏やかなエリアなので、釣りもしてみたいと思っています。

さまざまな治療方法がある下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とはどのような病気なのでしょう?

三上直宣院長 みかみ血管外科・静脈瘤クリニック3

心臓へ戻らないといけない血液が脚にたまってしまい、静脈にある血液の逆流を防止する弁が壊れて機能しなくなり、腫れやこぶができるのが下肢静脈瘤です。重症化すると色素沈着や潰瘍ができたりすることも。長時間の立ち仕事をしている人、加齢による筋力低下、また、妊娠した時にもなりやすいと言われています。血液が脚にたまりすぎると、血管から周囲の組織にヘモジデリンという物質が漏れ出し湿疹ができやすくなりかゆみも起きます。一度発症してしまうと自然治癒はほとんど不可能な病気です。ゆっくりと進行するものなので、日頃のセルフケアも大切。立ち仕事を続けていると逆流防止弁が常に頑張っている状態なので、休憩の時に軽い運動やマッサージをしたり、寝る時は足を上げて寝たりするのもお勧めです。

治療法としてはどういったものがありますか?

問診や診察を行い、超音波検査で血管の状態を確認し、検査結果をもとに治療方針などを決めていきます。こぶ状やクモの巣状の症状が出ていない軽症の場合は、生活習慣の改善へのアドバイスをしたり、妊婦さんの場合は手術はできないので対処療法として弾性ストッキングで症状を軽減していくようにしています。また静脈瘤に薬を注射して固める硬化療法や、静脈を切除するストリッピング手術、そして高周波やレーザーなどを用いた血管内焼灼術など、患者さんの症状に合わせ、治療方法を決めていきます。手術は全身麻酔をかけず、局所麻酔で行います。血管内のレーザー治療でしたら、手術そのものは平均20~30分間ぐらいです。術後、回復室で様子をみて、問題なければ歩いて帰れる日帰り手術です。

開業されて半年ですが、印象に残るエピソードはありますか?

三上直宣院長 みかみ血管外科・静脈瘤クリニック4

当院のようなクリニックを受け入れてもらえるかどうか開院前は不安でした。実際に開院してみると、県外のクリニックに行こうと思っていた人が当院の存在を知って、来院してくださったこともあります。すぐさま生死に関わる病気ではないので「放っておいてもいいよ」と別の病院で言われ、専門的な治療を受けていなかった方に日帰り手術を行って喜んでいただけたときは、開院して良かったなと思います。特に印象に残っているのは、局所麻酔だからと、手術することを極端に怖がって戸惑っていた患者さんがいたんです。勇気を出して当院で手術を受けてくださり、「先生が松山に来てくれて良かった。先生に出会えて良かった。本当にありがとう」という言葉をいただいたことが一番うれしかったですね。

患者の悩みを改善し生活の質の向上につなげていきたい

下肢静脈瘤についてテレビで情報発信をされたそうですね。

三上直宣院長 みかみ血管外科・静脈瘤クリニック5

そうなんです。この地域では下肢静脈瘤に対する知識や治療方法などをご存じの方があまり多くない印象で、情報を積極的に発信していく必要があると思っています。足のだるさや痛みがあっても、病気という認識がなかった方や、何科にかかったらいいかわからなかったという方がまだまだ多いと思っています。まずはどういう病気で、どのような治療法があるのかを知っていただくことで、今まで放置していた方が治療することで、生活の質が改善できていくといいですね。実際、長年放置したために、症状が進んでしまった方もいらっしゃいます。色素沈着や潰瘍ができていてかなり難治の症状の方もいらっしゃいますよ。

読者に向けて、メッセージをお願いします。

実は、程度は軽いのですが、私自身も逆流しているんです。だから足のだるさやむくみなど、患者さんのつらい気持ちがよくわかるんです。自分の好きな領域の治療で喜んでもらえることにやりがいも感じています。すぐにむくむ、痛みがある、常に足がだるかったり疲れやすい、よく足がつる、湿疹ができたりむずむずとした痒みがある、皮膚が変色したり硬くなっている、火照りなど熱く感じる、などの症状に該当される場合は、下肢静脈瘤の可能性があるかもしれません。長時間の立ち仕事に従事していたり、親族に下肢静脈瘤になった人がいると20代の若い人でも罹患することもあります。気になる症状がある方、検査だけでもしてみるといいかもしれませんね。

最後に今後の展望についてお聞かせください。

三上直宣院長 みかみ血管外科・静脈瘤クリニック6

下肢静脈瘤をきちんと治療したことで、患者さんの笑顔を見ることが醍醐味です。どんなに時間がかかっても、丁寧に診療して、当院でできることはできる限りやりきっていきたいです。「自分の病気に関して、どこに治療に行けばいいのかわからない」という人はまだまだたくさんいらっしゃいます。これからも、さまざまな治療方法があることを多くの人に知ってもらうよう、啓発活動に注力したいと思っています。また、他の医療機関と協力しながら、地域の方々の健康をサポートしていきたいと思っています。

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