矢崎 弘人 院長の独自取材記事
医療法人社団 子安 大倉山脳神経外科クリニック
(横浜市港北区/大倉山駅)
最終更新日:2025/02/27

自らの印象について「皆さんが思うような“怖い脳神経外科”とかなり違うのでは」と笑う「大倉山脳神経外科クリニック」の矢崎弘人院長。これまでに脳神経外科領域の手術、脳機能障害に対するリハビリテーション分野などで経験を積み、現在は同院で脳血管の病気の早期発見と予防を重視した診療に取り組む。「脳血管の病気の予防をするためには、まずは生活習慣の改善から取り組んでいただきたいですね」と語る矢崎院長に、同院の特色や診療方針等について話を聞いた。
(取材日2024年12月16日)
脳卒中など脳血管の病気の早期発見と予防に努める
こちらのクリニックの特色を教えてください。

当院は横浜市旭区にある「子安脳神経外科クリニック」の関連施設で、大倉山駅近くのクリニックモールという便利な立地に、2019年にオープンしました。CTやMRIをはじめ脳の詳細な検査に役立つ装置を院内に備え、頭痛、めまい、しびれなどの症状、事故やスポーツによる頭部のケガなども迅速に診断・治療しています。頭痛に悩むのは若い方が多く、脳卒中のような脳血管の病気はどうしても高齢の方が中心になりますので、当院も患者さんの年齢層は幅広いですね。しかし、最近は30代、40代で脳卒中になる方も増えており、早期発見や予防のためには若い方への啓発活動も重要と考えています。さらに脳血管の病気は生活習慣病とも関係が深いため、当院では生活習慣病の管理や予防といった内科的な診療もカバーしています。
患者さんと接するときどんなことを心がけていますか?
私はいつも「診療中に一度は笑顔になってほしい」と思いながら患者さんと接しています。もちろん気になる症状があって来院されるのですから、詳しく話を伺って、適切に診断・治療することは大前提です。それでも検査で問題なければ安心していただけますし、何かこちらの一言がリラックスのきっかけになれば自然と笑顔になっていただけるでしょう。脳神経外科は「脳を調べて異常が見つかったら怖い」とか「先生も気難しそう」など、一般的には敬遠されがちな診療科ではないかと思います。ただ、私はざっくばらんな性格でよく笑いますし、皆さんが持つ脳神経外科のイメージとはかなり違うはずです。しかも当院では脳に関する専門性を持ちながら、生活習慣病など内科的な診療も行うことができますから、気軽に足を運んでいただきたいですね。
先生のご経歴をお聞かせください。

私はもともと病院の脳神経外科で、脳卒中や事故など急を要する病気・ケガの治療にあたっていましたが、その後のケアの重要性に気づいてリハビリテーション分野に移り、そこで約15年診療を続けました。脳血管の病気の手術は数時間、経過観察を含めても外科が患者さんを診るのは数日という場合も。しかし手術後に脳機能障害が残るケースも多く、患者さんは以前とはまったく異なる人生を歩むことになることがあるのです。お恥ずかしい話ですが、外科の視点からは治療後の患者さんの大変さがまったく見えていませんでした。その点にようやく気づき、長くリハビリテーション科で患者さんの回復に努める中で、今度は脳機能障害を起こすような病気の早期発見と予防に力を入れたいと思い、当院の院長として診療を始めました。
生活習慣病の改善・予防に向けて、具体的にアドバイス
MRI検査では何を調べるのですか?

脳をスライスした断面から脳血管の病気や腫瘍、脳の萎縮などを見つける目的の一般的な検査に加え、同じ装置で血管の硬化や狭窄、動脈瘤の可能性も調べます。患者さんに検査結果をご説明する際も、検査画像をモニターに映して「脳しか見えていませんが目と鼻はこの位置にあって、実際は正面から見た画像です」など見え方から詳しくご紹介していくと、診断も納得感を得られやすいと思います。とはいえ症状があって受診された場合は病気が進行していることも考えられるので、早期発見には症状がなくても定期的に検査を受けるのが望ましいでしょう。当院の脳ドックでは頭部のMRI検査・MRA検査を一緒に受けていただき、検査画像の読影に習熟した当院の医師と外部の医師ら、合計3人が画像診断を行ってから検査結果をご提供する体制を整えています。
生活習慣病はどのように指導されますか?
生活習慣病の患者さんも予備群の方も、大抵は「こういう生活をすべき」という情報はご存じですが、目安がわからず実践しづらいのだと思います。例えば「歩くと健康に良い」というだけでなく、「理想は1日6000〜8000歩くらい。数回に分けた合計でもOK」「適切な歩行速度はこれくらい」「夫婦や友人と話しながら歩いてこの速度。より一心不乱に歩くならこの速度」など、リハビリテーションに従事した経験も生かして、具体的にお伝えすると実践するイメージも湧きやすくなります。実は私もかなり体重が増えた時期があって、一時は上の血圧が200を超えていました。それから働き方を変えたことで食事や運動に気を配る時間が取れるようになった経験があります。患者さんに生活習慣の改善をアドバイスして、自分が実践しないのでは説得力がありません。今後も自身の健康に留意し、患者さんと一緒に生活習慣病の予防に努めたいと考えています。
今後力を入れたい分野はありますか?

この数年、最も多い主訴の一つは「頭痛」です。働き盛り世代の患者さんのほかに、10歳に満たないお子さんが相談のために受診されることも。まず、頭痛の原因を把握するためにCTやMRI検査を行い、検査によって脳の病気による頭痛ではないと診断された場合は、片頭痛か肩凝り頭痛などとも呼ばれることのある緊張型頭痛の可能性が高いです。そして患者さんの多くは、その両方を持っています。頭痛で苦しいとき、痛み止めを飲む人もいらっしゃることでしょう。実は頭痛治療のゴールは、「痛み止めを飲む回数をいかに減らすか」ということなんです。今は市販薬が安易に手に入りやすく、間違った対応をしている可能性があり、薬物依存性頭痛(鎮痛薬の乱用)になるケースが増えています。そうならないために、早めに受診をしていただきたく思います。
若い世代でも定期的な脳ドックの受診が大切な理由
適切な診断を行うために何を重視していますか?

初診では、特に丁寧な問診を行います。頭の病気は最初から頭に症状が生じるわけではなく、生活習慣の乱れがきっかけとなるケースが多いです。人間はヒトである前に動物であり、動物の本能は食べて、飲んで、動いて、寝ること。人間は脳が発達したがゆえに、食べたくない、飲みたくない、動きたくない、寝られないという制約を自分に課すことで、生活リズムが乱れることに。それによって、血圧や血糖値、コレステロール値などのコントロールが不安定になり、結果的に二次的な頭の病気につながると考えています。頭の病気の予防を生活習慣の改善から始めるために、問診では患者さんの具体的な生活背景について質問を繰り返します。例えば、水はどれくらい飲みますか、何分散歩を行っていますか、何時間寝ていますかなど。こうした情報をベースに、適切な診断へつなげます。
診療体制について教えてください。
当院には常勤医師、非常勤医師のほか、放射線技師、看護師、事務スタッフが勤務しています。問診を丁寧に行うスタイルを採用しているので、待ち時間が長くなる傾向にありその点は申し訳なく思っています。その課題を改善するための工夫として、院長の問診に先立ち、看護師が初回ヒアリングを行う機会を増やしています。看護師は得られた患者情報をコンピューターに入力してくれるので、私はその情報を確認した上で初診患者さんと対面し、深堀りしたい事項のみを問診する形で対応ができます。私の問診時間短縮化によって患者さんの負担が少しでも軽減できたらうれしいですね。
地域の方へメッセージをお願いします。

30代、40代くらいはまだ体力もあり、頑張り過ぎて体に無理をさせても何とかなることも多いと思います。それが高齢になるとその疲労の蓄積が体の各所に影響し、頭の血管の病気を進行させる原因にもなります。しかも最近は食事の欧米化や運動不足などが重なり、30代で脳卒中になる方も増えてきました。もちろん勤め先などで健康診断を受けられていると思いますが、健診で異常が見つかりやすいのは病気がある程度進行した時点。できれば脳ドックなどの詳細な検査と、医師による生活習慣のチェックを受け、病気の早期発見や予防に取り組んでいただければと思います。当院でも脳ドックなど早期発見のための検査に力を入れていますのでぜひご利用ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは脳ドック/2万5000円~