金子 彰 理事長の独自取材記事
かねこ脳神経外科リハビリクリニック
(伊丹市/伊丹駅)
最終更新日:2024/12/25

脳神経外科とリハビリテーション科を標榜する「医療法人 白銀会 かねこ脳神経外科リハビリクリニック」。金子彰理事長は脳外科の医師として10年間、リハビリテーション科の医師として10年間、病院に勤務した経験があるベテランドクターだ。ウッド調の落ち着いた雰囲気の院内にはMRIやエックス線撮影装置、エコーなど先進設備がそろう。また理学療法士や言語聴覚士、診療放射線技師と多様なスタッフが在籍し、高質なリハビリの提供を図っているという。専門的な検査やリハビリで患者の悩み解消に努める金子理事長に、スタッフのことや診療への思いなどを聞いた。
(取材日2019年12月21日/再取材日2024年1月15日)
予防的な対応とリハビリで生活をサポート
まず脳神経外科クリニックとは、どのような診療を行っているのでしょうか。

高血圧やコレステロール値の管理をして脳に関する病気の予防や、手術後のリハビリに対応することが多いですね。幸いこの阪神間には脳外科手術を担ってくれる先生方がたくさんいらっしゃるため、当院では手術を行わず、予防とリハビリを中心に提供しているのです。もちろん脳に関連していそうな症状や心配事がある方への診療も行っています。もし検査をした結果、手術が必要だと判断した場合は、近隣の病院へご紹介していますのでご安心ください。脳神経外科というと「私が行っても良いのだろうか……」と尻込みしてしまう方は少なくないでしょう。しかしふらつきやめまい、記憶力の低下などの症状でお困りの方は、遠慮せずに来ていただけたらうれしいです。
こちらのクリニックの特徴や、注力していることを教えてください。
「もしかしたら脳の病気が隠れているかも」という場合に備え、MRIやエックス線撮影装置、エコーなどの先進機器を導入しているのが当院の特徴でしょう。健康診断の結果を見て動脈硬化が気になった方は、頸動脈エコーで状態を確認できますのでご相談ください。また当院ではリハビリにも力を入れ、待ち時間をうまく利用して進められるリハビリ機器もそろえています。理学療法士や言語聴覚士もいるため、人の手による丁寧なリハビリや多角的なサポートも行えます。スタッフ一同質問をしやすい体制を整えていますので、「脳神経外科はどんなところか」「理学療法士や言語聴覚士はどんな仕事をしているか」などをお気軽に聞いていただき、来院しやすいと感じていただけたら幸いです。当院では定期的に多職種間のリハビリ勉強会なども開催しています。地域のケアマネジャーさんが相談に来ることもあるので、地域貢献の一つとして続けていけたらと思っています。
頭痛や物忘れの相談も増えているそうですね。

頭痛に関しては、小学生から80代の方まで幅広い年齢層の患者さんが受診されています。当院で採用している片頭痛治療薬の注射剤のことを知り、遠方から受診される方も。体の凝りからくる頭痛の場合、リハビリを行い痛みの軽減を図っています。物忘れでお困りの患者さんに対しては、時間をかけて問診やMRI検査、言語聴覚士による神経心理検査を行うため現在予約制です。物忘れについて不安に思う方は多いでしょう。ご予約前の参考になればと、当院のホームページにも物忘れに関する情報を掲載しています。
スタッフの成長がクリニックの成長につながる
積極的にスタッフを増員しているそうですね。スタッフについて教えてください。

状況に応じて、今後も増員していく予定です。現在は理学療法士が3人、リハビリ助手が2人、言語聴覚士が3人、診療放射線技師と助手は1人ずつ、看護師は3人、受付スタッフは3人在籍。中でも理学療法士や言語聴覚士を、クリニックの規模で平日も配置しているのは当院の強みでしょう。どのスタッフも経験豊富でありながら、常に情報のアップデートを心がけ、科学的根拠に基づいた本格的な対応の提供に努めてくれています。患者さんへの接し方もとても優しいので、私にとって頼れる存在であり、何でも安心して任せることができていますね。当院のスタッフがここまで成長できたのは、これまで患者さんに育てていただいたおかげだと思っています。お叱りも感謝も、すべてが今につながっているのです。
先生はさまざまな病院で勤務医として働かれた経験があると伺っています。
そうですね。最初に勤めていた小倉記念病院脳神経外科では手術の毎日でした。脳血管障害に興味を持ち始めたのも、この時に多くの脳卒中の患者さんを診療してきたことが大きかったと思います。リハビリ専門の医師を志したのは、さくら会病院での勤務がきっかけです。救急医療の脳外科の医師として毎晩手術に呼ばれていたんですが、そこにはリハビリ病棟もあったんです。リハビリ病棟には、スタッフには笑顔で話しかける患者さんがいました。しかし、私が声をかけると少し顔がこわばったのです。その患者さんとの距離感に寂しさを覚えることもありましたし、「やっぱり自分が手術した患者さんのその後を診ていくことも大切なんだな」と改めて感じました。そんな思いもあって、現在はリハビリの医師としても患者さんを診るようになったんです。
そんな勤務医時代で、印象に残っていることはありますか?

「外科の医師は自分の目で見たものしか信じちゃいけない」と言われたことでしょうか。「見えないことは信じるな」と言われ、手術をするときも「ここに、これがあるだろう」と勝手なイメージを持って治療をしてはいけないと教えられました。実際に自分が目にして、「ここに、これがあるから、こうしよう」と手術をするということですね。これはどんなことに対しても言えることで、今も「周りの人がこう言っていたから」「テレビでそう言っていたから」ではなく、自分の目できちんと見たものを信じることを大切にしています。診療のモットーは女性には“愛”を持って、男性には“礼儀”を持って接すること。そしてスマイルです(笑)。適度な距離を保ちつつ、患者さんの心を垣間見られるように接しています。
整形外科領域にも対応し、地域住民の悩み解消に努める
開業しようと思ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

医師をめざすきっかけは、子どもの頃に通っていた小児科の先生でした。いつも柔和な表情で優しく診察してくれる方で「あの先生みたいになりたい」と思ったんです。その夢を応援してくれていた父が闘病の末亡くなり、「患者さんが苦しんでいるときに、いつも近くで優しく接してあげられる医師になりたい」という子どもの頃に抱いていた感情が蘇ってきたんです。そんな経緯で医師になったのですが、勤務医だと退院後の患者さんの状態を的確に把握して、再発予防やリハビリ指導を行えませんでした。研鑽を積んだ頃、今なら積極的な脳卒中予防や専門的なリハビリを、患者さんの身近な場で提供できるのではないかと思い開業を決めたのです。
今後の展望・目標を教えてください。
リハビリは時間がかかるものです。当院を受診するだけでは終わらない場合もあります。そこで、その後の受け皿をどうするか、新しいリハビリの提供の形は何かないかと模索しているのです。介護関連施設など、リハビリを提供できる場所を増やせたらとも考えています。また20年以上医師として勤めていると、次は後継者の育成に興味が出てきました。医師だけではなく看護師や理学療法士、言語聴覚士、診療放射線技師など、リハビリに関係するプロの育成により注力していこうと思っています。専門性の高いスタッフが増え、より質の高いリハビリの提供につながったらうれしいです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

当院は脳神経外科の他にリハビリテーション科も標榜しています。そのため頭痛やめまい、しびれ、ふらつき、物忘れなど脳や神経に関係する症状はもちろん、首・肩・腰・膝など整形外科領域への診療やリハビリにも対応可能です。整形外科でより専門的に診てもらったほうが良いと判断した場合は、連携している整形外科をご紹介するので、まずは気軽に相談してくださったらうれしいです。物忘れの外来は完全予約制ですが、それ以外の診療やMRI検査などは予約をしていなくても受けていただけます。悩みや気になる症状がある場合はぜひ気軽に来てください。また、最近は医療や病気に関する情報があふれています。患者さんには正しい情報を取り入れてほしいので、自己判断やうのみにすることはせず医師に相談していただきたいです。お待ちしています。
自由診療費用の目安
自由診療とはMRI検査:2万5000円~