市販薬と上手に付き合う提案も
頭痛はまず医療機関で精密検査を
さやま脳神経クリニック
(狭山市/狭山市駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
OTC医薬品、いわゆる「市販薬」を服用する「セルフメディケーション」が注目されている昨今だが、事前に医師の検査・診断を参考にすれば適切な薬選びが可能となり、また万が一重篤な症状であっても見逃さずに済む。「さやま脳神経クリニック」の長谷川真作院長は、「特に慢性頭痛はその患者さんに合う市販薬を内服しながら頭痛とうまく付き合うことが生活の質を確保します」と語る。頭痛の約9割は命に関わらない「一次性頭痛」といわれているが、「子育て中のお母さんや働き盛りの中年世代の方に、不安なく元気に仕事に取り組んでもらいたい」との思いから頭痛に特化した外来を設けている同院。今回は慢性頭痛にフォーカスを当て、市販薬の服用の注意点や日常生活で気をつける点について話を聞いた。
(取材日2020年4月21日)
目次
精密検査による診断で安心感を得た後に、市販薬とも上手に付き合っていこう
- Qそもそも頭痛の原因は何でしょうか?
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A
▲地域医療に貢献するため尽力をするクリニック
頭痛には大きく分けて2通りあります。一般に慢性頭痛といわれる、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛など脳の組織に異常が確認できない一次性頭痛と、脳血管障害・脳腫瘍・外傷・感染など原因疾患が存在する二次性頭痛です。二次性頭痛は割合は少ないものの、くも膜下出血のような「見逃すと命に関わる危険な頭痛」が含まれます。しかし二次性頭痛は原因特定が容易なことが多く、治療計画も立てやすい傾向があります。一方、頭痛の中でも大きな割合を占める一次性頭痛は、検査画像や採血データには異常が出ないため原因特定が困難なのが特徴です。ただ、命に関わる重篤な状況に陥る心配はほとんどありません。
- Q一次性頭痛では薬と上手に付き合うことが大切になりそうですね。
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A
▲頭痛薬の飲み方にも注意が必要
月に10日以上の頻度で3ヵ月以上頭痛が継続するのが慢性頭痛(一次性頭痛)の目安ですが、二次性頭痛でなければ、自分に合った市販薬を服用していきましょう。ですが頭痛専用の市販薬は少なく、全身の痛みに対応する薬だと効き目が薄くなり、つい飲み過ぎてしまう「薬剤使用過多による頭痛」もあります。市販薬は月に15日以上の服用を3ヵ月以上続けると、薬剤耐性や依存性が出てくる場合があるので注意が必要です。ひどくなると腎臓などに損傷が起こるケースもあるため、薬は週2回以下にとどめておきたいところです。週2回以上飲まないとつらい頭痛ならば、一度専門の医療機関の受診をお勧めします。
- Q頭痛が起こりやすい人にはどのような要因があるのでしょうか?
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A
▲片頭痛には多くの原因が存在し柔軟に付き合うことが大切と語る
頭痛で受診する方の約9割は片頭痛です。痛みの程度が強く、時には寝込むほどで、日常生活に大きな支障が出ます。片頭痛を引き起こす因子はさまざまで個人差もあります。例えば精神的因子ではストレス・緊張・疲れ・睡眠不足・睡眠過多、内因性因子では月経周期、環境因子では天候の変化や温度差・気圧・人混み、食事性因子ではアルコールやチョコレート・ナッツ類・コーヒー・紅茶・亜硝酸化合物が入ったベーコンやソーセージなど。これらすべてを避けるのは仕事や家事・対人関係などあって実際には難しいですし、個人の体質や環境、生活習慣によっても違ってきます。各個人での因子を特定し、できるだけ避けることが大切です。
- Q片頭痛の治療法を教えてください。
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A
▲悩んだら医師による診察を受けてほしいと話す長谷川先生
片頭痛を完全に治すことは難しく、治療の目的は「完治」ではなく、「日常生活に支障のない程度まで抑え込むこと」です。大なり小なり「頭痛と上手に付き合っていく」ことが必要となります。重要な因子に睡眠と疲労があると思います。子育て世代や会社勤めの方であれば、疲れればしっかりと休養をとって睡眠不足を補うこと。そして食事もバランス良く取る。また肩凝りなどを起こさないよう血流を良くするために、適度な運動を習慣づけてください。例えば通勤や買い物の途中で階段を使う、空いた時間に体操をするなど生活の中での工夫です。また女性はホルモンの影響から頭痛を発症しやすいので、生理前後に予防薬を内服するのも一つの方法です。
- Qこちらでは頭痛で受診された方にどのような診療をしていますか?
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A
▲病院に行かなくてもMRIやCT検査を受けることが可能
初診では頭痛の頻度や痛みの程度など、項目ごとに問診票に記入してもらい、次に看護師が、睡眠不足など頭痛の引き金となる因子の有無を確認するために聞き取りを行います。その情報をもとに診察では肩凝りの程度や手足のまひの有無を見診・触診で確認。特に二次性頭痛を見逃さないよう注意深く観察し、必要と判断した場合はMRI検査を受けていただき、その画像をもとに診断します。また慢性頭痛では頭痛パターンを把握するため患者さんに「頭痛日記」をつけてもらう取り組みも行っています。休日や平日・睡眠時間・月経周期との関連が見られれば、そういった要因に注意したり、予防薬を内服したりして、頭痛を未然に防ぐための措置を講じます。