一度でも便潜血陽性が出たら
必ず受けてほしい大腸内視鏡検査
柏町内科・消化器内科クリニック
(立川市/砂川七番駅)
最終更新日:2025/07/14


- 保険診療
健康診断や人間ドックの便潜血検査で陽性の結果が出た場合、さまざまな病気のリスクが考えられる。その病気の有無を明らかにするのに有用な検査が、大腸内視鏡検査だ。とはいえ、内視鏡検査と聞くと苦痛があるのではと不安になったり、面倒なイメージが先行したりして、一歩を踏み出せない人もいるだろう。「柏町内科・消化器内科クリニック」の味生洋志(みのお・ひろし)院長は、数多くの内視鏡検査を手がけてきたスペシャリスト。「大腸内視鏡検査は、がんや前がん病変を直接見つけることができる検査。便潜血が陽性であれば、ぜひ受けていただきたいですね」と訴えかける。便潜血で考えられる疾患や大腸がんのリスク、また大腸内視鏡検査のことなどまで、味生院長に解説してもらった。
(取材日2025年6月26日)
目次
初期は自覚症状がない大腸がん。だからこそ、症状が出る前に内視鏡検査で早めの発見を
- Q便潜血が陽性となった場合、どのような疾患が考えられますか?
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A
▲内視鏡検査の研鑽を重ねてきた院長
便潜血とは、便の中に血液が混入していることを指しますが、これは大腸の中に出血を伴うような病変がある場合に見られるものです。便潜血が陽性となった場合、考えられる疾患の可能性としては、大腸がん、あるいはクローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患、大きな大腸ポリープ、または痔といったものが挙げられます。
- Q大腸がんのリスクがあるのはどのような人でしょうか?
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A
▲経験豊富な院長が寄り添った診療で対応
男性、女性ともに大腸がんは増えていますが、男女比でいえば女性のほうが大腸がんが多いという特徴があります。また、ご家族の中にがんにかかった方、特に大腸がんにかかった方がおられると、リスクは高くなります。その他、最近の傾向としては、いわゆる欧米食と呼ばれるような肉食が多い食生活も、大腸がんを増やしているといわれています。年齢的にいえば、圧倒的に多くなるのは50代以上ですから、50歳を超えた方は、高い確率でがんを発症するものだというくらいの認識で、検査を受けることをお勧めします。
- Q大腸がんには、どのような初期症状があるのでしょうか?
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A
▲不安を感じることがあれば気軽に相談して欲しいと語る院長
早期の大腸がんには自覚症状がなく、進行がんになってもしばらくは症状は現れません。医師としての経験的には、大腸がんの自覚症状として多いのは血便、さらに便が細くなったり出にくくなったりといった訴えですが、症状が自覚できる段階で見つけた大腸がんは、かなり進行していると考えられます。ですから、大切なのは症状が出る前に見つけること。その意味で健康診断、さらに大腸内視鏡検査はとても重要です。
- Q便潜血が陽性であった場合、必ず内視鏡検査を受けるべきですか?
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A
▲内視鏡が苦手な方でも受けやすい工夫をしている
医療従事者としての立場からいえば、陽性であればぜひ受けてほしいと思います。もちろん、受けるかどうかの判断は患者さんご本人の意思ですが、特にある程度以上の年齢であったり、自覚症状があったりする場合には、必ず受けていただきたいので強くお勧めすることもあります。また、保険適用で大腸内視鏡検査を受けるには、自覚症状があるなどの条件が必要ですが、自覚症状がなくても保険適用となる条件の一つが便潜血陽性ですので、その機会をうまく利用して、検査をしていただきたいですね。
- Q内視鏡検査にはつらそうなイメージがあります。
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A
▲苦痛の少ない検査と検査後の結果も丁寧に説明
私自身も、大腸内視鏡検査を受けた側の経験として、苦痛の感覚は経験していますので、検査中に苦しくなるポイントなどを考慮しながら、技術的に苦痛の出にくい挿入方法を用いています。もちろん、大腸の形は人それぞれですから、どれだけ工夫をしても苦痛が大きいという方はおられます。その場合は、リラックスした状態で行うために鎮静剤を使用することもできます。鎮静剤が不要な人も多いですから、検査時の様子で使用するかどうかを判断しますが、検査時には鎮静剤を使う前提の準備をして臨んでいます。