苦痛の少なさをめざした胃の内視鏡検査
経鼻と経口、鎮静に対応
柏町内科・消化器内科クリニック
(立川市/砂川七番駅)
最終更新日:2023/05/15


- 保険診療
胃や食道、十二指腸などのがんの早期発見に非常に有用である一方で、つらい、苦しいというイメージを持っている人も少なくない胃の内視鏡検査。そのような中で、「できるだけ楽に胃の内視鏡検査を受けてもらえるよう努めています」と話すのが、「柏町内科・消化器内科クリニック」の味生洋志院長だ。同院では、実際に経鼻と経口の2つの検査方法を選べるほか、希望をすれば鎮静剤も使用するなど、患者一人ひとりの希望や状況に合わせて胃の内視鏡検査が行える体制を整えていると言う。そこで、味生院長に胃の内視鏡検査の基本的なことや、同院における検査の流れなどを教えてもらった。
(取材日2023年4月10日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qどのような症状のときに胃の内視鏡検査が必要なのでしょうか?
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A
胃の内視鏡検査の一番の目的は、胃や食道などのがんを発見することです。そのため、基本的には2週間以上など長く続く上腹部症状があるとき。具体的には胃痛、胃もたれ、胸焼け、食欲低下などが挙げられます。逆に、急性の胃腸炎などの場合は、あまり内視鏡検査は必要ないと考えています。一概には言えませんが、がんの場合は症状が長く続くことが多いからです。また、内視鏡検査の適応は症状だけでなく、年齢や家系的ながんのリスクなども総合的に考える必要があります。例えば、50歳以上はがんのリスクが高いので、何かしらの症状があるときは内視鏡検査を積極的に検討しますが、20〜40代は本人と相談をして、希望があれば行っています。
- Q内視鏡検査の苦痛や不安を和らげるための工夫はありますか?
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A
当院の上部内視鏡検査では、鼻からの経鼻と口からの経口を選べるほか、患者さんが希望をすれば鎮静も可能など、患者さん一人ひとりの希望や状況に合わせて検査を行っています。また、検査中はここでごくんと飲み込みましょうとか、ここで息を止めましょう、深呼吸しましょう、ちょっと力を抜きましょう、ここはちょっとつらいけど我慢してねなど、丁寧に声がけをすることで、患者さんの不安を軽減できるよう心がけています。さらには、検査中の胃の中には必要に応じて空気を入れますが、それもつらいポイントなので、必要な時だけに入れて、すぐに抜くとか、入れる量やタイミングなどを加減することで、検査中の苦痛が減らせるよう努めています。
- Q経鼻と経口、鎮静剤の使用はどのように判断をするのでしょうか?
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A
当院では、若い人が初めて内視鏡検査を受けるという場合には、基本的に経鼻をお勧めしています。それは、最初に内視鏡検査に対する苦手意識をつけてしまうと、もし定期的なフォローが必要でも受けるのを躊躇してしまい、その後のがんの見落としにつながりかねないからです。ですが、鼻が小さくて無理に進めると痛みや出血が出る可能性があるときや、過去に経口の検査を受けて問題がなかった場合などには、経口の検査をお勧めしています。鼻からの検査も難しく、過去に経口の検査がつらくて最後までできなかったというような場合には、鎮静をお勧めしています。また、患者さん自身が最初から鎮静を希望する場合も、もちろん行っています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1内視鏡検査の必要性を診察
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まずは診察を受けるために、電話にて予約をとる。診察では、いつからどのような症状があるのかや、アレルギーや基礎疾患の有無、内服薬の確認、これまでの検査歴などの確認などがある。診察の結果、医師が必要だと判断し、患者が希望をすれば、内視鏡検査を受けることになる。検査を受けることになったら、その場で検査日を予約するほか、経鼻と経口のどちらで行うのかや、鎮静をするのかなどを、医師と相談しながら決める。
- 2検査や注意事項の説明
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次に、採血をする。感染症などの確認をする血液検査のためだ。続いて、検査の流れなどの説明が看護師よりある。検査当日の朝食は抜いて摂取できるのは水や茶だけになるため、糖尿病の人は低血糖を防ぐよう薬を服用してはいけないなど、前日、当日の注意事項がある。また、内視鏡検査用の問診票や検査の同意書が渡されるので、当日に記入して持参する。不安やわからないことがあれば、この時にしっかりと聞いておくことが大切だ。
- 3麻酔などの前処置
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検査開始の30分前に来院。受付で同意書と問診票を提出後、前処置に入る。胃の中のガスを減らすための薬剤を飲んだのち、経鼻内視鏡の場合には、出血予防の薬剤を鼻に入れるほか、とおりの良い鼻の穴にゼリー状の麻酔薬をシリンジで注入し飲み込んでもらい、麻酔薬をつけた軟性スティックを鼻に通して処置を行う。鎮静をするときには点滴を取り、咽頭麻酔をしたのちに鎮静剤を投与。患者が眠ったのを確認してから検査を開始する。
- 4胃の内視鏡検査
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検査は鼻か口から内視鏡を挿入して、食道と胃などを観察する。検査の最中は、鎮静をしていなければ、患者がつらさや痛みなどをできるだけ感じないように医師が声がけをしながら検査を行う。検査自体にかかる時間は10分程度。鎮静をしてなければ続けて、鎮静をしていた場合は、意識がしっかりと冷めるまで20~30分程度、リクライニングチェアで休憩してから、検査結果の説明を受ける。
- 5検査結果の説明を受ける
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検査結果は、パソコンの画面に映し出された実際の画像を示しながら、詳しく説明してくれる。また、検査中に病理検査をするための生検をしたら、2週間後以降に再度受診して、その結果説明を受ける。来院してから検査を終えて帰路に着くまでは、1時間前後。鎮静をした場合は、当日の車などの運転はできないほか、生検をした場合には出血のリスクがあるため、当日の飲酒や刺激物の摂取、激しい運動は避ける必要があるそうだ。