知識と工夫で事故を予防
不慮の事故死から子どもを守る
なかのこどもクリニック
(寝屋川市/寝屋川市駅)
最終更新日:2024/06/07


- 保険診療
子どもの死亡原因として非常に多いといわれる「不慮の事故」。死亡に至らないまでも、入院や治療が必要な事故は、全国至る所で毎日起こっている。しかしながら日本では、子どもの事故予防のための啓発活動はほとんど行われていのが実情だ。そういった実情に警鐘を鳴らしているのが、「なかのこどもクリニック」の中野崇秀院長。「子どもの事故は、皆さんの想像以上に毎日起こっています。一人でも多くの人に考えてもらいたい」という言葉どおり、クリニックの中にも事故防止のためのさまざまな工夫がなされている。「転落防止のため柵は法定基準よりも高く、家具からはできるだけ角を取るなど、小さなことを積み重ねています。皆さんにもアイデアをお伝えしますので、ぜひ役立ててほしい」という言葉が強く響いた。
(取材日2020年4月2日)
目次
未然に防いでいこう。子どもの事故
- Q子どもの死因の多くが、予防策を講じられる事故なのだとか。
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A
▲動線を広く取った院内は、ベビーカーの移動もスムーズ
子どもの死亡という不幸は、残された遺族にも大きな影を落としてしまいます。そのため、表立って語られることが少ないのですが、子どもの死亡原因は「不慮の事故」が常に上位にあります。交通事故はもちろん、誤飲や転落、窒息ややけど、溺死など、多くが「まさか」といった状況が重なって起こった事故です。外出先ではもちろんですが、安心できるはずの自宅でも多くの事故が起こっています。子育て中の保護者が24時間常に気を配ることは、現実的には不可能で、どうしても目を離さなくてはならない時間があります。そのため保護者として、最大限にさまざまな状況を予測し、対策を立てることで、事故を予防していくことが大切です。
- Q具体的には、どのような事故がありますか?
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A
▲角が当たらないよう、院内設計にも配慮している
例えば、多くの人が思いつく事故だと、交通事故や川や海で溺れる、遊具や自転車からの転落といった事故があります。これらは外出先で起こることで、ひやっとした経験をお持ちの方も多いと思います。そのため、気をつけようと心がけている人も多いのではないでしょうか。自宅など室内で起こる事故には、電気ケトルによるやけど、ベランダや窓、階段からの転落、浴槽に転落したことによる溺れ、プチトマトやブドウなどの食べ物を詰まらせたことによる窒息などが挙げられます。これらは室内という、親子ともに少し緊張が緩んだ状態で起こっています。当たり前の日常、毎日の何げない瞬間に起こっている事故なんです。
- Qなぜそういったことが起きるのでしょうか?
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A
▲子どもの健やかな成長を願う想いが詰まった空間
人間は24時間365日緊張を維持することはできません。どんなにわが子を愛していても、睡眠や食事、排泄など、どうしても緊張が緩む時間はあるのです。さらに子どもの成長は大人の予想をはるかに超えていきます。昨日できなかったことが急にできるようになったりしますよね? そういったことが事故の一因になることもあります。また、子どもの事故死を経験した人は、悲しみや後悔から、その経験を多くの人に語らないことがほとんどです。つまり、子どもの事故死に関する情報が少ないのです。そのため、どこか他人事として感じてしまっている部分があり「自分たちは大丈夫だろう」と思ってしまうことが多いのも理由の一つかもしれません。
- Qどうしたら予防ができますか?
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A
▲子育てに関わるすべての人に知ってほしい、と熱い想いで語る院長
一つは「事故を他人事だと思わない」ことです。そして、先回りして予防することです。例えば、誤飲の可能性がある大きさを確認するシートがありますので、それを活用して危ないものを取り除く。食べ物だって半分に切るだけで安心感がぐっと増します。家具などの角には保護クッションを使う、ベランダや階段の周りに余計なものを置かない。おもちゃの電池部分も簡単に開けられない工夫が必要です。子どもは好奇心の塊。その好奇心を守るためにも、子どもの目線に立って想像したり、友人や家族と自分のひやっとした経験を共有したり、時には小児科医師や保健師の力も借りて、重大な事故にならないように対策を立てられたらいいですね。