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中野 崇秀 院長の独自取材記事

なかのこどもクリニック

(寝屋川市/寝屋川市駅)

最終更新日:2024/06/07

中野崇秀院長 なかのこどもクリニック main

2019年に開業してから、地域のかかりつけとして近隣に住む親子を支えている「なかのこどもクリニック」。院長を務める中野崇秀先生は、大規模病院で子どもの難病治療に携わってきたベテランドクターだ。25年以上にわたり積み重ねた小児医療の経験から「病気や後遺症で苦しむ子どもを減らしたい」と考え、予防接種を積極的に推奨している。また同院では適切な月齢に予防接種を受けてもらうために、スタッフが中心となってスケジュール管理も実施しているという。笑顔あふれる診療をめざす中野院長に、これまでの経歴や特に注力する分野、今後の展望などについて詳しく話を聞いた。

(取材日2020年1月29日/再取材日2024年4月3日)

国内外での経験を生かし、地域の小児医療に貢献

まずは開業までのご経歴を教えてください。

中野崇秀院長 なかのこどもクリニック1

大規模病院の小児内科や血液腫瘍科に勤務し、白血病や小児がんなど高い専門性を要する病気の診療に携わってきました。また子どもたちを第一に考えた診療スタイルや、診療以外の子どもとふれ合う時間の重要性も学びました。その後は海外の医療について興味を持っていたことから、ネパールや西アフリカへ行き実際の様子を見て確かめてきました。現地の子どもと関わる機会も多く、相手に合わせたコミュニケーションの大切さを改めて感じたことを覚えています。そうした経験から、病院での闘病生活を終えてやっとの思いで退院した子どもを、近い場所からサポートしたいと思い開業を決意。このビルには当院以外にも多様なクリニックが入っており、それぞれが密に連携を取り合っているので、家族みんなで安心して受診していただけると思います。

落ち着いた雰囲気でありながら、お子さんが楽しく過ごせそうな院内ですね。

院内のデザインは、子どもたちに楽しく過ごしてほしいという思いを込めました。待合室は一面ガラス張りなので、待ち時間に外の景色や車を眺めることができます。キッズスペースには恐竜のおもちゃや絵本をたくさん用意し遊べるようにしてあります。また安全性と利便性の高さも重視してあるのが特徴です。エレベーターホールの転落防止柵は法的基準よりも高いものを導入。本棚などの家具からは可能な限り角を取る工夫を行いました。おむつ台や子ども用の椅子が備わっている広々としたトイレの他に、授乳室も設けてあるので、乳幼児をお連れの方にも安心して受診していただけるでしょう。また、現在クリニック前で道路拡張工事が行われております。特にベビーカーや自転車など、これまでより広くなるので、来院しやすくなると思います。

感染症対策も徹底されているとお伺いしました。

中野崇秀院長 なかのこどもクリニック2

そうですね。新型コロナウイルス感染症のまん延を受けて、感染症対策により注力するようになりました。熱や咳などの症状がある方や感染症の疑いがある方と、皮膚疾患やアレルギーや便秘などの一般診療を希望される方の診療時間を分けて対応。また発熱している場合など、必要だと判断した場合は個室へご案内しています。これからも地域のかかりつけとして安心・安全に受診していただけるように、状況やニーズに応じたさまざまな工夫を凝らしていこうと思っています。

子どもが健康に過ごせるように、予防接種に注力

特に力を入れて取り組んでいることは何ですか?

中野崇秀院長 なかのこどもクリニック3

予防接種の推奨に力を入れています。私が医師になったばかりの頃は、重い感染症に苦しむ子どもが多くいました。発展途上国では現在もワクチン不足の状況が続いており、「予防接種を受けていたら助かっていたかもしれない」という場面は少なくありません。幸い今の日本はワクチンが手に入る環境、だからこそ最大限に活用していただきたいのです。もちろん、病気の予防を図れるメリットがある一方で、副反応も起こる可能性があります。そのため予防接種に対して不安を抱いている親御さんもいらっしゃるでしょう。だからといって自己判断で控えるのではなく、まずは相談していただきたいです。1人でも多く、予防接種の重要性を正しく理解し、受けていただけたらと思っています。またワクチンの供給が滞り、子どもが健康面で困ることがない環境をこれからも維持していきたいです。そのためには医師と行政、製薬会社が協力していくことが大切だと考えています。

予防接種が怖いお子さんは多いと思います。接種の際、何か工夫はされていますか?

不安な気持ちにさせないように、丁寧な声かけを意識しています。接種のタイミングには、おもちゃや院内の壁や床に貼ってある動物のシルエットのシールを使い興味を引くなどして、少しでも痛みを感じにくくなるように努めています。お子さんが予防接種で嫌な思いをせずに済んだら幸いです。またスタッフや看護師が中心となって、親御さんへのサポートにも注力しています。例えば子どもの予防接種のスケジューリング。適切な月齢に予防接種を忘れずに受けていただけるように、当院でもスケジュール管理を行っています。当院の看護師や受付は小児看護の経験を持つなど、子どもへの対応スキルが高いスタッフがそろっています。また、先読みした対応で子どもたちに優しく接してくれるので、たいへん助かっています。さらに多様化する感染症に対応するため、インフルエンザやRSウイルス、溶連菌などのさまざまな検査も行っております。

診療の際に心がけていることはありますか?

中野崇秀院長 なかのこどもクリニック4

親御さんが「こんなことを聞いても良いのかな?」と気を遣わずに済むように、フランクかつ丁寧に接することを大切にしています。ある程度会話ができるお子さんに対しては、積極的に質問をして、お子さん自身の言葉でお答えいただくように。一方まだ話せない小さなお子さんの場合、怖い思いをさせないように、体調や機嫌に合わせて診療を進めています。共通していることは、患者さんは全員自分の家族や親戚、あるいは友人だと思って接するということ。地域の方々と、診療とは関係のないことでも話せる関係になれたら幸いです。また当院では事故予防の知識の啓発に努めています。というのも、子どもの死因として2番目に多いのは事故だといわれており、知識があることで避けられる事故もあるので、周囲の大人が管理できるようにと考えてのことです。他にも栄養士による栄養相談なども行っているので、何でも聞いていただけたらと思います。

地域のかかりつけとして子どもの一生を見守り続けたい

そもそもなぜ中野院長は医師をめざされたのでしょうか?

中野崇秀院長 なかのこどもクリニック5

実は幼い頃に事故に遭い、片目の視力を失いました。高校生の時に「子どもと関わる職業に就いて当時の経験を生かしたい」と考えるようになったのです。教師か医師で悩みましたが、つらいことを一緒に乗り越えたい、そして子どもとその周りの方々を笑顔にしたいという思いから、医師の道を志しました。また小児科病棟では季節ごとにイベントを開催するのですが、その時期は入院している子どもたちが元気に走り回り、笑い、それを見た大人がほほ笑み、いつにも増して院内に笑い声が響き渡っていたのです。その光景が実習生の頃からとても印象的で、小児科の医師になりたい気持ちが一層増すきっかけになりましたね。

これまでのご経験の中で、印象に残っているエピソードはありますか?

大人が想像している以上に、子どもは周囲に気遣い、注意深く相手の表情を観察して、気持ちを読み取っています。まだ小さな子が病棟のお友達を見て、「あの子いつもよりつらそう」と呟くのを聞いた時は驚きました。お友達が退院する時は、涙ぐみながらも万歳をして送り出していたのを見たこともあります。難病との闘いは他人が計り知れないほどつらくて大変なはずなのに、感性の豊かさや思いやりの心の素晴らしさに、いつも感動していました。また似顔絵などをプレゼントしてくれる子や、開業後も顔を見せに来てくれる子がいてうれしく思っています。こうした経験から、今もなお病気と闘う子どもがたくさんいるから、自分にできることを探し続けたいと思うのです。

最後に、今後の展望とメッセージをお願いします。

中野崇秀院長 なかのこどもクリニック6

今後も引き続き、有益な情報の発信や、子どもと親御さんそれぞれに寄り添った診療に尽力していきます。そして悩み事はもちろん、世間話もたくさんして一緒に笑い合える関係性を築いていけたらうれしいです。また子どもたちには、将来さまざまな困難と遭遇しても、子どもの頃の経験を思い出せば大丈夫、きっと乗り切れると伝えています。当院に訪れる子どもたちは、みんなつらい治療を頑張って乗り越えていますからね。これからも子どもたちが健康で幸せだと感じられる人生を送れるように、地域のかかりつけ医という立場から見守っていきたいです。

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