飯島 美智子 院長の独自取材記事
いいじま歯科
(船橋市/船橋競馬場駅)
最終更新日:2025/11/06
訪問歯科診療に力を入れて取り組みたいという思いを持って開業された「いいじま歯科」。飯島美智子院長は、伯父の歯科クリニックで理事長を約30年間務めた後、代替わりを機に親族に後を託し、より地域に密着した、自身が思い描く歯科診療に力を注ぎたいと新たに開業した。「クリニックへの通院が難しい高齢者や障害者の方から、ご自宅で治療を受けられると喜んでいただけたら一番うれしいです」。訪問診療でもクリニックと同レベルの診療を行えるようにと、医療メーカーと共同でさまざまな医療器具の開発にも携わってきた。近年では、高齢者の口腔機能低下症の予防にも積極的に取り組んでいるという。今回、診療の方針や注力する診療などについて飯島院長に尋ねてみた。
(取材日2025年7月24日)
高齢者や障害者に寄り添う診療スタイルをめざして
どのような患者さんが多く来院されていますか?

この地域は古くからの住宅街で、長く住まわれている方が多いです。ですので、当院にもご高齢の方が多く来られています。もちろん若い方もおられますが、中心はご高齢の方です。以前理事長を務めていたクリニックの頃から、継続して来てくださっている患者さんも多いですね。私は、約30年間、伯父が開業した歯科クリニックで診療していたのですが、そこは在籍する歯科医師も多く、たくさんの患者さんが来院していました。そこで診療をしていく中で、次第に自分自身がめざす歯科医療について考えるようになったのです。しかし大所帯では自分の考えをきめ細かな部分まで徹底できません。そこで、親族が成長し、クリニックを任せられるようになったのを機に私も独立をしようと決意したのです。
それでこちらに開業なさったのですね。
はい。これまでも行っていた訪問歯科診療に力を入れて取り組める、地域の一人ひとりの患者さんとじっくりと向き合える、そんなクリニックづくりをしたいと思ったのです。開業時の年齢を考えますと、一般的にはそろそろ閉院を考え始める、そんな年齢でしたが、あえて開業しようと決意しました。周りには驚かれましたが、今は開業して良かったと思います。
クリニックづくりや設備面で工夫された点を教えてください。

ご高齢の患者さんが多いので、おしゃれなイメージよりも、歯科医院らしい雰囲気のほうが信頼感もあり安心していただけるのではないかと考えて内装もクリニックらしく落ち着いた造りにしました。スタッフの制服も、最近はやりの濃い色合いの物より、白衣を選んだのもそれが理由ですね。最もこだわったのは全体をバリアフリーにする点です。入り口から診察室まで、またトイレにおいても段差をなくし、歩きやすく、車いすでも不自由ないような造りにしました。診療ユニットは、通常ならば3台設置できるスペースに2台の設置とし、車いすが移動しやすいように広く場所を確保してあります。診療チェアも180度回転するものを導入して車いすからの移乗を容易にし、腰の曲がった方や妊婦さんでも座りやすいようチルト機能のあるものや、アーム部分に工夫があり握って乗り降りする際に滑りにくいタイプなど、ご高齢の患者さんに配慮したものを選びました。
訪問診療でも外来診療に近い歯科医療の提供をめざす
診療方針についてお聞かせください。

患者さん一人ひとりのお話を丁寧に伺うことを大切にしています。歯科医学的には正しいとされる治療でも、その方にとっては不都合であるかもしれません。悩んでいることも、経済的な状況や生活背景もそれぞれですので、その方にとっての適切な治療法を考えるようにしています。また、年齢をかなり重ねてきているご高齢の患者さんには、これから先のことも見据えて考えるようにしています。例えば、もし介護が必要な状態になった場合のために、介護者がケアしやすく口の中を衛生的に保てるようにしておくなど、患者さんの年齢や体の状況などに即して治療を考えています。
先生は長く訪問診療に携わっていますが、変化は感じられますか?
訪問診療に携わって35年以上になりますね。最初の頃は、歯科でも訪問診療してもらえることにびっくりされる方がとても多かったですね。機材も今ほど発展していなくて、当時のポータブルユニットは大きくて重く、その他の機材材料を合わせるとかなりの重量でした。そこで、医療器具メーカーと共同開発を行い、コンパクトで軽く、性能にもこだわった製品を開発したりしてきました。現在では持ち運びしやすいポータブルユニットや訪問用のエックス線撮影装置などの機材も発達して、クリニックでの診療に近い水準の治療が、訪問診療でも可能になっています。歯科の訪問診療に対する認知度も高くなってきていますし、ニーズもとても増えています。
訪問診療の体制について教えてください。

訪問診療は、ケアマネジャーや各施設からの依頼や、患者さん個人からの問い合わせで開始します。保険診療はクリニックから半径16キロメートル以内の範囲と決まっています。かなり広範囲なので車で診療に行くことがほとんどです。当院では月曜、火曜、金曜の午後を訪問診療の時間としていて、1日3~4人の診療を行っています。クリニックへの通院が難しくなったご高齢の患者さんは、むし歯や歯周病の治療を諦められることも多いです。治療を受けられるとなって、喜ばれ感謝されたらうれしいですね。こうした患者さんの喜ぶ顔を見たときこそ、訪問歯科診療に力を入れて取り組んでいるかいがあるなと感じます。歯科のことだけでなく、通院先の医師に言われたことなども相談してくださる方もいて、信用してくださっているのかなとうれしく思うことも度々ありますね。
高齢者の口腔機能低下症の予防にも注力
他に力を入れていることはありますか?

食べた物から私たちの体はつくられていきますから、患者さんには食事の大切さについても知ってもらえるようお話ししています。私たちは、食べること、飲み込むことを当然のこととして行っていますが、咀嚼機能や嚥下機能が落ちてしまった方へのケアも忘れてはならないと思います。それらの機能が落ちてしまった方に合う食事についてアドバイスしています。また、そのような状態になる前に、咬む、飲み込むといった口腔機能が低下しないよう予防にも力を入れています。診察中、患者さんが少しむせたりすると、「日常生活でもこんなことありませんか?」と尋ねて、何か症状があるようであれば、口腔機能を検査する機器を用いて検査しています。
それはどのような検査なのですか?
例えば、喉に聴診器を当てて30秒間に何回ごくんと飲み込みができるか、舌の力はどのくらいかを調べたり、「ぱ」「た」「か」を5秒間発語してもらって舌や口唇の動きを調べるといった検査、咬む力の測定などです。検査結果によって口腔機能を評価して簡単なトレーニングを指導したり、日常生活のアドバイスなどを行ったりしています。口腔機能の衰えはできるだけ早く発見することが大切で、早く気づくことができれば簡単なトレーニングで機能回復につなげていけます。
口腔機能低下などについての講習会も行っていると聞きました。

高齢者施設で口腔機能低下症についてお話ししたり、千葉県歯科医師会の啓発イベントでオーラルフレイルに関する講習会などを行ったりしています。当院の2階には、アイランドキッチンを設置した講習室が設置してあります。以前は、歯科医師や歯科衛生士、施設の調理師や栄養士などを対象に摂食機能と栄養について調理実習も含めた講習会なども行っていました。最近はあまりやっていないのですが、地域の方々も参加できる講習会やイベントなどをまた開きたいと考えています。
最後に、今後の展望とメッセージをお願いいたします。
これからも外来診療と訪問診療とで地域の方々に医療貢献していければと思います。地域の方々のお口やお体の健康を守っていくためには、私自身が健康でいなくてはならないと思っています。健康のために食べることは必要不可欠で、その食べ物をしっかり咬んで飲み込むことができる健康な歯や口腔機能はとても大切です。毎日の歯磨きは鏡を見ながら丁寧に行い、定期的に歯科クリニックでのケアを受けていただきたいと思います。また、歯周病菌とさまざまな全身疾患との関連も明らかになっています。口腔ケアがしっかりでき、機能的にも優れたお口は全身の健康につながると思います。食べる、咬む、飲み込むといった口腔機能の些細な衰えはご自身ではなかなか気づきにくいもの。むせることが多くなった、滑舌が悪くなったなど何か気になることがあればぜひ相談に来ていただければと思います。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

