五十川 由美 院長の独自取材記事
あかなべ眼科
(岐阜市/岐阜駅)
最終更新日:2023/01/25

岐阜市茜部の住宅地にある「あかなべ眼科」。院長の五十川由美(いかがわ・ゆみ)先生は、勤務医として白内障手術を数多く経験した後、実家のクリニックで長年にわたり地域に密着した医療を提供してきた。2018年に開業した同院は、眼科専門のクリニックとして、一般眼科診療のほかに、日帰り手術やレーザー治療、コンタクトレンズ・眼鏡処方、各種検査に対応。白内障の日帰り手術は、院長の夫である眼科医の協力のもと安全性に配慮して行っている。「眼科を受診するのは抵抗があるかもしれませんが、目に関することなら、どんなことでも遠慮なく相談してほしい」と語る五十川院長に、医療に懸ける思いを聞いた。
(取材日2022年12月26日)
勤務医としての経験を、地域医療に生かしたい
医師を志したきっかけは何ですか?

祖父と父が開業医をしていたため、小学生の頃から医師に憧れていました。それなのに、医学部は難関といわれていたこともあって、薬剤師をめざして薬学部に入学しました。それでも、3年進級時に、やはり医師になりたいと思い、そこから独学で勉強をし、薬学部を卒業するタイミングで医学部を受験しました。その時期は、卒業試験、医学部受験、薬剤師国家試験などをかけ持ちで勉強したため非常に大変でしたが、何とかすべてに合格することができました。どうしても医師にこだわったのは、誰かの指示で動くのではなく、自分で考え、自分でコミュニケーションを取り、自分で治療できるところにやりがいを感じたからです。臨床実習の際、白内障の手術を見学して感動し、眼科を選択しました。自分が手術することで、患者さんの目がよく見えるようになる。きっとやりがいのある仕事ができるだろうと思ったのです。
開業した理由を教えてください。
勤務医としてさまざまな施設で働き、数多くの手術を経験してきました。しかし、地域医療に携わる祖父や父の姿を見て育ったため、いつかはその経験を地域に還元したいと思っていたんです。結婚を機に、腰を据えて医療に取り組みたいと考えたのも理由の一つです。勤務医はどうしても転勤が多くなるので、同じ患者さんを継続して診察できないというデメリットがあるからです。そのため、2004年に実家の杉浦内科に眼科を加え、杉浦内科眼科として眼科を担当しました。そこで14年ほど診療をし、近くに当院を開業したのが4年前の2018年です。
クリニックには、どのような患者さんが多いのですか?

この地域は、新興住宅地で、小学校も近くにあるため、若い家族の患者さんが多いですね。また、杉浦内科で診察を担当した患者さんも来院してくれます。近くに開業したのは、移動が大変な白内障や高齢の患者さんが通院しやすいようにと考えたためです。なお、糖尿病や高血圧症の患者さんは、眼底検査が必要になるため眼科を受診することがあります。また、白内障の手術は、全身検査のため内科を受診する必要があります。このように、内科と眼科は密接なつながりがあるのですが、杉浦内科が近くにあることでスムーズに連携することができるんです。
安心・安全な医療の提供をめざす
クリニックの特徴を教えてください。

私の強みは手術経験が豊富なことです。そのため、白内障手術など日帰りできる手術に対応しています。もちろん、リカバリー室も設置しています。手術は、各務原市の眼科クリニックで副院長をしている夫と2人で行っています。夫の介助によって、より安全な手術をめざすことが可能となり、患者さんの安心感も高まると考えています。夫は、患者さんに対して非常に優しく対応する医師なので、信頼してサポートしてもらっています。また、スタッフは、過不足なく準備してくれ、細かいことにも気づいてくれるため、ストレスなく手術をすることができます。彼女らの協力には、とても感謝しています。
診察にあたって心がけていることはありますか?
患者さんの不調を治療し、より良い生活が送れるようにしてあげたいと考えています。例えば、白内障で見えにくくなったと訴える患者さんを診察すると、高齢のためにまぶたが下がったことが原因の場合もあるんです。また、高齢者は視力を測る機会が少ないので、自分がどれくらい見えているかわからないこともあります。「十分見えている」と答える高齢者もいますが、実はほかの人はもっとよく見えていることを教えてあげると驚かれます。このように、患者さんが自分では気づかないことを指摘し、治療につなげることも医師の役目だと考えています。
医師をしていて良かったことを教えてください。

私は今まで一度も医師をやめたいと考えたことがないんです。24時間、医師であり続けようと思っているため、白内障の手術をした患者さん全員に携帯電話の番号を教え、夜中でも休日でも「何かあったら電話ください」と伝えています。病院に行くほどでもないちょっとした不安に答えることで、患者さんは安心してくれます。また、遠方から来院される患者さんもいて、不思議に思って尋ねると、当院に通っている患者さんがクチコミで評判を広げてくれていることがわかり、とてもうれしく思いました。
些細な悩みでも相談してほしい
子どもの診察や検査について気をつけていることはありますか?

小さなお子さんの場合、病院で怖い経験をしたことがあると、私の顔を見ただけで泣いてしまうことがあります。泣くと目が真っ赤になってしまうので、充血などがわからなくなってしまうんです。そういう時は、スタッフが話しかけたり、気をそらしたりしてくれます。幼児の視力検査なども、思いどおりに進められないことが多いのですが、そんなときも、上手に誘導して検査してくれています。なお、子どもの場合、近視でも放置されるケースや、左右の視力が違っても片方が見えるから構わないと判断されるケースがあります。しかし、視力が左右で異なると、見えないほうの目を使わなくなり、斜視になることもあります。片方見えればいいと考えずに気軽に来院してほしいと思います。
今後の展望を教えてください。
これまで地域に密着した医療を提供することを心がけてきましたが、今後もそれを継続していきたいと思います。診療ももちろん大切ですが、患者さんと雑談する時間も重要だと考えています。当院は家族で来院される患者さんも多いため、病気以外の会話でもコミュニケーションを取っています。このクリニックに来たら悩みを聞いてもらえると患者さんが思ってくれるのが理想ですね。また、最近、視力矯正治療として、オルソケラトロジーを導入しました。高価なので誰にでも勧めるというわけにはいきませんが、コンタクトレンズを使用し続ける費用を考えると検討されても良いかもしれません。一方、視力回復を目的としたトレーニングは、何年も継続して通っている患者さんもいます。このように、近視の矯正についても引き続き行っていきたいと考えています。
読者にメッセージをお願いします。

眼科を受診するのは抵抗があるかもしれませんが、目に関することなら、どんなことでも遠慮なく相談してほしいと思います。治らないだろうと諦めたり、病院に行くほどではないと自分で判断したりせずに、ちょっとした違和感でも構わないので伝えてくれれば、当院で原因を見つけて解決できるかもしれません。また、それによって糖尿病や高血圧症など内科の疾患が発見されることもあるんです。例えば、老眼は若い方でもなる場合があるので、気になったら相談してください。それから、高齢になると、もう白内障の手術はしなくていいと諦めてしまう人がいますが、約15分の手術で生活の質が大きく変わる可能性を考えれば、年齢に関係なくぜひ検討してほしいと思います。難しい症例は基幹病院を紹介しますので、面倒に感じたり怖がったりせずに積極的に受けていただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジーレンズ/12万5000円