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矢澤 聰 理事長の独自取材記事

矢澤クリニック渋谷

(渋谷区/代々木上原駅)

最終更新日:2022/08/16

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代々木上原駅南口の目の前にあるビルの2階にある「矢澤クリニック渋谷」。ガラス張りの開放感あふれる院内には、明るい光が差し込み、リラックスできる雰囲気となっている。同院の特徴は、通院困難になった患者への在宅訪問診療、さらに外来診療の両方に対応していることだ。一般内科に加えて、泌尿器科、脳神経内科、循環器内科、腫瘍内科等の専門の医師たちが在籍しているため、日常的な疾患の診療はもちろん、各種がん、難病までフォローできるという。「通院ができる間は外来診療で、通院が難しくなったら訪問診療で、継続的に支援する生涯のかかりつけ医になりたい」と話すのは、同院理事長の矢澤聰(やざわ・さとし)先生。今回は矢澤先生に、同院の診療体制や在宅訪問診療・外来診療にかける思い等、さまざまな話を聞いた。

(取材日2022年7月22日)

外来診療と訪問診療の両輪で生涯のかかりつけ医に

開院を決心された経緯や訪問診療を始めようと思ったきっかけを教えてください。

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在宅訪問診療に最初に出会ったのは、大学卒業後の亀田総合病院での初期研修の時です。その後、母校である慶應義塾大学病院の泌尿器科に入局し、数年後、医局に関連のある埼玉医科大学病院で勤務しました。そこでは、ご家族がお仕事を休まれて介護タクシーで半日がかりで来院され、短時間の診療を受けてお帰りになる患者さんや、夜間に救急車で遠いところからいらっしゃり、尿道留置カテーテルだけ交換してお戻りになる患者さん等を数多く拝見しました。そのような患者さんを見る度に、患者さんやご家族のご負担を少なくできないかを考えるようになり、私が患者さんのお宅に伺って診療するスタイルの在宅訪問診療を行うため開院いたしました。泌尿器科という専門性においても在宅訪問診療の現場で貢献できることは多いだろうと考えたことも大きな理由です。

埼玉県にもクリニックをお持ちですが、渋谷に開院したのはなぜですか?

埼玉医科大学病院に勤務している時に埼玉県の高齢化と医療過疎を痛感し、地域貢献できればと、まず北本市に「矢澤クリニック北本」を開院しました。そのうち、東京にお住まいの、慶應義塾大学病院にいた頃の患者さんや、お世話になっている方々やご家族から健康相談を受けることも増え、かかりつけ医として健康管理という形で恩返しがしたいと思い、代々木上原に「矢澤クリニック渋谷」を開院しました。

訪問診療と並行して、外来診療を始めた理由は?

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地域の声に応えようと、通院困難な方に対する包括的なケアを実現するため在宅訪問診療をスタートしました。そのうち、通院できる方々から「自分たちの健康管理もしてほしい」という要望が増えてきたため外来診療も始めました。現在は幅広い年代の方がさまざまな症状で外来にいらっしゃいますし、健康診断の方も来られます。患者さんが通院できる時は外来診療を、入院が必要な時には日頃の病診連携のネットワークからその方に最適と思われる医療機関をご紹介し、退院後は当院で再びフォローいたします。お年を重ねられて通院困難になった時には訪問診療に切り替え、継続的かつ一貫した診療をしております。長い時間をかけてご本人やご家族と信頼関係を構築することで、その方の価値観に沿った医療の意思決定もご支援でき、療養生活の場所等について相談しながら支えていくこともできる。生涯のかかりつけ医として役割を全うできるのではないかと思っております。

「一人一笑」。診察ごとに笑顔を見ることが目標

先生が診察で大切にされていることは?

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在宅訪問診療は、ご家族や当院診療同行スタッフが同席することが多いですが、茶の湯でいう「一客一亭」の世界に似ているところがあると思っております。一見すると毎回同じようなことの繰り返しに見えますが、一度として同じ診察はありません。患者さんは体調不良や不安を抱えていらっしゃるので、診察して処方箋を出して終わりではなく、安心した笑顔を毎回見られるように努め、「来てもらってよかった」「また来てもらいたい」と思っていただく、「一人一笑」を目標に一回一回の診察を大切にしています。もちろん外来でも同じ気持ちです。

患者さんとの会話の内容も丁寧に選ばれているとか。

訪問診療でも外来診療でも、患者さんとの会話はラジオの周波数を合わせるように話題を選ぶことを意識しています。年齢や性別、お仕事やご興味等によってご関心が異なりますので、患者さんごとにチューニングを合わせることができるよう、医療の面も当然ながら、社会的課題、歴史や文化、芸術等についても学び、人間力を磨くことも意識しています。そうすることで医師と患者さんという関係以上の信頼関係が構築されていくと感じています。

患者さんとのエピソードはたくさんあると思いますが、どんなものが印象深く残っていますか?

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患者さんとご家族ごとにストーリーがありますので、エピソードは数えきれないほどあります。例えば、長く当院の外来にいらしていた患者さんが、高齢になって体調を崩し通院ができなくなり、訪問診療に切り替えることが多々あります。その後訪問診療で最期まで診療させていただき、お看取りした際の患者さんの表情が穏やかだったり、ご家族からの感謝の言葉をいただくと、とてもうれしいです。ご家族から「今度は私たちが外来でお世話になります」とおっしゃっていただいた際には、ご家族全員をケアするかかりつけ医として、医師冥利に尽きます。ご家族を診察しながら、患者さんを亡くされた後お元気で過ごされているか確認でき、たまには思い出話で盛り上がったり。悲しみの中にいるご家族を支えるグリーフケアにもなっているのではと思っています。

地域医療を担う医師として、患者とその家族のために

こちらには多くの先生方が在籍されていますが、どのように連携を取っているのですか?

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いつ、どのような疾患をお持ちの患者さんが、どれだけ多く来られても受け入れることができるクリニックでありたいと思っています。質と量ともに担保しなければなりませんので、各専門性を持つ経験豊富な複数の医師と診療にあたっております。連携や診療の品質管理という点についてお話しすると、毎日、朝夕にカンファレンスを実施していますし、各医師の診療後の振り返りを徹底しています。特に在宅訪問診療に関しては医師、診療に同行する看護師、相談員も含めて、患者さんの様子、今後の方針、急変時の対応等を毎朝確認してから患者さん宅に行き、戻ったら報告する。このサイクルによって、チーム全体で情報の共有と方針の統一を徹底し、高水準の診療と管理満足度の維持をめざしています。また、最新の知見や業務改善、診療報酬等に関する情報共有の習慣をつくり、継続的な学習と相互研鑽を当院の文化として醸成しています。

研修医の先生や医学生のご指導にも携わっているそうですね。

医師としての倫理観、それはヒポクラテスの誓いまでさかのぼりますが、医師である以上、診療と研究と教育は、どのような立場でも実践する必要があると思っています。教育に関しては、病院での診療のみを行っている先生たちに在宅訪問診療の現場で実習、経験してもらうことは、先生本人にとっても今後診る患者さんにとってもたいへん有意義であると思いますので、最大限協力しています。他にも地域医療に携わる医師として地域や社会の役に立ちたいという思いから、医師会の活動、行政が行う地域包括ケアや在宅医療等をテーマにした講演、北本院では北本市地域包括センター運営協議会の会長職等、ご依頼をいただいた際には可能な限りお引き受けしています。

今後の目標と読者へのメッセージをお願いします。

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地域で信頼され、必要とされる医療機関でありたいです。当院の将来的な目標やビジョンがある一方で、日々の診療の中で患者さんから言われた何げない一言にこそ重要な課題が隠れていたりします。その課題に取り組むことで次の展開ややるべきことの方向性が決まることがありますので、地域とともに成長するクリニックでありたいと思います。患者さんの言葉に真摯に耳を傾け、その言葉の背景にある心情や状況を常に意識しながら、良質な医療を提供すべく日々の診療を一生懸命行うことが、患者さんに寄り添う医療だと思います。また、外来診療の場合はもちろん、特に在宅訪問診療の場合は、どのような状況が在宅医療に該当するか、保険診療の適用になるか等、わからないことも多いと思いますので、お気軽にご相談ください。一緒に問題を解決していきましょう。これからも地域の患者さんとご家族を支えるクリニックであるべく努力を続けていきたいとです。

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