川上 英孝 院長の独自取材記事
かわかみ内科
(吹田市/岸辺駅)
最終更新日:2026/05/19
JR京都線・岸辺駅北口から徒歩3分の場所にある、内科・脳神経内科を標榜する「かわかみ内科」。大阪市立大学医学部を卒業後、救急医療や在宅医療など幅広い分野で経験を積んできた川上英孝先生が、地域の患者とより密接に関わる医療をめざして2018年に開業したクリニックだ。生活習慣病を中心とした一般内科から、専門である脳神経内科領域の診療まで幅広く対応している。近年はパーキンソン病や頭痛などの患者の受診も増え、訪問診療にも力を入れているという。同院がめざす地域医療の在り方や、専門診療への思いについて話を聞いた。
(取材日2026年3月17日)
専門的な診療にも対応する「町のかかりつけ医」
ご専門の分野やこれまで取り組んできた医療、開業の経緯について教えてください。

私の専門は脳神経内科で、開業前は主に救急医療の現場で診療に携わっていました。救急医療では急性期の患者さんを診る機会が多いのですが、その後の経過まで十分に見守ることができないことに、もどかしさを感じていたんです。特にパーキンソン病や認知症などの慢性疾患の患者さんについては、もっと継続的に診療し、生活背景まで含めて支援したいという思いがありました。そこで、急性期を乗り越えた患者さんや慢性期疾患の患者さんを継続して診療できる場をつくりたいと考え、2018年に当院を開業しました。地域の方々が安心して相談できる「町のかかりつけ医」として、幅広い診療を行っています。
現在はどのような患者さんが多いのでしょうか。
患者さんの中で多いのは高血圧症や糖尿病などの生活習慣病の方です。これらは継続して通院することが非常に重要ですが、仕事などの都合でなかなか通院できない方も多いのが現状です。当院では夜まで診療しているため、仕事帰りにいらっしゃる方も少なくありません。生活習慣病の管理は、脳梗塞などの脳血管疾患の予防にも直結します。脳だけを診るのではなく、全身の状態を総合的に診ていくことが重要だと考えています。大きな病院では診療科が細かく分かれていますが、開業医だからこそ患者さんをトータルで診ることができる点が強みだと思います。
脳神経内科について、まだ一般にはあまり知られていない印象があります。

確かに脳神経内科という診療科は、精神科や心療内科と混同されることが多いですね。脳神経内科は脳や脊髄、末梢神経、筋肉など「体の構造」に関わる病気を扱う診療科で、パーキンソン病や脳梗塞後遺症などが代表的な疾患です。一方で精神科は脳の働きや心の状態を扱う診療科になります。症状だけでは区別が難しいこともありますが、「手足のしびれ」「歩きにくい」「体が震える」などの症状がある場合には、脳神経内科での診察が必要なケースもあります。まだ十分に知られていない分野だからこそ、「こんな症状でも相談していいのかな」と迷われる方にも気軽に受診していただきたいと思っています。
パーキンソン病など、専門性を生かした脳神経内科診療
脳神経内科領域では、どのような患者さんが多いのでしょうか。

当院ではパーキンソン病や脳梗塞後遺症の患者さんが多く来院されています。パーキンソン病の治療は薬物療法だけでなく、リハビリテーションと組み合わせて行うことが重要です。特にご自宅で毎日体を動かすことが大切になるため、患者さん本人だけでなく、ご家族にも病気について理解していただく必要があります。そのため診察では、薬の調整だけでなく、日常生活でどのような運動を取り入れると良いかといったことも丁寧に説明しています。通院の間隔も1〜2ヵ月程度と比較的こまめに設定し、症状の変化を細かく確認していくよう心がけています。
訪問診療にも取り組まれているそうですね。
はい。現在は訪問診療でもパーキンソン病の患者さんを中心に診療しています。パーキンソン病は進行に伴って通院が難しくなることもあるため、訪問診療との相性が良い疾患でもあります。外来診療では把握しにくい生活環境や日常の動きも、ご自宅に伺うことでより具体的に理解することができます。訪問看護ステーションとも連携しながら、患者さんができるだけ安心して生活できるよう支援しています。神経難病の患者さんを専門の脳神経内科の医師が診療することは重要だと考えていて、使命感を持って取り組んでいます。
頭痛で受診される患者さんも増えていると伺いました。

最近は頭痛を主訴に来院される方も増えています。あまり知られていないことですが、頭痛と一口に言っても、片頭痛や緊張型頭痛などさまざまな種類があり、適した治療法も異なるんです。そのため、問診や必要に応じた画像検査などを行い、原因を見極めながら治療を進めることを大切にしています。ただ最近はインターネットの情報を見て「自分はこの病気ではないか」と思い込んで来院される方も少なくありません。もちろん情報を得ることは大切ですが、頭痛に限らず脳神経内科の疾患についてはインターネットに誤った情報も多く存在していますので、不安を必要以上に大きくしてしまうこともあります。検査や診察を通じて医学的に判断し、安心していただくことも私たち医療者の役割だと思っています。
専門性と総合力の両立をめざし、地域を支える存在に
感染症対策など、院内の取り組みについて教えてください。

院内では感染症対策として、発熱などの症状がある患者さんと一般の患者さんの動線を分けるようにしています。隔離室も設け、できるだけ院内での感染リスクを減らす工夫をしています。クリニックではさまざまな症状の患者さんが来院されるため、安心して受診していただける環境づくりはとても大切だと考えています。こうした体制を整えながら、生活習慣病から専門的な神経疾患まで、地域の患者さんの健康を幅広く支えていきたいと思っています。
今後の展望を教えてください。
大きく診療の方向性を変えるというよりは、今の体制をしっかり維持していくことが大切だと考えています。開業医には、総合的に診療する役割と専門性の両方が求められていると感じています。生活習慣病などの一般内科診療をしっかり行いながら、パーキンソン病やてんかん、頭痛などの脳神経内科領域についても専門性を生かした診療を提供していきたいですね。訪問診療についても今後も継続し、通院が難しい患者さんの生活を支えていきたいと考えています。地域の中で、幅広さと専門性の両方を兼ね備えたクリニックでありたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院では生活習慣病から脳神経内科の専門診療まで、幅広い症状に対応しています。医療の世界では専門分化が進んでいますが、患者さんにとっては「どこに相談すればいいかわからない」と悩むことも多いと思います。そうしたときにまず相談できる存在でありたいと考えています。治療を進める上では、医学的に妥当であることはもちろん、患者さんやご家族が納得できることも大切です。できるだけ専門用語を使わず、わかりやすく説明しながら治療方針を一緒に考えていきますので、気になる症状があれば気軽にご相談いただければと思います。

