健康や日常生活の妨げになる外反母趾は
放置せずに適切な治療を
足と歩行の診療所
(大田区/蒲田駅)
最終更新日:2025/02/14


- 保険診療
足の親指(母趾)が人差し指側に「く」の字に曲がり、付け根部分に腫れや痛みを生じる外反母趾。一般的には幅の細い靴やハイヒールを履くことによって起こると思われているが、体重増加や筋力低下に加え、遺伝的要因、リウマチや糖尿病など多岐にわたる原因が指摘されている。「足と歩行の診療所」の吉原正宣院長は長年、足の病気と歩行障害の解消に向けた診療を続けており、外反母趾に関しても、医療用インソールなどを使う装具療法や、歩き方の指導を行っている。また、変形や痛みが強い場合は手術による治療によって改善を図る。「当院では、一人ひとりの背景やご希望に合わせた治療を行っています」と語る吉原先生に、外反母趾の症状や原因、治療法などを聞いた。
(取材日2025年1月27日)
目次
一人ひとりの症状・原因に沿った予防や治療を提案し、快適な歩行や健康な生活の維持をめざす
- Qどのような状態が外反母趾と診断されるのですか?
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A
▲触診やエックス線検査で多角的に足の状態を確認して診察する
足の親指が人差し指の方向に曲がっていたり、親指の付け根部分が腫れたり赤くなっていたりする場合は外反母趾である可能性が高いです。医療機関ではエックス線写真を撮り、足の親指の骨の角度を見て、骨がどの程度曲がっているかで診断をすることが多いですね。痛みの種類や感じ方は人それぞれです。軽症でも痛みが強いケースもありますし、重症で変形しているのに痛みがほとんどないケースもあります。外反母趾をご自分で判断するのは難しいため、気になる場合は、一度医師に相談してみることをお勧めします。
- Q外反母趾の原因は何でしょうか?
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A
▲検査結果をもとに、一人ひとりに合った治療方法を提案
原因は多岐にわたり、一つとは限りません。外反母趾は、遺伝する傾向が強いことが指摘されており、足の骨格構造や関節と骨の位置関係、動き方といった先天的なことが原因になるケースがあります。一方で、合わない靴による圧迫や体重の増加、筋力の低下、歩き方の癖などの後天的な原因もあるといわれています。ハイヒールを履く女性がなりやすいと聞いたことがあると思いますが、ハイヒールを使用しない子どもや男性の患者さんもいらっしゃいます。また、関節リウマチなどの全身に関わる疾患から外反母趾の症状が起こることもあります。
- Q外反母趾では、どのような検査や治療を行いますか?
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A
▲同院のインソールはすべて医師が型採りするフルオーダーメイド
まず足の形、姿勢、足の角度や関節の可動域などを調べます。フットプリントを使ったり、歩行時の姿を動画撮影したりすることもあります。これだけでも診断は可能なのですが、エックス線検査やエコーによる画像検査も行い、多角的に診断します。また、他の疾患リスクが考えられる場合は、血液検査やCTやMRIなどより細かな検査を実施します。痛みがある場合は、まず痛みを取り除くための治療を優先します。専用の医療用インソールを用いた装具療法や、歩き方やエクササイズの指導などの運動療法はもちろん、靴の選び方や履き方の指導だけで、快方に向かう可能性も考えられるんです。
- Qこちらでは手術もされていると伺いました。
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A
▲「足を専門的に診る医師」として下肢を専門的に診療している
すぐに手術を行うわけではなく、まずは負担の少ない治療法から開始し、それでも症状の改善を認めない場合などに手術治療の提案をしています。当院では、日帰り手術によって、できる限り生活のリズムや質を保ち、患者さんの日常を邪魔しないよう意識しています。負担の少ない局所麻酔を採用し、術後の痛みがある場合は痛み止めの処方に加え、装具でもフォローし、日常生活への影響を最低限に抑えることを心がけているんです。入院期間をなくして早期に通常の生活に戻すことで、筋力の低下を防ぐ狙いもあります。もちろん、手術に至る前に改善をめざすのがベターなので、患者さんには医療用インソールや靴などによる予防の重要性を伝えています。
- Q外反母趾を放置したらどうなるのでしょうか?
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A
▲足に関する悩みには幅広く対応している
外反母趾は進行する病気なので、放置するとじわじわと悪化します。「もう高齢だから」と受診を諦める方もいらっしゃいますが、症状の悪化により、歩いたり動いたりすることが減った結果、骨粗しょう症やサルコペニアになってしまうこともあります。変形が進行しバランスが取りにくくなると、転倒リスクも高まります。外反母趾は放置して自然に治ることはなく、悪化すると多様な影響が出てきます。早期の介入が理想的ですが、どの状態からでも適切な介入を行えば症状の改善が期待できますので、まずは気軽にご相談ください。