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大森 洋介 理事長の独自取材記事

かすがいクリニック

(箕面市/彩都西駅)

最終更新日:2024/07/08

大森洋介理事長 かすがいクリニック main

緑豊かな箕面市の粟生団地内に拠点を構える「かすがいクリニック」。団地中心部のバスターミナルに隣接し、自動車でのアクセスも便利な立地だ。これからの時代の要となる地域医療を追求する大森洋介理事長は、2018年から北摂エリア一円で訪問診療を展開してきた。「患者さんをいつも、そして最期まで責任を持って診る」という訪問診療の役割を果たすために、同院には異なる専門性を持つ複数の医師が在籍。多職種スタッフや地域の看護・介護職とともにチーム医療を展開するなど、充実した診療体制が整う。また一部の時間帯では、近隣の住民に向けた外来診療も行っている。今回は、大森理事長に診療の現状や訪問診療への思い、今後の展望などを詳しく聞いた。

(取材日2024年2月19日)

「点」ではなく「面」で、継続性のある訪問診療を実現

クリニック名の「かすがい」には、特別な思いがあるそうですね。

大森洋介理事長 かすがいクリニック1

ええ。当院は、大阪と兵庫に連なる北摂地域のほぼ全域で、24時間365日対応の訪問診療を行っています。訪問診療は地域で暮らす患者さんを中心に、そのご家族、地域の医療や看護・介護職、さらに行政などの多くの人のつながりの上に成り立ちます。ですから、人と人、人と地域をつなぐ「かすがい」のようなクリニックでありたいと考え名づけたんです。また、医療法人名は「ミナテラス」ですが、これには「みんなを照らす」「みんなが集うテラスになりたい」という願いを込めています。

なぜ訪問診療に力を入れるようになったのですか?

大学院生時代、開業医である父の診療を手伝った際に、長年来られていた患者さんがご高齢になり通院が徐々に難しくなる姿を目の当たりにしました。それから「長く頼ってくださった患者さんを最期まで診るのが、かかりつけ医の使命ではないのか」と強く思うように。その思いから、当院では訪問診療も手がけるようになりました。しかし、医師1人で行う訪問診療にはリスクもあります。例えばもし何らかの事情で医師が動けなくなれば、訪問診療の提供そのものが止まってしまいます。また1人ですと休みも取りにくく、年齢を重ねていった時に体力的に厳しくなってしまうでしょう。こうした問題から、質にこだわった医療を継続的に提供するには1人の「点」ではなく、複数の人間が「面」で支える仕組みが必要だと考えるようになったんです。

そのことから、こちらには多くの医師が勤務されているのですね。

大森洋介理事長 かすがいクリニック2

そうですね。緩和ケアや終末期医療の経験が豊富な院長をはじめ、訪問リハビリテーションチームをまとめる医師と緩和ケアチームを率いる医師がいて、相互に連携しています。さらに2023年には救急科での勤務経験のある医師が加わり、現在は私を含め6人の医師が訪問診療に対応。普段はそれぞれが主治医として患者さんのご自宅や施設に伺っています。そして各自が個別に診療するだけでなく、患者さんの情報を随時共有しながら診療にあたることを重視しているのです。他の医師と意見交換することで、幅広い視野に基づいた診断・治療につなげられます。また患者さんに専門性を要する病状が見られても、まず当院で可能な限りの対応を行えるメリットもあります。訪問診療を利用する患者さんにとって、慣れない病院まで移動して診療を受けるのは大きな負担でしょう。自宅に加え当院で専門的な診療が受けられることも、「面」で行う訪問診療のメリットだと思います。

話を深く聞き、適切な診断や患者の笑顔につなげる

こちらに在籍されているスタッフについても教えてください。

大森洋介理事長 かすがいクリニック3

当院には看護師や理学療法士、事務員など、多くのスタッフが在籍し医師を支えてくれています。在籍するスタッフの人数が多いと、「スタッフによって考え方や対応の質が異なるのではないか」と不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし当院のスタッフは、一人ひとりが「患者さんには最期も適切な医療を受けてほしい」「最期まで責任を持って看取りたい」「患者さんだけでなくご家族含めて支えたい」という思いを大切にしています。そしてこれらの思いを実現するために、自分には何ができるかを考えながら、日々の対応に努めてくれているのです。患者さんとご家族の安心につながったら幸いです。

大森理事長は、訪問診療を行う際にどのようなことを大事にされていますか?

訪問診療を利用される患者さんは高齢の方が中心で、持病で通院が難しかったり、病院での治療を終えて自宅に戻られたりした方が多いです。がん患者さんもいらっしゃいます。こうした方がなるべく病院に行かなくて済む医療の提供に努めています。ただ、訪問診療で用いる検査機器は限られているので、患者さんのお話や身体所見から情報をしっかりと得て、診断や予測をつける。そしてこの方にはどのタイミングでどんな治療が必要なのか、見通しを立てて診療することが大事だと感じています。例えば90歳を超えたがん患者さんに脂質異常症が見つかった場合、詳しい検査や治療を繰り返す必要はあるのか。その患者さんにとって「本当に良い医療」とは何かを常に考えるように心がけています。

患者さんとお会いする際に心がけていることもあれば、お聞かせください。

大森洋介理事長 かすがいクリニック4

訪問診療を始める際に、ある先生から「医療機関と自宅では、患者さんのお顔はまったく違うよ」と言われましたが、実際にその通りでした。初めて本当の笑顔にふれられていると感じますし、ご自宅だから話してくださるお気持ちもあります。それはご家族も同じでしょう。病院やクリニックは、本人だけで来て病気だけを治療する場になりがちです。一方訪問診療は、ご家族を含めて診ているという実感があります。今後も外来の対応だけでは知り得なかった患者さんやご家族の本心をじっくり聞き、受け止めようと思っています。

変化するニーズにも応え続けられるクリニックに

技術の進歩は、訪問診療の現場にも変化をもたらしているそうですね。

大森洋介理事長 かすがいクリニック5

そうですね。先ほど、訪問診療では検査手段が限られているとお話ししましたが、近年は持ち運べる小型で高性能の機器が普及しています。しかも患者さんの負担軽減にも配慮された機器なので、当院でも積極的に利用しています。適切に検査ができれば得られる情報は多く、診断の助けになっていると感じていますね。また、医師間の連絡にはコミュニケーションアプリを活用し、問題点の情報共有や夜間休日の申し送りなどを行っています。院外の医療機関や看護・福祉職などとは、独自に開発したアプリを使い連携を強めているんですよ。診療面では心不全治療や人工呼吸器でのケア、がんの緩和ケアなども在宅で行う時代に入っていて、病院と在宅とでのケアのレベルは、今後さらに近づいていくと思います。

超高齢社会の進行とともに、医療ニーズも刻々と変わっていきますね。

当医療法人では「地域を100年支える」という理念を掲げています。人生100年時代といわれる今、患者さんからすれば、ライフステージや健康状態、あるいは価値観の変化に応じて、医療に求めるものも変わっていくでしょう。また、医療を提供する側にとっても、100年の間には代替わりや継承、さらに社会情勢の変化に見舞われることもあります。そんな中にあっても、患者さんや地域をずっと支えられる継続性のある医療を提供していきたいと考えています。そのために必要になるのが、やはり「点」ではなく「面」で支える訪問診療でしょう。多様性のある組織を構築し、さまざまな医療ニーズに応えていきたいですね。

最後に、訪問診療を検討されている患者さんやご家族に向けてメッセージをお願いします。

大森洋介理事長 かすがいクリニック6

自宅に帰れるとなった際は「わがままと思われないか」などと心配せずに、あるがままのご自身らしく過ごしてほしいですね。訪問診療はそういった患者さんの希望をかなえたり、ご家族を支えたりするためにあると考えていますので、頼っていただけたら幸いです。また、技術の進歩や診療体制の充実によって、訪問診療でできることは急速に進歩してきていると感じています。「入院しなくて大丈夫?」という心配は必要のない時代に向かっているでしょう。時代が著しく変化している一方で、当院は時代を問わず「主治医として責任を持ち、最期の瞬間まで患者さんを診るクリニック」でありたいと考えています。ご関心があれば、ぜひ気軽にご相談ください。

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