なんとなく体調が悪いときは
保険適用の漢方薬でアプローチ
あいデンタルメディカルクリニック
(関市/関駅)
最終更新日:2025/04/15


- 保険診療
健康意識の高まりとともに、身近な存在になりつつある漢方薬。病気そのものではなく、体全体のバランスを整えることをめざす漢方治療は、西洋医学ではなかなか治療効果が見られない疾患や「未病」といわれる段階にある体調不良にも有用だという。漢方治療の診察には東洋医学の観点に基づいた分析が必要なため、専門知識が必要となる。日本東洋医学会漢方専門医の資格を持つ「あいデンタルメディカルクリニック」の高橋一浩院長は、漢方治療、栄養学、心理学に精通するドクター。0歳から100歳まで幅広い年齢層が通う同院において、患者一人ひとりに合わせた漢方治療に尽力している。「漢方薬を服用するだけではなく、生活習慣を見直すことも大切」と語る高橋院長に、漢方薬の特徴や診察方法、服用する際の注意点など話を聞いた。
(取材日2025年3月3日)
目次
漢方薬の適切な服用と生活習慣を整えることの両輪で、症状の改善をめざしていく
- Q漢方薬の特徴を教えてください。
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A
▲漢方について丁寧に教えてくれる院長
西洋医学は体の悪い部分に直接アプローチし、投薬や手術といった方法で原因を取り除くことをめざす医療です。一方で、東洋医学に基づく漢方治療は、不調に体の内側から根本的に対処していくことをめざします。漢方治療には約2000年の歴史があり、人々が健康のために飲み続けてきたのが漢方薬。植物や動物、鉱物などの成分を精製してできた生薬の組み合わせで成り立っています。そのため、原則として複数の成分からできているのが特徴で、合成された単一の成分で構成されている西洋薬とは異なります。現在、日本国内で認可され保険適用の漢方薬は約140種類。当院では、その中の約100種類を取り扱っていて、錠剤も選択可能です。
- Q漢方薬は、どのような症状や疾患に有用ですか?
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A
▲気になる些細な不調や症状について気軽に相談してほしい
東洋医学では不調を体全体のゆがみと捉え、複数の病気や慢性的な症状に働きかけることで正常な状態へと近づけることをめざします。西洋医学ではなかなか改善が見込めない疾患や、不定愁訴と呼ばれる不調の治療に適しており、免疫系、神経系、内分泌・ホルモン系の疾患に有用です。具体的には、頭痛やめまいのほか、メタボリック症候群、生活習慣病、心身症、自律神経失調症など、幅広い疾患や不調の改善に有用です。また、風邪や感染症といった急性疾患の治療に漢方薬を用いることもあります。西洋医学では具合が悪い箇所に応じてさまざまな診療科にかかる必要がありますが、漢方治療では科を超えて診るケースもあり、西洋薬との併用も可能です。
- Q漢方治療特有の診察方法はありますか?
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A
▲舌の様子のほか、おなかに触れて抵抗感や圧痛の有無なども確認
漢方治療では病名で判断するのではなく、患者さんの体質に合わせて処方します。皮膚や爪、舌の状態の観察、脈拍の計測、腹部の触診などを行い、全身の状態を総合的に診ます。その際、八鋼弁証(はっこうべんしょう)を用いて分析します。八鋼弁証とは、陰陽・虚実・表裏・寒熱の8つの対立概念に分類し、患者さんの状態を把握する方法です。陰証・陽証は体調や生命力の状態、虚証・実証は基礎的な体力や性質、表証・裏証は病気の進行状態、寒証・熱証は体の冷感、悪寒、熱感を示します。東洋医学では八鋼が偏りなくバランスを保っている状態が良いとされています。漢方治療ではこの方法によって導き出された結果に基づき、治療方針を決定します。
- Q市販の漢方薬を選ぶ場合、気をつけるべきポイントは?
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A
▲漢方薬は安全に使用するために医師への相談も大切である
ある程度、症状がはっきりしている場合には市販の漢方薬も役立ちます。例えば、気圧の変化で体調を崩しやすい人や、むくみやすい人には五苓散、月経異常には加味逍遥散、風邪の症状には葛根湯などです。ただし、注意点もあります。副作用が少ないといわれている漢方薬ですが、決してゼロではありません。例えば、芍薬甘草湯は筋肉がけいれんして痛むときに有用な漢方薬です。頓服薬として飲む分には良いのですが、飲み続けると血圧が上がるなどの副作用が起こり得るので注意が必要です。きちんと自分に合った漢方薬を服用したい場合は、季節や生活習慣といった包括的な視点が必要です。ぜひ漢方薬に詳しい医師に相談してください。
- Qこちらのクリニックの漢方治療の特徴は?
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A
▲全身の姿勢や呼吸の方法などさまざまな視点でアドバイスを行う
健康は、心・技・体が整ってこそ成り立つもの。当院では、単に症状を抑えるだけでなく、患者さんの生活背景や体質も踏まえ、西洋医学に加え、東洋医学や心理学など、あらゆる視点から一人ひとりに適した治療を提案しています。当院の薬局は漢方薬局で、一般的には手に入りにくい珍しい漢方薬も取りそろえているため、治療の選択肢が広がります。また、富山大学和漢医薬学総合研究所から専門家を招き、高度な知見も取り入れています。全国的に漢方専門医は少なく、特に岐阜県では希少とされているため、私と富山大学の先生で漢方専門医を育成していく構想もあります。この地域に、より質の高い漢方治療を提供していきたいですね。