高橋 一浩 院長の独自取材記事
あいデンタルメディカルクリニック
(関市/関駅)
最終更新日:2025/04/15

岐阜県百年公園から南西へ車で3分ほどの「医療法人JIONあいデンタルメディカルクリニック」は、自然を感じるのどかな住宅街にある。2016年に歯科医院としてスタートした同院は、内科や心療内科の診療も始め、2022年に院長として高橋一浩先生を迎えた。高橋院長は、不整脈や循環器の治療経験を多く積んでいる上に、心理学や漢方薬、栄養学の知識も豊富。西洋医学と東洋医学を織り交ぜて、本来人間が備えている自然治癒力の向上を促す治療を得意としている。「当院では投薬治療だけでなく、栄養、養生、心理の3つの面からもアプローチします」と語る高橋院長に、クリニックの特徴や、注力している治療などについて話を聞いた。
(取材日2025年3月3日)
西洋医学と東洋医学を織り交ぜ患者に適した治療を提供
先生のご経歴をお聞かせください。

岐阜大学医学部卒業後、埼玉県にある小児専門の医療機関の循環器科に勤務しました。当時は、主要都市にしか子ども専門の循環器内科がなかったのですが、地元の岐阜県で小児循環器内科を立ち上げるというお話があり、スタートアップに携わることに。その後、不整脈について学びたいと思い、東京女子医科大学病院へ。その頃は医療の発達により、従来は亡くなってしまうような重度の心疾患でも助かることが望めるケースが増えていたこともあり、自然と大人の患者さんも診るようになりました。この成人先天性心疾患に携わってから、ハーバード大学ボストン小児病院や沖縄県立南部医療センター・こども医療センターでも学ばせていただきました。現在も岐阜県総合医療センターで心疾患の患者さんを診療しています。
輝かしいご経歴がある中、なぜ地域のクリニックの院長に就任されたのでしょうか?
些細な巡り合わせのようなものです。大きな医療機関でできることと、地域のクリニックでできることは異なりますが、私はどちらもできますので、両立させたいという思いがありました。さらに、西洋医学と東洋医学の両方ができるかかりつけ医なら、より一人ひとりの患者さんに適した治療が提供できると考えていました。西洋医学だけだと薬の処方が中心となってしまい、東洋医学だけだと不安や不信感を抱く方もいらっしゃいます。どちらもできるのは私の強みですね。ただ、西洋医学は進化のスピードが速いですし、東洋医学というのはマニュアルがありません。毎日勉強させてもらっています。
クリニックの特徴を教えてください。

心と身体は切り離せないという「心身一如」の考えのもと、当院では総合的な医療を提供しています。日々の健康は口から始まるという視点から、歯科や内科・小児科・心療内科を備え、さらに漢方などの東洋医学も取り入れています。この4月からは漢方薬局が開設します。通常の医療機関にはない漢方も取り扱っているので、より治療の幅が広がると思います。また、一般的な医療モールはさまざまな診療科のクリニックが独立して成り立っていますが、当院では各科が連携し、患者さん一人ひとりに寄り添うことを大切にしています。私たちがめざすのは、単なる医療モールではなく、心と身体の健康を包括的に支える「医療ビレッジ」。どんなお悩みも安心して相談できる場として、地域の皆さんの健康を支えていきたいですね。
心理学などを用いて患者の気持ちに寄り添う
診療の際に心がけていることは?

余分な薬は出さずに、できるだけ人間が本来持つ自然治癒力によって良い方向へ促すことです。そのために、栄養や食事、漢方薬の力を借ります。まずは症状を西洋医学的に診断し、治療を考えます。しかし、薬だけを飲んでいても、体が栄養不足だと症状の改善を図ることは難しいですよね。だからこそ、薬だけに頼るのではなく、食事で栄養を取ることが大切なんです。不足している栄養があればサプリメントもお勧めしています。そして患者さんが話しやすい環境づくりも心がけています。私は心理学やカウンセリングを学んできましたし、話を聞くことにも慣れているので、患者さんにとって話しやすいのではないかと思います。体と心はつながっているので、ときには心のケアも必要です。どんな小さなことでもお話しいただきたいですね。
こちらのクリニックならではといえる治療はありますか?
不定愁訴と呼ばれるなかなか診断がつかない、めまいや頭痛などの不調をご存じでしょうか。もともと診ていた不整脈と自律神経が密接に関わっているため、この不定愁訴にも着目するようになりました。今では、この治療は私の得意分野ですね。当院では、まず西洋医学をもとに検査をして、原因がわかれば治療しますし、原因が明らかにならなくても、漢方薬や栄養を取ることで改善をめざします。西洋医学では、どうにもできないことも、漢方や心理学でアプローチできるケースがあります。東洋医学で変化がなかった場合は、再び検査をしたり、中核医療機関に紹介したりと、患者さんのお悩みをそのままにしておくことはありません。
生活習慣病の治療も得意とされているとお聞きしました。

近年、増えつつある動脈硬化予備軍の方たちを疾患になる前に、いかに良いほうへ導いていくかを考えています。まだ疾患になっていないけれど、一歩手前というケースも多いので、動脈硬化になる前や薬に頼る前に改善をめざします。もともと生活習慣病の治療にも携わってきたので、その経験を生かしています。例えば、タバコを吸っている人に「やめなさい」と言っても、「わかっているけどやめられない」というパターンがほとんど。そのような時にはアプローチを変えて、まずは患者さんの気持ちを受け入れ、時間をかけてカウンセリングをしながら行動変容を促す。一つの問題ばかりを見てしまうと視野が狭くなり、がんじがらめになって、悪循環に陥ることもありますからね。問題の周りからアプローチすることで、患者さんの行動が変わっていくことに期待をしています。
みんながハッピーな日本にしたい
発達障害の相談も多いそうですね。

発達障害というのは、脳の特性が違うというだけのこと。一人ひとり血液型が違うのと同じで、本来は良いも悪いもないんです。ただ、社会が健常者の価値観でつくられているので、特性が異なる子どもは生きづらさを感じてしまうと考えています。西洋医学では「子どもの問題」となり薬の処方が中心になりますが、東洋医学では家庭や学校を含めた「社会の問題」と捉え、さまざまな角度から総合的に診ていきます。私がこだわっているのは、子どもの考え方の癖を変えること。そのためには、食べる、寝る、動くといった日々の基本的な習慣が大切ですので、生活習慣を整えるというのが当院の診療のベースです。岐阜県には発達障害の対応を行っているクリニックが少ないこともあり、地域の中核病院からの紹介で来院される方もいらっしゃいます。臨床心理士を増員するなど体制も整えましたし、今後より注力していきたいことの一つです。
今後の展望をお聞かせください。
最終的な目標としては「日本の再生」をめざしています。そのためには、子どもから高齢者まで、みんなが生きがいを感じられる地域づくりをしていきたい。例えば、おじいちゃんやおばあちゃんが畑や田んぼを耕し、不登校の子どもたちが遊びに来る。そこで一緒に農作業をしながら、子どもに大切なことを伝え、不登校の高校生が不登校の小学生に勉強を教える。体力もつき、学びの場にもなる、そんな温かみのあるコミュニティーがあれば、誰もが「ここに居ていいんだ!」と思えるはず。そこに当院が携わり、心の悩みを抱える子どもが減っていくのが理想です。私一人では到底できることではありませんが、こうした輪が広がっていけば、日本はもっと元気になれると信じています。
読者へメッセージをお願いします。

先ほど発達障害についてお話ししましたが、カウンセリングでは、お子さんだけでなく親御さんのお悩み相談を受けることも多いんです。お子さん最優先で、自分のことがおろそかになっている方が多いので、親御さんもほぐしてあげたいです。お子さんの発達障害で悩んでいるご家庭は、まず親御さん自身がハッピーでないといけません。お子さんに一番近い親御さんがハッピーになれば、お子さんもハッピーになっていくもの。ですから、お子さんのお世話を頑張っている親御さんのことを周りの方がハッピーにしてあげてほしいですね。そして、お子さんの不登校などでお悩みの親御さんは一度相談に来てください。お子さんとの接し方が変わるきっかけを作ることで、良い方向へ向かえるようサポートさせていただきたいです。