高橋 一浩 院長の独自取材記事
あいデンタルメディカルクリニック
(関市/関駅)
最終更新日:2024/09/05
岐阜県百年公園から南西へ車で3分ほどの「医療法人JIONあいデンタルメディカルクリニック」は、自然を感じるのどかな関市山田の住宅街にある。2016年に歯科医院としてスタートした同院は、内科や心療内科の診療も始め、2022年に院長として高橋一浩先生を迎えた。高橋院長は、不整脈や循環器の治療経験を多く積んでいる上に、心理学や漢方薬、栄養学の知識も豊富。西洋医学と東洋医学を織り交ぜて、なるべく患者の自然治癒力を促すことをめざす治療を得意としている。「当クリニックでは投薬治療だけでなく、栄養、養生、心理の3つの面からもアプローチします」と語る高橋院長に、クリニックの強み、注力している治療などについて幅広く聞いた。
(取材日2023年2月13日)
西洋医学と東洋医学を織り交ぜ、患者に合った治療を
これまでのご経歴をお聞かせください。
最初は埼玉県にある子どもを専門とする医療機関の循環器科で勤務していました。その当時は、主要都市にしか子どもを専門として診る循環器内科がなかったのですが、地元の岐阜県でも小児循環器内科を立ち上げるお話があったので、埼玉から戻ってスタートアップに携わりました。その後は不整脈の勉強をしたいと思い、東京女子医科大学病院へ行きました。その頃には医療が発達し、昔は早くに亡くなってしまうような心疾患を患っていても助かるケースが増えてきたこともあって、私も不整脈をメインに診ながら、自然と成人の患者さんも診るようになっていったのです。この成人先天性心疾患を診るようになってから、ハーバード大学ボストン小児病院や沖縄県立南部医療・こども医療センターでも学び、今も岐阜県総合医療センターで、成人先天性心疾患の患者さんを診ています。
なぜ地域のクリニックの院長に就任されたのでしょうか?
このクリニックの院長に就任したのは、ささいなめぐり合わせみたいなものです。大きな医療機関でできることと、当クリニックのような地域のクリニックでできることは違いますが、私はどちらもできるので、両立させたいという思いがあります。実際は、四苦八苦しながら両立させようとしているところですが(笑)。あと、西洋医学と東洋医学の両方ができる地域のかかりつけ医なら、より患者さんに合った治療ができると考えました。西洋医学だけだと、薬を出して適切に飲んでいただくことがメインになり、また、東洋医学だけだと不安や不信感を抱く方もいるかもしれませんが、両方あることが当クリニックの良さになるといいなと思っています。
こちらのクリニックならではの治療はありますか?
不定愁訴と呼ばれるなかなか診断がつかない、めまいや頭痛などの不調をご存じでしょうか。私は、体の不調なのか、心に原因があるのかわからない不定愁訴の治療を得意としています。もともと診ていた不整脈と自律神経が密接に関わっているため、治療を続けるうちにこの不定愁訴にも着目するようになっていったのが始まりでした。当クリニックでは、まず西洋医学をもとに検査をして原因がわかれば治療を行いますし、原因が明らかにならなくても、漢方薬やきちんと栄養を取ることで体の調子を良くすることをめざします。西洋医学だけだとどうにもできないこともありますが、漢方薬と心理学でアプローチできる場合があります。東洋医学でも変化がなかった場合は、もう一度西洋医学的に検査をしたり、適宜中核医療機関に紹介したりと、患者さんの悩みをそのままにしておくことはしません。
心理学のテクニックで患者に寄り添ったカウンセリング
先生が治療において重視しているポイントを教えてください。
私が余分と判断した薬は出さずに、なるべく患者さんの自然治癒力によって良い方向へ持っていくよう促すことです。そのために、栄養や食事、漢方薬の力を借ります。患者さんが訴えている症状をまずは西洋医学的に診断し、治療を考えます。しかし、薬だけ飲んでいても栄養が足りていないと症状はなかなか改善しないと思います。薬だけではなく食事で栄養を取り、時にはサプリメントで補うことも大切です。当クリニックではサプリメントは取り扱っていませんが、勉強はしていますので「こういう栄養が入ったサプリメントを飲むと良いよ」とアドバイスさせてもらうこともあります。
こちらのクリニックの強みはどんなところだと思いますか?
私は心理学やカウンセリング、相手の話を聞くテクニックを学んでいて、話しやすい環境づくりを心がけています。私も年齢を重ねて丸くなってきましたし、話を聞くことにも慣れているので、患者さんにとっては話しやすいクリニックなのではないかと思っています。これまで、不整脈の治療に多く携わってきたのですが、子どもがめまいや自律神経失調で倒れた時は、心の病気が重なっている場合もありました。また、急に倒れて不整脈が原因かもしれないと来院された方も、検査していくと心のほうが原因だったということもあったのです。身体と心はつながっているので、時には心のケアも必要です。心理学を生かした話しやすい環境が強みですね。
発達障害の相談も先生が対応しているそうですね。
はい。最近、発達障害のお子さんとそのお母さんからの相談が増えています。例えば、発達障害の子どもが生きづらさを感じていて、学校へ行くとおなかが痛くなったり気持ち悪くなったりするといった相談もあります。このような場合は、心の問題と発達障害の問題が絡んでいたり、原因を診ていくと不定愁訴へつながっていく場合もあります。最初は、親御さんが「この子は困った子なんです」と相談に来られますが、実際にはお子さん本人も困っているのです。「子ども自身も困っている」という認識を持たないと、子どももお母さんも心のほうを病んでしまうので、しっかりお話を伺う必要があります。発達障害の治療をしているクリニックが少ないので、もっと注力していきたいと考えている治療の一つではありますが、実際にやろうとすると初診で1時間程度の診療時間を要するので、課題も多いですね。
未病を疾患にさせない生活習慣を伝えたい
患者さんと接する時はどんなことを大切にしていますか?
問題を問題としすぎず、基本は何でも受け入れて、まずは話してもらうことです。例えば、タバコを吸っている人にタバコをやめてほしいとして、「体に良くないからやめなさい」と言っても、だいたいの場合、わかっているけどやめられないパターンが多いです。そういう方には、アプローチの仕方を変えて、やめなさいと言うばかりではなく、まずは受け入れて時間をかけてカウンセリングしながら行動変容を促していきます。問題ばかりを見てしまうと、視野が狭くなり、がんじがらめになって、悪循環に陥ることもあります。「こちらのほうが良いですよ」と言って、すぐ解決するなら良いですが、繰り返してしまうときは問題の周りから動かしていくことで変わっていくこともあります。
今後の展望をお聞かせください。
近年、増えつつある動脈硬化予備軍の方たちを疾患になる前に、いかに良いほうへ導いていくかに今後は注力していきたいですね。まだ疾患になっていないけれど、一歩手前という方が多いので、動脈硬化になる前に投薬に頼らずに改善をめざしたいと考えています。食事や運動などの生活習慣を見直したり、サプリメントでサポートしたりすることも大切だと思いますね。もともと生活習慣病の治療にも携わってきたので、その経験を生かしていきたいです。
最後に読者へメッセージをお願いします。
先ほど発達障害のお話をさせていただきましたが、発達障害のご相談では、お子さんだけでなくお母さんのご相談も一緒に受けることも多いです。子どものことに一生懸命になり、ご自身のことがおろそかになっているお母さんが多いので、お母さん自身もほぐしてあげたいと考えています。お子さんの発達障害で悩んでいるご家庭には、まずお母さんにハッピーになってもらいたいと思っています。子どもに一番近いお母さんがハッピーになれば、子どももハッピーになっていくと思います。そして、お父さんにはぜひお母さんをハッピーにしてほしいですね。不登校のお子さんのことで悩んでいる場合も、お母さんが相談に来てくれたら、家での子どもとの接し方が変わって、子どもも良い方向へいくこともあると思いますよ。