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太田 健介 院長の独自取材記事

医療法人LIGARE血液内科太田クリニック・心斎橋

(大阪市中央区/心斎橋駅)

最終更新日:2023/06/14

太田健介院長 医療法人LIGARE血液内科太田クリニック・心斎橋 main

大阪メトロ御堂筋線・長堀鶴見緑地線の心斎橋駅から徒歩2分、長堀通に面したビルの5階にある「医療法人LIGARE血液内科太田クリニック・心斎橋」。院長の太田健介先生は、長く病院の血液内科に勤務し、他病院での血液内科の創設や骨髄移植をはじめ、豊富なキャリアを持っている。これまで病院でしか対応できなかった血液内科の診療を、患者に身近なクリニックで行うべきだと考えて開業したという。国内では珍しいという血液内科専門のクリニックで、さまざまな設備機材を備え、専門的な知識技能を持った医師、スタッフがチーム医療で診療にあたっている。太田院長にクリニック設立の思いや特色ある診療について話を聞いた。

(取材日2018年10月18日)

未開拓の領域にやりがいと可能性を感じた

医師をめざしたきっかけを教えてください。

太田健介院長 医療法人LIGARE血液内科太田クリニック・心斎橋1

中学生の頃には、もう医者になりたいと思っていました。天才外科医師を主人公にした漫画の影響もあるのかもしれません。成績がいいから医学部に入学するというのではなく、医学部に入るためには何がなんでも良い成績を取らなければならないという感じでしたね。もちろん、めざしていたのは外科医師です。ところが医大に入ってみると、体育会的な雰囲気の外科は自分には向いていないと気づいて、内科に方向転換しました。当時、母校には大規模な内科の教室があったのですが、臨床検査医学教室で扱っていることが面白いと感じて入局しました。

その教室では何に取り組んでいたのですか?

臨床検査をメインに、血液内科に関する領域も細々と行っていた教室でした。血液内科は血液の中の細胞の“がん”などを扱う診療科です。血液細胞はもともと全身を巡っているので手術で取り除くことはできず、必然的に薬などの内科的治療で治す必要があります。つまり、がんの内科的治療の先鋭的な診療科といえます。高度な知識や技術を要する専門性が高い領域であることや、若い患者さんが多く、真剣勝負的な診療を通してその方の人生を将来につなげていくことにやりがいを感じました。

血液内科はどのような疾患を診療対象としていますか?

太田健介院長 医療法人LIGARE血液内科太田クリニック・心斎橋2

血液の中には、白血球、赤血球、血小板という3つの血球成分があります。この血球成分の異常を取り扱うのは血液内科です。代表的な疾患として再生不良貧血などがあり、また、白血病、ML、多発性骨髄腫なども血液内科の治療領域に含まれます。白血球はばい菌などの外敵から体を守る、赤血球は全身に酸素や栄養を運ぶ、血小板は止血するという、それぞれ大事な役割を持っています。この3つの細胞成分が異常を来した時に、検査や治療を行うのが血液内科です。白血球がトラブルを起こすと免疫が低下して感染症にかかりやすくなり、腸内細菌が全身を回る敗血症など怖い病気の原因にもなります。赤血球に問題があると貧血が起こってさまざまな不調が現れ、血小板がきちんと働かないと歯磨きでの出血を来すなど、さまざまな症状が現れるようになります。検診などで、これらの数値の異常が見つかった場合、当クリニックで診断や治療が可能です。

大学病院に匹敵する設備と人材をそろえスタート

血液内科が扱う病気は病院で治療を受けるのが一般的ですね。

太田健介院長 医療法人LIGARE血液内科太田クリニック・心斎橋3

大学病院など大きな病院で治療を受けることが一般的です。それをクリニックで扱おうと考えた最大の理由は医師不足です。がんの患者さんは加速度的に増え、治療法も驚くほどのスピードで進化して、闘病期間が長くなる傾向があります。つまり、新しく受診される患者さんも、入院・継続受診される患者さんの数も増加しているのです。勤務していた病院では、12年間の在職期間で患者さんの数は10倍くらいになりました。しかし、医師の数はせいぜい2倍程度で、受け入れの限界を超えていました。また、他の診療科なら、手術などが済んで症状が安定してくると、地域のクリニックに治療を引き継げます。しかし、血液内科の場合は病気も治療法も特殊なので、クリニックに引き継いでもらうことができません。それなら、病院での治療を引き継ぐことができるクリニックをつくるべきだと思って開設を決心したのです。

開設にあたって重視されたことを聞かせてください。

大きな病院から小規模のクリニックへ移る場合、病院施設と比べた場合に設備レベルが不十分であれば、主治医も患者さんも不安を感じられると思いました。そのため、病院の外来に匹敵する機材設備を整え、大きな病院の血液内科での勤務歴があるスタッフをそろえました。場所も、母校と以前の勤務先病院との中間で、働き盛りも通いやすい心斎橋を選んで開業しました。血液内科は患者さんと主治医の結びつきが強く、僕自身も大学病院の時代から20〜30年も継続して診ている患者さんがたくさんおられます。また、日替わりで指導者クラスの先生方が当院にて、月曜から土曜まで毎日応援勤務に来ていただけているのも当院の特徴ではないでしょうか。専門的な知識、技術を持った先生方が、大規模病院レベルの設備環境によって行える治療を少しでも多くの患者さんに、より少ない待ち時間でご提供できればと思っております。

スタッフにも専門的な知識や技術が必要なのですね。

太田健介院長 医療法人LIGARE血液内科太田クリニック・心斎橋4

素晴らしい実績や人格の先生方に病院から応援で来ていただけたり、また大学から推薦され、知識・技術のレベルが高く、経験も豊富なスタッフばかりです。抗がん剤治療にあたれる日本看護協会がん化学療法看護認定看護師や、抗がん剤、免疫調整剤など複雑な処方の薬剤の調整経験が豊富な薬剤師が常駐し、臨床検査室も備えました。患者さんと接するクラーク(事務職員)は、診療を支えるとともに、病院とのスムーズな連携の実現に取り組んでいます。信頼できるスタッフがそろっていることで、外部から来られる先生方も良い環境で診療にあたっていただけると思います。また、規模の小さなクリニックなので、スタッフが患者さんの情報をしっかり共有しています。そのおかげで、スタッフ全員が患者さんの顔と名前を覚えていて、いつもと様子が違う時などにすぐお声がけできます。

血液内科のクリニックとして成功例をめざす

専門の領域以外にどんなことに興味を持っていますか?

太田健介院長 医療法人LIGARE血液内科太田クリニック・心斎橋5

大学時代は心理学に傾倒していました。スイスの心理学者で精神科医師でもあったユングの考え方に惹かれて、何十冊と本を読みました。ユングの心理学は宗教的な教えも含んでおり、医師として、また一個人としての死生観の一つの出発点にもなっています。現在も心理学には興味があり、この行き詰まった時代を解きほぐし、次の時代を考える際の新しい視点になると思っています。もちろん、専門的な仕事ではなく、あくまで自分の趣味の範囲内でのことですよ。

医師として喜びを感じるのはどんな時ですか?

「ここを受診して良かった」「先生に診てもらって良かった」と患者さんに言われるとやはりうれしいし、専門性の高い診療科なので達成感もあります。また、病気は嫌なことだけど「病気になって良かった」「病気にならなかった自分は考えられない」とおっしゃる方が結構おられます。病気になって、それまで考えなかったことを考え、出会うことがなかった人に出会えたからというのです。定期的な通院は大変だと思うのですが、それが一部の患者さんにとって唯一の外出の機会であったり、ご夫婦のかけがえのないデートの機会であったりするのです。そういう言葉を聞くと、医療は単に病気を診るだけではなく、患者さんから多くのことを学ばせていただき、患者さんの人生を含めて診させていただくことなのだと思います。

最後に、先生の目標を聞かせてください。

太田健介院長 医療法人LIGARE血液内科太田クリニック・心斎橋6

当院は、日本に数少ない血液内科専門のクリニックだと思います。だからこそ、しっかりとした設備と優れた人材がそろえば、大学病院でなくても高い専門医療が提供できるということを示したいと思っています。やっていけることがわかれば、同じようなクリニックが増えると思いますし、そうなれば患者さんはもちろん、医師や専門的な知識、技能を持つスタッフの幸せにつながると信じております。また、当院のシステムを用いれば消化器がん、呼吸器がんを治療する専門クリニックを造ることも可能ではないでしょうか。一般の病院やクリニックで血液の異常やリンパの腫れなどが見つかり、診断に悩んだり、大学病院に紹介するべきか迷ったりされる際には、専門クリニックとして一次スクリーニングに柔軟に対応します。今まで、大学病院の一部として機能していた血液内科領域におけるがん専門クリニックとしてのパイロットケースになりたいと思っております。

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