ほくろ除去のメリットとデメリット
治癒経過への十分な理解が重要
形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック
(岐阜市/西岐阜駅)
最終更新日:2023/09/14
- 保険診療
ほくろには、医学的には母斑細胞母斑もしくは色素性母斑という病名がある。見た目だけでは、ほくろと皮膚がんの区別はつきにくく、受診して正しい診断と治療を受けることが大切とのこと。また、ほくろがコンプレックスという人は、取り除くことで表情が明るくなり、肌がきれいに見え前向きになる、といったことも期待できるそうだ。今回は、ほくろ除去について、中島先生に詳しく解説してもらった。
(取材日2020年3月26日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qほくろの正体とは? 潜むリスクも教えてください。
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A
黒いメラニン色素を産生するメラノサイト系細胞である母斑細胞が増殖したもので、比較的小さければ「ほくろ」と呼ばれます。ほくろが年々増える、盛り上がる、色が抜けるといった急な変化は、皮膚がんの可能性もあるため、必要な場合は組織の一部を取り、皮膚生検を実施します。日光露出部以外に以前からあったほくろがすぐにがん化することは少ないですが、最近できたほくろで気になるものがあれば受診をお勧めします。
- Qほくろ除去の目的や方法にはどんなものがありますか?
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A
除去には、皮膚がん発見のための切除検査と、整容的観点の除去手術があります。除去法は、メスなどで母斑細胞を切り取る敵出手術と、炭酸ガスレーザーで蒸散して上から削り取る焼灼術の2つで、いずれも局所麻酔薬を患部に注射して行います。術後は、単純縫合を行うと線状の傷痕ができ、巾着縫合や焼灼術ではほくろが白い傷痕に置き換わるようなイメージです。痕が目立たないよう、ほくろの大きさや場所などを考慮し施術します。
- Qほくろ除去の前に知っておくべき注意点は何でしょうか?
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A
除去したほくろは元に戻りませんし、わずかながら傷痕が残ります。また、母斑細胞がミクロレベルで毛穴に残り、再発の原因になったり、みみず腫れのようなケロイドが生じたりすることもあります。赤みや黒ずみが消えるのに術後半年ほどかかり、不安に感じる方も少なくないです。当院では、術前に症例写真を見せながら治癒経過を説明し、メリットとデメリットにご納得いただいてから治療しています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診や診察でほくろの状態を確認し治療方針を決定
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問診で、ほくろの発生時期や経過などを確認。医師の診察ではダーモスコープという拡大鏡で良性・悪性を判別し、必要に応じて皮膚生検へ。除去が可能なら方法を選ぶ。同院では治癒経過の説明後、患者が同意書にサインすれば、当日に施術可能。
- 2手術室へ移動。患部への麻酔がなされる
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どの術式でも局所麻酔薬を患部に注射。麻酔時は若干痛みがあるが、術中・術後の痛みはほとんどないという。同院では、どうしても痛みが心配という場合、患部をアイスパックで冷やしたり、看護師が体をなでたりして痛みが和らぐよう配慮している。
- 3患者ごとに適した除去方法を実施する
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ほくろの部位や大きさ、患者の希望が考慮され、摘出手術またはレーザー焼灼術どちらか適した方法が選択・適応される。小さなほくろの治療時間は、レーザーによる焼灼術の場合は1~2分ほど、摘出手術なら5分ほどと、短時間で施術は終了。
- 4術後の注意点の説明を受け、1週間後に状態を確認
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術後のケアや注意点の説明を聞く。創傷被覆材を患者が貼り替える湿潤療法で、1~2週間で手術の傷はほぼ治るそうだ。術後、翌日からシャワーやメイクが可能。1週間後に受診し、傷の状態や創傷被覆材によるかぶれを確認。縫合した場合は、抜糸も行なう。
- 5自宅でのセルフケアを継続、1ヵ月後に通院し経過観察
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傷が治ったら肌色の紙テープを小さくカットし、患部に貼りセルフケアを続ける。赤みが強く出やすい1ヵ月後に通院し、再発やケロイド化していないかが確認される。約半年で赤みが引き、傷も目立ちにくくなるそうだが、何か不安があれば医師に相談する。