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田邊 陽 院長の独自取材記事

東急プラザ酒井歯科室

(渋谷区/渋谷駅)

最終更新日:2023/10/13

田邊陽院長 東急プラザ酒井歯科室 main

渋谷駅西口の正面に立つ、高層ビル8階にあるのが「東急プラザ酒井歯科室」。ここは、1930年に開業したという歴史ある歯科医院だ。現在は3代目となる田邊陽先生が院長を担い、自身が得意とする口腔外科をはじめ、一般歯科の治療、審美面に配慮した治療などに幅広く応じている。常に相手への気遣いを忘れず、時にユーモアを織り交ぜながら、悠然と語る田邊院長。一方で、診療への想いに話題が移ると、その口調からは実直さがにじみ、深い信念と熱意が感じられた。今回は田邊院長の患者との接し方や、自身の診療哲学に迫る。

(取材日2023年5月17日)

患者とは「心のつながり」を。診療には「責任」を

こちらは、歴史のあるクリニックだそうですね。

田邊陽院長 東急プラザ酒井歯科室1

はい。ここはもともと妻の祖父が開業した歯科医院でして、義父の次に私が継承しました。もともと私の実父も静岡で歯科医院をやっていたので、歯科医師は感覚的には家業なんですよ。私は縁あって今ここで診療をしていますが、当院は90年以上、地域の歯科医療を支えてきた場所ですから、続けることの大切さや責任というのは感じていますね。医療というのは、新しいものが必ずしも良いとは限りませんし、長く患者さんに受け入れていただいているからには、基本路線を変えることなく、患者さんに対して丁寧に、誠意ある診療スタイルを貫いていけたらと思っています。

院内が白で統一されていて、とても清潔感がありますね。

私にとって医療機関のイメージは「白」なんですよ。歯科医院は歯科医院らしいのが一番ですし、前院長である義父から「赤は血を連想するから医院に赤いものを置いては駄目」とも言われていましたので、その教えを受け継ぐ意味でも院内を白に統一しました。服装に関しても、患者さんをきちんとした姿でお迎えしたいという気持ちがあるので、白くて襟のある診療着を着るようにしています。本当はネクタイをして診療をしようかと思ったくらいなのですが、今どきはスクラブで診療をされる先生もいる時代ですので、これに落ち着きました。(笑)

どんな歯科医院をめざしているのですか?

田邊陽院長 東急プラザ酒井歯科室2

都心というと、人と人との関係が希薄になりがちだとよく言われますが、だからこそ渋谷駅の真正面で、人情味あふれる「田舎の歯科医院」でありたいと思っています。私自身も地方出身の田舎者ですから、都会的な感覚よりもアットホームな雰囲気の方がしっくりくるんですよ。実際、県外の山奥から来られる患者さんが、「うちの庭で採れたから」と柚子を持ってきてくださったり、「玉ねぎ狩りに行って来たから」と袋いっぱいに詰め込んだ玉ねぎを譲ってくださったりすることもあります。そうした患者さんの温かさにふれた日には、やっぱり歯科医師をしていて良かったな、と思いますよね。

一医療人として、自分の診療にうそをつかない

先生は、患者さんとの心のつながりを大切にされているのですね。

田邊陽院長 東急プラザ酒井歯科室3

そうですね。ただ、私の言う「田舎」にはもう一つ意味があります。例えば都心であれば、合わない歯科医院があっても、別の場所に通えますよね。でも、田舎は歯科医院の数が限られています。中には、決まった場所にしか通えない人もいるでしょう。そんな中、もし治療に不備があれば、患者さんは行き場を失ってしまいますよね。だからこそ「田舎の歯科医院」は、自分の診療に責任を持つべきだと思うんです。静岡で歯科医師をしていた父からも、仕事に対する姿勢であったり理念であったり、昔からいろいろと話を聞くことがありました。それも今の診療スタイルに影響を与えていると思います。よく人との出会いは一期一会と言いますよね。でも、できることなら患者さんとは一期一会で終わりたくないんです。その後も受診を続けるかを選ぶのは患者さんですが、一度診療をしたのなら、自分が生きている限り責任を持って診続けていきたい。そんな気持ちでやっています。

診療の際に、心がけていることはどんなことですか?

患者さんに、そして自分の診療にうそをつかないことですね。その場しのぎの治療ではなく、5年後、10年後に歯を失うことがないよう、患者さん一人ひとりと向き合って一番良いと思える治療を提供したいと考えています。そのためには、患者さんの口腔内が先々どう悪くなる可能性があるのかといったことや、選んだ治療法のメリット・デメリットを包み隠さずお話しすることが大切です。もしご希望の治療が難しい場合は、その理由を説明してご理解いただくようにしていますし、万が一、再治療が必要となっても都合のいいうそをつくことなく正直にお伝えしています。また、クリニック側の都合でむやみに自由診療を勧めたり、保険診療を軽視したりするのも違うと思うんです。あくまで大切なのは、目の前の患者さんにとってどんな治療が相応しいかを追求すること。それが一医療人のとるべき行動であり、私のプライドです。

院長に就任されて17年ですが、長く通う患者さんも多いですか?

田邊陽院長 東急プラザ酒井歯科室4

ええ。以前、千代田区霞が関で10年ほど働いていましたが、その頃からの患者さんもたくさんいらっしゃいますよ。霞が関は官庁街ですから、その時は、社会的にエリートと呼ばれるような方も多く受診されていました。時には、とことんまで納得のいく説明を求められることもありましたが、歯科のプロとして真摯に対応することで、しだいに頼ってくださる方が増えていったのを今も覚えています。その時学んだのは、世間的に「先生」と呼ばれる歯科医師だからといって、決して偉いわけではないということです。大切なのは、私が患者さんのお力になれるのかどうか。患者さんと歯科医師の立場に上下はなく、お互い尊重し合える関係であるべきだと思うんです。患者さんは、歯科のプロによる意見や技術を求めて来られるわけですから、こちらもそれに応えられるよう力を尽くす……。そうやって自分の診療に自信を持って、患者さんと向き合うことが大事なんだと思います。

「お役に立てれば幸いです」の精神で

スタッフさんの教育で、工夫されていることはありますか?

田邊陽院長 東急プラザ酒井歯科室5

みんながそれぞれの立場で、患者さんから感謝していただけるような仕事に徹してほしいと伝えています。もちろん押しつけになってはいけませんし、本当に患者さんのためになっているか判断することは難しいのですが、例えば私なら患者さんの恐怖心を取り除くことに努めています。よく歯科恐怖症の方には笑気麻酔をすることがありますが、当院ではできる限り使用せず、治療中の状況を丁寧に口に出してお伝えすることで安心していただくようにしているんです。こうして、もし恐怖心を克服していければ、今まで避けていた治療を受けることだって可能になるかもしれませんからね。もちろん、誰しも歯の治療というのは不安になりますから、なるべく苦痛を少なくして差し上げたいですし、くすっと笑ってしまうような言葉をかけることも大切かな、と思います。「さあ今日は、患者さんをどうやって笑わせて不安を取り除こうか」。そんなことばかり考えていますよ。(笑)

いつもお忙しいと思いますが、余暇はどうお過ごしですか?

私はアウトドア派なので、以前はキャンプに行ったりカヌーをしたりしていましたね。けれど、今は連休があまりありませんので、もっぱらゴルフです。あとは、歯科医師仲間とバンドを組んでいまして、年に1度歯科医師会のライブや小さいライブハウスで演奏させてもらうこともありますよ。自宅に電子ドラムを置いて練習しているのですが、気がついたら私より高校3年生の息子の方がうまくなっていたのには参りました。バンドのメンバーは年上が多く、演奏する曲もリアルタイムでは聴けなかった1970年代のロックですが、楽しいですしリフレッシュになりますね。

最後に今後の展望をお聞かせください。

田邊陽院長 東急プラザ酒井歯科室6

これからも、多くの方のお役に立ちたいというのが一番ですね。少し前の映画になりますが、家事ロボットが主人公の作品があったんです。その中でロボットが繰り返し「お役に立てれば幸いです」と言うのですが、その言葉がとても気に入っているんですよ。なので、患者さんに「ありがとうございます」と言われた時などは、私も「いやいや、お役に立てれば幸いです」といつも返しています。あとは祖父や父、親戚や兄弟も医師や歯科医師が多いので、私も一次医療機関の役目を全うしたいという思いが強いです。口腔外科の出身ですから、命に関わる口腔がんも見逃したくないですね。矯正治療以外とはなりますが、皆さんのお口の悩みの受け皿として、見る目と物を言える知識をしっかりと蓄えながら診療を続けていきたいと思います。

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