循環器内科医による生活習慣病管理で
心血管疾患の防止を図る
前羽クリニック
(茨木市/茨木駅)
最終更新日:2024/11/28


- 保険診療
検査で異常値を指摘されたものの、その病態について理解が及ばず放置している人が多い生活習慣病。高血圧症や脂質異常症、糖尿病がその代表格だが、自覚症状がほとんどないことから「大丈夫だろう」「薬は飲みたくない」と考えるのも無理はないのかもしれない。「一方で、生活習慣病は心血管疾患を引き起こすリスクであり、放置すれば当然心血管疾患は発症しやすくなります。今、症状がなくてもその先の命と健康のリスクを見据えた治療をすることが大切です」と語る、「前羽クリニック」の前羽宏史院長。循環器内科を専門に研鑽を積み、実際に多くの心血管疾患患者の診療を通して体得した生活習慣病の管理・治療の大切さについて、詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2024年10月7日)
目次
生活習慣病は命と健康のリスク因子。循環器内科で先を見据えた管理・治療を
- Q生活習慣病とはどのような病気ですか?
-
A
▲生活習慣病の放置は命や健康を脅かす
生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、発症・進行する疾患の総称です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病が有名で、ご自身はもちろん、友人や親族に健康診断で指摘されたことがある人がいるのではないかと思います。しかし、生活習慣病は自覚症状がほとんどないため、指摘されても治療せず放置していたり、そもそも発症していることに気づいていなかったりするケースが少なくありません。自然に治ることはなく、治療をせずに放置して病状が進行すれば心臓や血管、脳にじわじわとダメージを与え続けるため、心筋梗塞、弁膜症、心不全、脳卒中など、命や健康に関わる重篤な疾患の発症リスクになります。
- Q生活習慣病であると診断される具体的な基準はありますか?
-
A
▲自覚症状のない初期から治療を始める大切さを話す前羽院長
初期には自覚症状がないため、生活習慣病の診断は検査結果をもとに行います。血圧は、診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上であれば「高血圧」と診断されます。脂質異常症は、空腹時採血でLDLコレステロール140ml/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満、中性脂肪(TG)150mg/dL以上が目安です。糖尿病は、血糖値の検査結果が朝食前の空腹時126mg/dL以上、食後2時間200mg/dL以上、またはヘモグロビンA1C検査結果6.5%以上の場合に診断されます。これらの数値は健康な人々の検査結果をもとに算出したもの。全国一律で同じ基準です。
- Q生活習慣病の疑いがあるときには何科を受診すれば良いですか?
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A
▲循環器内科を標榜し、循環器疾患の発症リスクの低減をめざす
生活習慣病の可能性を指摘されたら、できれば循環器内科を受診していただきたいと思います。なぜなら、生活習慣病管理の最終目標は、心不全、心筋梗塞、脳梗塞を始めとした心血管疾患の発症を予防し、健康寿命、生命予後を改善することであり、心血管疾患を扱うスペシャリストは循環器内科医だからです。私は日本循環器学会循環器専門医として多くの心血管疾患患者さんの治療に携わり、その怖さを実感してきました。そのため良好な健康寿命や生命予後をめざすのであれば、そもそも心血管疾患自体を発症させないこと、そのためには危険因子となる生活習慣病の適切な管理が最も大切です。私は常にそのことを意識しながら日々の診療を行っています。
- Qこちらではどのように生活習慣病の治療を行っていますか?
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A
▲循環器内科だからこそできる治療について話す前羽先生
繰り返しになりますが、心血管疾患を発症させず、健康寿命、生命予後を改善させることが生活習慣病管理の最終目標になります。そのためには、生活習慣病について各々ガイドラインに定められた管理目標値を順守することが大切です。せっかく内服薬を投与していても、管理目標値に到達していなければ、心血管疾患発症抑制効果が乏しいことは証明されています。一方で、患者さんご自身が管理目標値を知らない、もしくは誤った情報に基づき異なる管理目標値をめざして治療を継続されている状況をよく見かけます。これでは治療の恩恵を受けることは難しいため、まずは、患者さんに正しい管理目標値を知っていただくよう説明を心がけています。
- Q循環器疾患に対する治療の進め方はいかがでしょうか?
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A
▲循環器疾患治療の専門家だからこそできる治療を行う
心血管疾患は心不全、虚血性心疾患、心筋症、弁膜症、不整脈などいろいろありますが、どの疾患もとにかく早期発見、早期治療に尽きると思います。早期発見のきっかけとなる聴診は毎回欠かさず行い、また、病態を評価するにあたり、私の専門である心臓超音波検査を積極的に行うようにしています。すでに心血管疾患で治療されている方には、ガイドラインに基づいた標準的な治療を心がけるとともに、可能な限り学術集会、医学講演会、医学論文等からも新しい知見を入手し、良いものは取り入れるよう努めています。一方で高度な画像検査、カテーテル治療、外科手術が必要な場合は、タイミングを逸することなく、高度医療機関に紹介しています。