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井上 雄一 先生の独自取材記事

睡眠総合ケアクリニック代々木

(渋谷区/代々木八幡駅)

最終更新日:2019/08/28

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睡眠障害を専門に検査・診断・治療を行う「睡眠総合ケアクリニック代々木」は、2018年5月に代々木公園駅・代々木八幡駅からほど近い地に移転し、これまでの第一・第二クリニックを統合した新たな装いとなった。同院は睡眠時無呼吸症をはじめとするあらゆる睡眠障害に対し、内科、精神科、呼吸器内科、循環器内科、神経内科、耳鼻咽喉科の医師や、歯科医師、臨床心理士などが連携して専門的な治療を行っている。過眠症など、一般的なクリニックでは診断が困難な病気の治療も受けられることから、予約満員の状況が続いているという。今回は睡眠障害診断・治療の専門家である井上雄一理事長に、クリニックの特徴や睡眠障害の知られざる実態などについて、詳しく聞いた。
(取材日2012年4月4日、更新日2018年6月8日)

90種類にも及ぶ睡眠障害をトータルでケアする総合クリニック

こちらのクリニックの特徴を教えてください。

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睡眠障害は多岐にわたり、睡眠障害国際分類では約90種類に分類されます。睡眠障害に至る原因には、いろいろな要素が絡んでおり、単科で診察・治療することが難しい病気だと言えます。当クリニックは内科、精神科、呼吸器内科、循環器内科、神経内科、耳鼻咽喉科、歯科、臨床心理士など、睡眠障害の原因となる疾患に対応するプロフェッショナルが一堂に会し、連携を取りながら患者さんの治療にあたっています。あらゆる可能性を考慮し、その人に合った最善の治療法が見つかるまで、さまざまな方向からアプローチができるのが特徴です。ここは大学病院のような縦割り組織ではないので、各科の連携がよりスムーズです。医師および臨床心理士はすべて睡眠障害の専門知識をもったプロですから、1つの病院で睡眠障害に特化した正確な検査・診断を受けていただくことができることは、患者さんにとっては大きなメリットです。

どのような患者が来院されるのですか?

睡眠障害というと不眠症や睡眠時無呼吸症候群を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、当クリニックに来られる患者さんは、これらだけでなく一般的なクリニックや精神科・神経内科では対応しきれない様々な睡眠障害を抱えておられる方が多く、大学病院から紹介されるケースもあります。中にはテレビ放送や新聞・雑誌の記事で当クリニックを知り、遠方であっても通院なさる方もいらっしゃいます。ナルコレプシーをはじめとする中枢性過眠症で治療を受ける方も多いですね。このほかにも、最近10〜20代の若者に増えている睡眠・覚醒の時間が遅れていく「睡眠相後退症候群」や、50歳以降の男性でレム睡眠の中に激しい寝言や寝ボケなどを生じる「レム睡眠行動障害」などでお悩みの方も多いですね。夜寝床の中で、足を中心にムズムズするような不快な感覚が生じ、じっとしていられなくなる「むずむず足症候群」などは、男性より女性に多い病気です。また、子どものいびきや睡眠時無呼吸、日中の眠気などのご相談に親子で来られる方など、年齢層は実にさまざまです。

予約すればだれでも診ていただけるのですか?

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はい。事前にお電話で予約していただければ、どなたでも受診していただけます。予約の段階である程度どのような症状なのかをお伺いして、当院であらかじめ担当科を分類しておきます。また、事前にお送りするアンケートの結果と問診を参考に、睡眠時無呼吸症候群、過眠症、レストレスレッグス症候群、睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害など)、不眠症、概日リズム睡眠障害など、大まかな分類を行います。そうすることで、こちらに来られたときに、専門の医師にすぐにかかっていただくことができ、時間を有効活用することができます。

カウンセラーによる認知行動療法など治療法は多種多様

最近増えている傾向などはありますか?

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10〜20代に多い傾向がありますが、夜寝る時間が極端に遅くなり、その結果朝起きることができず、学校や職場に遅刻するという「睡眠相後退症候群」にお悩みの方が増えています。ついつい夜更かしして、体内時計と睡眠時間帯との同調不良が生じるものです。レム睡眠行動障害は、50歳以上の男性に多くみられる病気です。夢の内容と同じように体が動き、時には隣で寝ているパートナーを殴るような暴力的な行為、どなる・叫ぶような大きな寝言が毎晩続く、とても厄介な病気なのです。本人がこの病気を自覚するのは難しく、一緒に寝ている家族の気づきが、この病気の発見につながります。

薬に頼らない認知行動療法による治療もできるのですね。

不眠症と概日リズム睡眠障害の方を対象に、臨床心理士によるカウンセリングを行っています。「睡眠薬を止めたい」「睡眠薬は飲みたくない」という方には、おすすめの治療法です。認知行動療法とは個人の生活習慣や考え方に焦点を当て、睡眠前の不安や緊張を軽減する方法です。認知行動療法を行うと、快眠を阻害するような生活習慣や体の緊張、考え事が変化し、熟眠できるようになります。また、将来似たような問題に対しても自分の力で適切に対処することができるようになります。「朝起きられずに仕事や学校に遅刻してしまう」「昼夜逆転してしまっている」ことにお悩みの方は、リズム障害カウンセリングがお勧めです。対処方法を身につけることで、お薬の服用を徐々に減らしていくこともできます。いずれもカウンセラーと相談しながら実践し、自分にあった対処法を見つけていきます。将来睡眠障害にならないためには、小さい頃から規則正しい生活をすることが何よりも大切です。遅寝遅起きの習慣がついてしまうと、体内時計がずれやすくなり概日リズム睡眠障害の原因となりますので、親の都合で夜中まで外出したり、夜更かしさせないよう配慮してあげてください。

小児の睡眠障害についてどのような原因が考えられますか?

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小児の場合は、扁桃肥大が原因となるケースが多いようです。また、親が無呼吸症候群だと、その子どもも無呼吸症候群になる可能性があります。これは、親子は顔や声まで似ているように、のどの形や骨格が似ていることが原因です。子どものいびきや無呼吸は日中の眠気だけでなく、成長に悪影響を及ぼしたり、落ち着きが無くなったり、成績の不振につながることがあります。原因が扁桃腺肥大であれば、耳鼻科による手術が有効です。ほかにも、下顎が小さい場合にもいびきや無呼吸のリスクが高まります。小児のいびき・無呼吸は、歯科矯正治療が効果的な可能性があります。当院には歯科医が常駐しており、医師と連携した治療を行っています。

睡眠障害を正しく理解してもらうために、地域啓発活動にも力を注ぎたい

このような専門医院を開院しようと思われたのはなぜですか?

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長年睡眠障害の専門医として治療・研究に携わってきましたが、睡眠障害治療を専門的に行う医療機関は、日本にはほとんどありませんでした。先ほども申し上げた通り、睡眠障害は単科で診察・治療することが非常に難しい病気です。約90種類にも及ぶ睡眠障害のすべてをカバーするには、専門的な知識と科を越えた連携が必要です。そこで、睡眠障害の原因となる疾患に対応するプロフェッショナルが集まり、総合的な治療を提供できる施設を作ろうと考え、2003年5月に開院しました。この10年の間に睡眠障害への関心はかなり高まり、認知度も上がりました。しかし、治療が必要な患者のうち、実際に治療を受けているのは約1割というのが実態です。今後は睡眠障害を正しく知っていただくための地域啓発活動などにも、さらに力を入れていきたいですね。今年は睡眠障害に関する市民講座と保健師さんへのセミナーを開催する予定です。また、睡眠のメカニズム、病気の原因解明をはじめ、新たな治療法の開発にも促進していきたいと考えています。

休日はどのように過ごされていますか?

論文を書いていることが多いですね。論文を書いていると、休憩がてらインターネットを覗いては、大好きなCDをついつい購入してしまうんです(笑)。昔から音楽鑑賞が趣味で、CDは約4000枚所有しています。ネットショッピングは便利ですから、一気に10枚ぐらい大人買いすることもあります。ジャズ、クラシック、ロックとジャンルはかなり幅広いです。中でも一番のお気に入りはジャズピアニストのビル・エバンスですね。スキーも好きですし、昔は海や山にもよく行きましたよ。最近は忙しくてなかなか行けないのですが、水泳をしたりガーデニングをしたりして、気分転換をしています。

読者にメッセージをお願いします。

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睡眠時無呼吸症候群は肥満の男性がかかる病気というイメージがあるかもしれませんが、日本人の場合は患者さんの3〜4割は太っていないのです。やせ形の方や女性やお子さんも、決して他人事ではありません。小さいあごや細あごの方も要注意です。自覚症状がなく、病気だと気づくきっかけがないだけで、治療が必要な潜在患者は世の中にたくさんいらっしゃいます。夜間に十分睡眠をとっても昼間に強い眠気が残る過眠症も、専門的な治療が必要な睡眠障害の一つです。睡眠時無呼吸症候群などに比べて認知度が低いため、「単なるなまけ病」と周囲の厳しい目にさらされ、辛い思いをされる方も多いのです。病気とわからず、7〜8年も悩んでいる方も少なくありません。読者の皆さんには睡眠障害を決して放置してはいけないと、強くお伝えしたいですね。自分で克服できない時は、医者の門を叩くべきだと思います。当院は睡眠健康事業部において、疑いのある疾患の診断に必要な検査機器を貸し出し、自宅で簡単にできる睡眠検診も実施しています。睡眠に関して少しでも心配なことがあれば、気軽にご相談ください。

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