松葉 悠子 院長の独自取材記事
勝どきウィメンズクリニック
(中央区/勝どき駅)
最終更新日:2023/11/14
約15年にわたり地域の女性を支えてきたレディースクリニックを2015年に松葉悠子院長が引き継いだのが「勝どきウィメンズクリニック」だ。都営大江戸線・勝どき駅から徒歩1分とアクセス良好な場所にある。松葉院長は東京大学医学部附属病院や日立総合病院、東京都立豊島病院、愛育病院など大規模病院での勤務経験を持つ。母校のお茶の水女子大学附属高等学校でジェンダー教育を学び、女性活躍が社会全体の発展につながると信じ、診療のみならず性教育講演なども行っている。また、時代のニーズを積極的に取り入れるため日々研鑽しており、院内の設備面ではウェブ問診システムを導入。来院前に症状や悩みを深く把握した上で診療に臨んでいる。そんな常に進歩し続ける松葉院長に、診療におけるモットーや診療方針などについて詳しく語ってもらった。
(取材日2022年3月8日)
月経困難症から不妊症、更年期まで親身になって診療
こちらにはどんな患者さんが来院されますか?
幼児からご高齢の方まで、幅広い世代の女性が受診されています。妊婦さんは全体の3分の1ぐらいでしょうか。勝どきにはオフィスも多いので、周辺にお勤めの方ががん検診で来院されることもあります。ここ数年で増えてきたのは月経困難症や不正出血といった、生理の異常を訴える患者さんです。以前は病気だと思わずに我慢していた女性が多かったのですが、婦人科領域で啓発が行われたのと、薬の種類が増えたおかげで治療しやすくなったことから、受診率の増加に影響したのだと思います。生理の異常は子宮内膜症や子宮筋腫、不妊症などの病気につながることもありますが、早めに介入すれば予防につながることが見込めるので、積極的に治療を受けていただければ幸いです。また最近は、更年期障害で悩まれる方の受診も増えていますね。症状に合わせた治療を提案させていただきますので、気軽に相談しに来てください。
診察におけるモットーを教えてください。
産婦人科には妊婦さんだけでなく、不妊症や体の不調を訴える患者さんなど、さまざまな悩みを抱えた方が来院します。ですから、まずはできる限り患者さんの話を聞くようにしていますね。そして治療方針を提案させていただく際は、患者さんの希望と医学的見地との両立を図っていくことを心がけています。例えば、治療でピルを服用したほうが良いけれど患者さんが望まないといった場合。なぜ服用したほうが良いのか、服用によってどんな効果が望めて、どんな副作用が考えられるのかを、患者さんが理解して納得していただくまでお話しするようにしています。また、過多月経や月経困難症に悩む方には子宮内黄体ホルモン放出システムも有用です。ピルも含め、私自身が経験者として、患者さんの質問にお答えできるでしょう。些細なことでも大丈夫です。気になることがあれば、何でもお聞きください。
ウェブ問診システムにはこだわられたそうですね。
当院のホームページから診察予約を取ると、来院前にメールで、主訴や症状を入力できるウェブ問診票が患者さんに届くようになっています。このウェブ問診は質問に答えていくと、回答の内容に応じて個別に質問が変わっていくという画期的なシステムなんです。このシステムを導入したことによって、診察前に患者さんの症状や受診理由をより詳しく、より深く把握することができるようになりました。また、問診票の最後には自由に書き込める欄もあるので、患者さんの言い忘れ・伝え忘れ防止にもつながっているでしょう。初診の方はもちろん、再診の方や中期の妊婦さん、更年期障害の相談をしたい方など、多くの方に活用していただいています。
地域のニーズに合わせたシステムや診療体制を導入
松葉院長が注力されているエコー検査の重要性を教えてください。
エコー検査は、胎児に先天性の心臓疾患など大きな病気がないかを事前に確認するのに有用だと考えています。胎児の状態がわかれば、予定している病院でそのままお産をしても良いレベルの病気なのか、専門性が高い医師が立ち会わなければならないのかなども判断できますからね。妊婦さんにとっても胎児にとっても安全なお産をめざすなら、エコー検査は一度の妊娠につき数回は受けていただくことを推奨しています。
こちらが対応しているセミオープンシステムとはどんなものですか?
セミオープンシステムとは、順調であれば妊娠32週までの健診は地域のクリニックで行い、出産は設備の整った病院でするというもの。この地域にもニーズがあると思い、当院もこの体制を導入したのです。大学病院に勤務していた時、順調な妊婦さんも病気を抱える患者さんも受け入れてしまい現場は限界になり、患者さんも病院まで通う負担に加えて待ち時間が長くストレスが大きい状況を目の当たりにしてきました。そんな状況を解消するための手段としても、セミオープンシステムは有用だと考えています。またセミオープンシステムを実現するには、病院とクリニックの間での密な連携が必須です。ですからたとえ妊娠32週より前に問題が起きたとしても、迅速に病院に連絡できるということ。さらにクリニックでの健診なら毎回同じ医師が担当する可能性が高いというのも、大きな安心材料になると思います。
こちらの診療体制について教えてください。
開業当初、医師は私1人でしたが、現在は3人体制で診療に対応しています。東京大学医学部附属病院にも在籍している医師など、信頼のおける優秀な後輩女性医師たちが日々の診療をサポートしてくれるので、とても心強いです。診療時間も「増やしてほしい」というニーズがあったので、拡充しました。平日は毎日、土・日曜日も午前中は診療しているので、より多くの方に、都合に合わせて利用していただけるでしょう。
女性特有の不調すべてに寄り添うクリニック
医師をめざしたきっかけを教えてください。
中学3年の時に父が急死して以来、「手に職をつけて自立したい」と考えていました。天才外科医師が主人公の漫画に影響されたことも手伝い、「命に関わる仕事はきっとやりがいがあるに違いない!」と感じ、医師をめざすことにしたんです。高校生の時には意志が固まっていたので「なれなかったらどうしよう」なんてことは考えもしませんでしたね。産婦人科の医師になると決めたのは研修医になってからです。手を動かすことが好きでしたのでなんとなく外科系というくくりで考えていましたが、産婦人科で診療の楽しみややりがいを感じ、この道でやっていこうと決めました。誰かの役に立てる医師という職業を選んで、本当に良かったと思っています。
以前からあったレディースクリニックを引き継いだそうですね。
ええ。以前の「ほそのレディースクリニック」の院長を務めていた細野先生とは、直接面識があったわけではありませんでした。細野先生が引退して第二の人生を進みたいというタイミングにたまたまご縁があり、4ヵ月の引き継ぎ期間を経て「勝どきウィメンズクリニック」を開業させていただいたのです。実をいうと、外科的な診療も続けていきたいと思っていたので、積極的に開業しようとは考えていませんでした。しかし、「この場所なら大きな病院での出産や手術と、地域の方と身近に関わる診療、それぞれを平行してできそう」だと思ったのです。また、細野先生の診療スタンスが「地域の患者さんの要望に対応していく」というものであり、私のめざすところと近いものを感じたというのも、開業に踏み切った理由の一つですね。
最後に、今後の展望と読者へのメッセ―ジをお聞かせください。
ニーズに合わせて新しいものを取り入れながら、女性の悩み全般に応えていく、地域の方々に長く信頼されるクリニックに成長していきたいと思っています。産婦人科はちょっと敷居が高いと感じられる方もいらっしゃいますが、特別な場所ではありません。生理痛や不正出血、不妊相談の他に、月経前症候群や更年期障害で悩んでいる方にも気軽に受診していただきたいです。生理に関する不調や更年期障害は、症状によっては社会的な活躍を妨げてしまうこともあります。医療の観点からできる限りのサポートをさせていただきますので、どうぞ遠慮なく相談しに来てください。遠方の方であればオンライン診療でも対応できます。また、感染症対策の一環として完全予約制を取り入れていますので、「密」の心配少なく受診していただけるでしょう。