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笠茂 享久 院長の独自取材記事

笠茂歯科医院

(渋谷区/北参道駅)

最終更新日:2024/05/13

笠茂享久院長 笠茂歯科医院 main

代々木駅、千駄ヶ谷駅、北参道駅のどこからでも徒歩5~6分でたどり着く、千駄ヶ谷の住宅街に構える「笠茂歯科医院」。歯科を標榜し、院長の笠茂享久先生は35年にわたって近隣住民の虫歯や歯周病などの治療にあたってきた。一方で、不正咬合の治療にも注力してきた経験から、今では関東圏のみならず遠方からも患者が訪れる。その特徴は噛み合わせと筋肉のバランスを視野に入れた診療を重視していることだ。「歯と体は密接な関係にあるため、口だけではなく全身で考えなければならない」と話す笠茂院長は、歯を削ったり抜いたりしない治療にもこだわる。不正咬合の治療に対する考え方や歯周病のこと、歯の健康のために大切なことなど、さまざまな観点から話を聞いた。

(取材日2024年3月29日)

健康のために、患者が納得できる治療でサポートしたい

咬合治療の他に一般的な治療、例えば歯周病治療はどのようなことをされていますか?

笠茂享久院長 笠茂歯科医院1

歯周病は炎症に起因するものなので、歯垢、歯石等の原因物質を除去しなければいけません。歯や歯根の表面に付着した歯垢と歯石を取り除くためのスケーリング、毒素などで汚染された歯根の表面を削って滑らかにするためのルートプレーニングなど、基本的な治療を行います。その後、定期的な検査や口腔内管理を継続していきます。歯周病は治療したら終わりではなく、進行を食い止めて再発させないことが重要なので、大事なのは歯磨きです。患者さんに適切な磨き方を身につけてもらい、毎日歯磨きをしてもらうことが大切なので、初診の際には歯磨きのチェックを行っています。患者さんの口から採取した歯垢を位相差顕微鏡の画像で見てもらっているのは、危機感を持って歯磨きの重要性を知ってもらうためでもあるのです。

では不正咬合に対しては、どのような診療をされているのでしょうか。

最初の問診をとても大事にしています。19ページ分の用紙で、症状やこれまでの歯科の治療歴だけでなく、生活習慣や過去のケガや病気の内容、メンタルに関わる場合もあるので婚姻歴なども伺います。何が不正咬合に影響しているかわからないため、さまざまな内容を聞いています。他に筋肉の状態の確認も重視しています。肩甲骨と後頭部の筋肉を触り、左右の筋肉の違いをチェックすることで、問題を起こしている部分を推測します。もちろん、エックス線写真やCTによる3D画像、製作した歯の模型を装着した咬合器、上下歯の接触状況をシリコーンで型採りした物を分析する機器も使い、診査・診断を行います。そして問題を起こしている歯の不調和を改善するために何をするかを考え、治療方針を立てます。前述のとおり、この歯が天然歯の場合は削ったり抜いたりしない方針を取ります。

原因の歯がわかっても、どこをどうすれば良いのかを判断するのが難しいのですね。

笠茂享久院長 笠茂歯科医院2

そうですね。具体的な治療としては、歯のかぶせ物や詰め物を調整したり、歯に直接レジンを接着したりして噛み合わせを調整します。適切な治療方法を判断できるかどうかが、歯科医師としての技量の見せどころだと思っています。不正咬合の治療は、咬合紙を噛んでもらって当たったところを削ればいいというものではありません。咬合検査ではさまざまな装置を使っていますが、咬合器での診断を特に重視しています。

歯と体の関係性を追究し、不正咬合の治療に向き合う

噛み合わせは体と密接な関係があると聞きました。

笠茂享久院長 笠茂歯科医院3

日本大学歯学部大学院では基礎研究の道に進みました。受精卵から細胞分裂して、人間の体がどのように作られていくのかを学ぶ発生学や、細胞や組織などの構造を解き明かす組織学が研究テーマでした。当時から噛み合わせには興味があり、歯科医師になってからは噛み合わせと全身の関係を追究するようになったのです。人間の骨格は約206個の骨で構成され、それぞれが靱帯などの軟組織でつながっています。骨は筋肉によって動かされ、その筋肉をスムーズに動かしているのが皮膚の下にある筋膜と呼ばれるもので、地球から重力を受けている私たちの体は常にバランスを取ろうとするため、何らかの原因で筋膜がゆがんでしまうと、そのゆがみは最終的に下顎の位置に影響し不正咬合を誘発すると考えられます。そのため、不正咬合がひいては頭痛や腰痛、肩凝りなどを引き起こすような体の不調として現れると考えています。

体のゆがみが歯にも影響するとは驚きです。

歯と歯を支える歯槽骨の間には、歯根膜という軟組織が介在しています。歯根膜にある神経は脳神経の中で最大の三叉神経であり、非常に鋭敏なセンサーとして機能するので、歯の位置が少し変わっただけでも、体はバランスを取ろうとします。これは、例えるなら倒れそうな家をつっかえ棒で支えているようなイメージです。ですから、問題のある歯だからといって削ってしまうのは、つっかえ棒を取ってしまうようなことではないでしょうか。治療した時は良くても、後々のことを考えると大変なことになると私は考えます。

笠茂院長が初期治療で歯を削ったり抜いたりしない方針なのは、体のバランスを保つためなのですね。

笠茂享久院長 笠茂歯科医院4

そうです。噛み合わせは変わることもあります。筋膜の最終的な結合点は体の端と端である手足にあると考えています。なので、左足中指の付け根の左右にある窪んだところを1日2~3分ほど揉んでみると、筋膜へのわずかな変化に対して、噛み合わせが敏感に反応することを感じる人もいるでしょう。また、ほんのちょっとした詰め物でも噛み合わせの不具合が起きることがあるのですが、ちょっとした物だから関係性を見つけるのが非常に難しいのです。ですから、歯だけを見て治療することはしていません。

肩甲骨と後頭部に触れて、問題究明につなげる

不正咬合は顎関節症とも関係があるのでしょうか?

笠茂享久院長 笠茂歯科医院5

顎関節症にも筋膜の働きが深く関わっていると考えています。その疾患名から顎の関節の疾患だと思われがちですが、それだけではありません。顎関節症は頭蓋骨と下顎のアンバランスによって引き起こされる症状です。筋肉がバランス良く動いて噛むことができればいいのですが、不正咬合で気持ち良く噛むことができないと、口をねじってしまいます。実際には何をねじるのかというと筋、筋膜ですので、これに反応して体がバランスを取ろうとして、顎関節症をはじめとしたさまざまな問題を引き起こすと考えています。

患者さんが自ら取り組めることはあるのでしょうか。

口内だけでなく体の健康を考える上でも、患者さん自身が行う日々のブラッシングは重要なメンテナンスのひとつだと考えています。ブラッシングの際は、丁寧に歯を磨くことももちろん重要ですが、満遍なく口内を刺激することも意識していただきたいです。診療の際には、歯の磨き方と口内の刺激の仕方をアドバイスいたします。歯科医師法に明記されているように保健指導を行うことは歯科医師の義務ですから、患者さんが自らの歯を管理して、健康的な日常生活を維持できるよう引き続き努めていきます。日々のブラッシングに不安がある方も、ない方も、気軽にご相談いただければと思います。

歯を大切にするために最も伝えたいことは何でしょうか?

笠茂享久院長 笠茂歯科医院6

昔から患者さんの悩みはだいたい共通していて、それは「噛めない」ということです。そこから、いらいらするなど心身に支障をきたしてしまいかねません。不正咬合の患者さんには、歯は簡単には削ってもらわないようお伝えしたいですね。私の持論は、「歯はいじればいじるほどダメになる」です。噛み合わせはこれで完璧だと思っても、絶対に完璧ということはありません。実生活でストレスなく、快適に食事ができて、心の底から笑える気持ちの良い生活を送ることが健康だと考えています。最終的には患者さんが納得できるかどうかを大切にこれからも診療していこうと思います。

自由診療費用の目安

自由診療とは

噛み合わせ治療/60万円(咬合診査・診断・着手料)、1万円~(毎回の咬合調整費)

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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