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笠茂享久 院長の独自取材記事

笠茂歯科医院

(渋谷区/北参道駅)

最終更新日:2019/08/28

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私たちの来訪と入れ違いで、この日最後の患者さんが帰っていった。しかも見れば、とびきりの笑顔である。渋谷区は千駄ヶ谷「笠茂歯科医院」院長、笠茂享久(かさも・たかひさ)先生。歯科医師歴30年。歯や顎の不具合を歯だけではなく全身のつながりで考えて整体的なアプローチから治療。他院でのインプラント・義歯のトラブル、また顎関節症に悩む全国の患者から絶大な支持を得ている。「もちろんこの整体的診療をメインにしているわけではありません。あくまでも補助的に取り入れているだけです」と念を押す。そんな先生からは「筋肉」「細胞」「重力」「地球」と、およそ今までの歯科治療においては聞けなかった言葉が次々と飛び出し、歯科治療の奥深さを感じさせるインタビューとなった。
(取材日2014年9月2日)

歯科治療に整体的アプローチを加えて噛み合わせの不調を治す

先生は患者さんから「体の調律をする歯科医師」と呼ばれているそうですね。

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そうですね。ただ整体師の資格を持っているわけではありません。私が行っているのは「整体的診療」と言いますか、歯と首から下を別に考えるのではなく、全身のつながりの中でとらえ、「整体」という字のごとく「体を整えることで歯の不調を改善する」ものです。最近でこそ知られるようになりましたが、噛み合わせの不具合が、首筋の痛みや頭痛、肩こり、腰痛など体の不調を引き起こすことが多いんです。またその逆もあり、体の不調が影響して顎関節症などにつながることもあります。精神的ストレスが歯や顎に来ることもありますよ。そこで当院では、噛み合わせの調整を行うための整体法を取り入れています。

具体的にはどういった整体的アプローチをしているのでしょうか。

まずは噛み合わせの検査を行います。口全体の型を取って再現した模型を見ることでどこに噛み合わせの不具合があるのかを見つけたり、歯の当たり具合を咬合紙という薄紙を使ってチェックしていきます。そうした検査と同時に、私が診るのは患者さんの「皮膚」です。噛み合わせが悪い人や顎関節症の人は、頭の皮膚が張ったように硬い方が多くいらっしゃいます。そこで頭頂部や後頭部を触ったり、マッサージすることで噛み合わせが良くなることが多いのです。私たち人間の皮膚の下には「筋膜(きんまく)」といって、全身の筋肉や内蔵、骨、血管を包んでいるものがあります。ただこの筋膜が何かの原因でちょうどベッドのシーツがよれたようになると、そのバランスの悪さを体のどこかで補おうとします。それが噛み合わせに影響してくるのです。その筋膜の緊張をほぐす方法として、一般的には左足あるいは左手の中指の付け根のくぼみをもみほぐすというものもあります。どちらか片方の極端な噛み癖も、中指の根元のくぼみを押したあとと噛んでいるうちに平均的になってきます。ただし常に整体的治療だけ行っているわけではありません。いずれにしても当院の噛み合わせ治療は、なるべく削らず抜かないことがポイント。削ったことでもわずかなズレが噛み合わせを悪くしてしまうのです。

どうして足の中指を揉むことが良いのでしょうか?

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先ほど言ったように筋膜は足の裏から頭のてっぺんまで覆っていますが、筋膜の調整に関しては足先が一番しやすいのです。というのも地面に接している足の裏が、地球からどのくらいの重力で負荷を受けているかが、体のバランスを整える上では大事なんです。その足のバランスの中心点が足の中指にあるのです。歯の治療をするのはもちろん「歯科」という独立した科ですが、だからといって口の中や歯だけ診ればいいわけではありません。特に噛み合わせ調整を口腔内・歯だけ診て行っているのは私からすればとても危険です。体のバランスによって下顎と上顎のバランスは微妙に変化するからです。そこで歯科医師は、患者さんの体がどういう状態にあるかを把握しながら診療しなければならないのです。

歯垢除去・口臭予防だけではない、歯磨きの意外な効果

今までどんな症状の方が来院されましたか。

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例えば、ある大学病院で顎の治療をしたあと、どういうわけか立っていられなくなり、また不眠症とともに“うつ”も発症した患者さんがいらっしゃいました。もちろん顎の治療のための器具も装着することができない状態でした。そこでこちらで治療したところ、出勤できず解雇直前だったのが、元気に出勤できるようになったそうです。また他院で矯正後に噛み合わせが悪くなりました。複数の歯科も訪ねたのですが治らず、足がフラフラしてしまう女性がこちらで治し、その後幼稚園児のお子さんと念願の縄跳びが出来るようになったと喜ばれました。噛み合わせが良くないということで来院された女性に「別に気になる症状は?」と聞いたところ、左の鎖骨が右に比べて異常に上がっていたのです。噛み合わせの異常で筋膜が緊張していたのが原因でした。噛み合わせを治したところ、左右の鎖骨のラインがほぼ整ったということもありました。過去に大きな事故や手術をしている方は、皮膚のひきつれがおこることで体のバランスが崩れることがあり特に注意が必要です。

診察・治療の際に大事にしていることは何でしょうか。

診察で一番大事にしているのは問診です。どんな些細なことでも患者さんの言うことがすべてなのですから、その方が言っていることを真摯に受け止め、理解に努めなければなりません。また初診の全ての患者さんに自身の口から取った歯垢を位相差(いそうさ)顕微鏡で見ていただき、歯磨きに対するモチベーションを上げてもらっています。歯科治療においては歯磨きの役割も非常に大事です。単に汚れを落とすだけではなく、口を覆っている頬の筋肉を内側からストレッチし、口の中をコントロールするのにも役立つんです。全身で、内側からストレッチ出来るのは口しかないのです。閉口障害といって口がうまく開かない方も歯磨き指導すると口が開くようになるばかりか、噛み合わせや顔のゆがみも治ったり、顔の大きさも変わります。当院の優秀な衛生士によるものですが、「何をやったんですか?」と驚かれることがあります。以後はセルフケアに努めれば変わることはありません。

そんなさまざまな治療を行っている先生ですが、患者さんから学んだことはありますか?

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患者の要求する以上のことは、行わないということです。8分目にするとでも言うのでしょうか。人間の体は「ファジー」です。噛み合わせというのは人間が動いている時点で常に変わります。もちろん人によって「正しい状態」というのは違います。つまり、その人にとって一番気持ちが良い状態がその人なりの正常な状態なわけです。ですから、少し気になった箇所があっても、現時点での「気持ち良さ」をまずは持続してもらおうと思っています。逆に、体になじむのを待たずにいきなり完全に治そうとすると逆に余計に悪化させてしまうことがあるんです。人には、機械や物にはない自然治癒力が備わっています。歯科医師としての私はそれを必要最小限の力で引き出すことが使命だと思っています。つまり解決法はご自身の体の中にあるのです。

口のコリをほぐす「デンタルリフレクソロジー」という考え方

先生が歯科医師をめざしたきっかけ、そして整体を歯科治療に取り入れようと思った経緯を教えてください。

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冬は零下35度、北海道の名寄(なよろ)という町で生まれました。自宅で産婦人科を開業していた父は診療後も一言も愚痴もこぼさず、誠実な医師でしたね。こんなことで医学の世界は多少知ってはいたのですが、自宅兼診療所の隣に歯科医院があり、私はその先生の姿にも憧れを抱いていました。そんな私の気持ちを汲んでくれた父のありがたい後押しもあり、歯科の道へ。大学院時代は歯がどのように生えるかを学ぶと同時に先輩の働く歯科医院で数年間勤務。1989年にここで開業しましたが、従来の歯科治療のように安易に歯を削ったり抜いたりしているだけでは根本的な解決にならないのではないかと考えるようになり、静岡県の歯科医師で、口腔と姿勢、口腔と全身との関係を研究する姿勢咬合医研究会代表も務めている川邉研次先生や、日本全身咬合学会の常任理事で整体師の吉田実先生のセミナーに参加し、考察・実践を重ねていく中で整体を歯科治療に生かしていくようになりました。今では愛知、徳島や遠くアメリカなどから患者さんが来られます。

お忙しい中ですが、休日の趣味は何でしょうか。

日曜大工でしょうか。院内にある歯科用器具を入れる棚なども私が作っています。昔一時期、建築家になりたいという夢もあったものですから、何かを作ることが好きだったんでしょうね。作ると言えば料理も子どもの時から得意でした。実家の産婦人科は入院患者も受け入れていたものですから調理場がありました。子どもの頃はよくそこを覗いていたので自然と要領を覚えたのかもしれません。今もあんかけラーメンや鶏肉のパプリカ煮などを作ったりします。鴨せいろそばの汁も自分で作るのですがこれが好評で、親戚一同が集まると争って食べてくれます。もちろん子どもたちも大好きですよ。

最後に、「ドクターズ・ファイル」読者にメッセージをお願いします。

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歯、そして口は生命の根源です。そして噛む力は生きる力の絶対条件です。そのための口腔ケアを常にしていれば、例えばお年寄りが肺炎にかかっても治る確率が高いという報告例もあります。そんな口腔ケアの中には、口の中を指でやさしくマッサージすることで肩や首が楽になったり、疲れがやわらぐ「デンタル・リフレクソロジー」という手法も取り入れ、保険適用外ですが行っています。足などにあるように、口の中にも「つぼ」が存在し、凝りが生じることがありますので、それをマッサージするのです。ある時、こんな方が来院しました。手のしびれや、肩や背中の痛みが本当は噛み合わせの不調からくるものだったのに原因がわからず、整形外科、神経内科、心療内科といろんな科を転々とし、果ては“うつ”ではないかと診断されてしまったものの、ここでの通院後良くなったのです。2〜3回の来院で良くなることもありますが、不調が改善されるまで時間がかかる方はかかります。いずれにしても、一番大事なのは笑顔で普通の生活ができるということ。私はそんな患者さんの自然治癒力を高めるお手伝いをしています。

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供を行っております。
カスタムメイド矯正装置(マウスピース矯正)については、効果・効能に関して個人差があるため、 カスタムメイド矯正装置(マウスピース矯正)を用いた治療を行う場合は、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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